改:どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

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「ユウジさん、もういいっしょう」
「おっさん、島からお上りで来ても何にもねぇぜ~、キャハハハ・・」
下ッパーズたちが騒ぐ。
「あぁ、そうっすねぇ・・もうええっすわ。 動かんといてくださいよ~!」
ユウジはそう言いながら拳銃で狙いをつけていた。

ヒロキは考えていた。
このおっさん、歩いて明石大橋を渡ってきていた。
おかしい・・淡路島でも煙が上がっている。
魔物がいるということだ。
しかし、橋を渡ってくる魔物も人も車もない。
だが、こいつは一人で歩いて来ていた。
どういうことだ?
それに刀のようなものまでぶら下げている。
俺達くらいのレベルがあるのか?
まさかな・・経験値を俺たちほどこんな短期間で集められるわけがない。
それにあの犬のような魔物・・勝てるわけがない。
ましてやオークのような豚、空を飛ぶ怪物・・無理だ!
ヒロキがそこまで考えていると銃声が聞こえた。

パーン!
パン、パン!

「あっれ~・・拳銃って意外と難しいっすね。 たったこれだけの距離やのに、当たらへんねぇ」
ユウジがつぶやく。
テツは動いていない。
拳銃はそれほど当たるものじゃない。
変に動けば逆に当たる。
自衛官時代によく聞かされたものだ。
拳銃は幹部にならないと訓練でも撃つことができない。
それ以外は小銃、つまりはライフルを扱う。
64式などという古いタイプだ。
とはいえ、狙っているユウジの銃口が自分の方を正確に向いていないのもわかっていた。

テツの性格というか人間性。
一言で言えば、矛盾を内包して調和している人間。
人当たりは普通。
むしろ優しい人物と言えるだろう。
だが、逆に冷めた一面もある。
ただ、残虐性は皆無。
また、虫や動物なども大切にし、自然に対しても敬意を抱いている。
そんな人間だ。

俺に人が斬れるのかと考えていた。
だが、そういう価値観は現代社会で教え込まれたものだ。
こいつらは魔物だ。
俺はそう考え、心を無にしていく。

ユウジがブツブツ言ってる間にテツが一気に駆け、抜刀!
ダッ!!
下ッパーズ3人とユウジは即座に斬り捨てられていた。
即死。
斬られたこともわからないだろう。
!!
ヒロキは動けなかった。
そしてテツの動きが全く見えなかった。
まばたきをする、その瞬間を狙われたのかと思ったほどだ。
その一瞬で終わっていた。

テツがヒロキの方を見る。
ビュッと刀で風を切り、血を払うような動きをした。
血はついていなかったが。
ヒロキの身体が震えていた。
なんでだ……なんでこうなった?
「お、おっさん……いきなり人殺しですか?」
ヒロキは相手を揺さぶってみた。
考えてやったことではない。
「……」
テツは答えない。
ゆっくりとヒロキとの間合いを詰めていく。

ヒロキは逃げ出すタイミングを考えていた。
どうすれば、こいつから逃げられ……そこまで思った時だった。
!!
テツが間合いを詰めようと一歩進んだようにヒロキには見えた。
瞬間、ヒロキの真横に居た。
ヒロキはまだ気づけない。
テツがヒロキの身体を刀で一閃した時に、初めてヒロキは気づいた。
このおっさん、いつの間に……。
え?
ヒロキの視点が斜めに移動し始める。
なんだ?
ヒロキがそう思うと身体が2つに分かれていく。

テツは静かにヒロキを見つめる。
ヒロキが消えるまで油断を怠らない。
ただ、そばで見つめている。
ヒロキは薄れゆく意識の中で思った。
どこで狂ったんだ……そこまで思ったら後はわからなくなっていた。

ヒロキの身体が蒸発したのを確認して、テツはまた走りだす。
『経験値を獲得しました』
テツの頭の中で天の声が聞こえていた。
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