改:どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
73 / 152

73 やっぱ魔物って・・アホなのか?

しおりを挟む
ん?
あれ、俺の目って・・・近眼じゃなくなってる!
回復してるんじゃないか?
戦車と魔物の戦闘を見ていて思った。
そういえば、腰の痛みもないような気がする。
今更ながら気づいたが、このシステム、ありがたい。
おっと、それどころじゃない。
……
さすが自衛官だな。
こんな状況なのに、余計な奇声を上げてないぞ。
だが、絶望的だと思うのだが。
!!
ありゃ?
戦車のハッチを開けてライフルか。
余計にダメだろう。

あれは・・・そうか、人が走ってきてたのか?
「助けてくれ~!!」
叫びながら走ってくる人が見える。
なるほど・・あの人たちを助けようとしてるのか。
何という責任感の強さか。
・・・
しかし、無理だろう。
クッ、申し訳ない!
俺には出て行けない。
どう考えても無理だ。
・・・すまない!


<戦車を俯瞰できる場所で>

女の子3人がひっそりと身をかがめ、成り行きを見守っていた。
「ちょっと久美、動かないでくれる?」
「仕方ないじゃない! あの魔物に見つかったら、確実に殺されるわ」
「わかってるわよ・・・でも、いったい何が起こっているのかしら・・・ううん・・・わかってる。 ゲームのような世界になったのよ」
「由美……」
「そうね……本当に、夢じゃないわよね」
「うん、昨日から何度も確認したわ」
久美子、由美、茜の3人の女の子がひそひそと話し合っていた。
「茜……あの魔物に魔法って効果あるのかしら?」
「わからないわ……でも、もし魔法を放って効果がなければ、私たち死ぬわよ」
・・・
みんなわかっていた。
目の前の状況を見てジッとしていられるはずもない。
だが、動けば自分たちが死ぬ可能性がある。
それもかなりの確率でだ。

「……うん……わかっているわ。 言葉にしたくないけど、私たちでは無理よ。 今、こうして生きているのも奇跡のようなものよ」
由美の言葉に、みんながうつむく。
「と、とにかく……今は見つからないようにしましょう」
目の前で人の尊厳が踏みにじられている。
助けたいが、今の彼女たちの力ではどうしようもない。
現に、今こうして生きているのが奇跡と言っていいだろう。
それは痛い程わかっていた。
だからこそ、誰も言葉にせず耐えていた。


<テツ>

オークが戦車を持ち上げた。
「クッ!」
俺は目を閉じる。
ガッシャーーン……ドッゴーーーン!

ゆっくりと目を開けると、炎が立ち上がっている。
周りにいたオークたちが集まってきた。
同じように戦車を持ち上げて投げつける。
先ほどの自衛官と助けを求めていた人は消えていた。
クソが!
そのうち、ガーゴイルも集まってきて、戦車や車を空中に持ち上げては落としていた。
・・・
無茶苦茶だな。
チッ!
俺が奴らを余裕で倒せるくらい強ければ、速攻で仕留めるのに。
そんなことを思ってみるが、確実に無理だ。
瞬殺されるのは目に見えている。
それにしても、戦車ってあんなに軽かったか?

今度はオーガが大きな石のような棍棒で戦車を叩きつけていた。
戦車が段ボールみたいにグシャッとなる。
恐ろしいな。
このままここで居てもどうしようもない。
それに見つかったら終わりだ。
俺が移動しようと思うと、何やらオークの投げた車が他のオークの背中に当たった。

なんだ?
当てられたオークは振り向きざま、投げたオークに戦車を投げつけた。
・・・
1体だったのが、2体、4体・・・。
まるでオークの雪合戦のような感じになってきた。
投げる車や戦車がなくなってきたら、瓦礫を投げつけ始めた。
ガーゴイルも参加して、まるで魔物たち運動会のようだ。
人がやるような枕投げや雪合戦ではない。
当たれば同族とはいえ、血しぶきが舞い死傷している。
・・・・
こいつら、やっぱりアホなんだ。

オーガがこの辺りではレベルが一番高いが、オークが他のオークを倒すと稀にレベルが上がったりしていた。
なるほど……魔物って、こうやってレベルが上がったりするのか?
俺は妙に納得する。
それなら、魔物の抗争もアリなのかもしれないな。
適当に減っているし。
地響きを感じながら俺は見ていた。

見てるだけってのは、なにかおもしろい感じがする。
ただ、渦中にいると即死だろうな。
それはわかる。
そりゃ、街が滅ぶわけだよ。
それにしても、こいつら手加減ってものがないんだな。
全力だ。
やっぱ、アホだな。
さて、長居は無用だ、移動しよう。
俺が動こうとすると、上空から1体のオークが降ってきた。

ドーーーーーーン!
うわぁ!!
もう少しで俺は声を出すところだった。
危ない、危ない。
落下したオークはプルプルと身体を震わせながらも、起き上がろうとしている。
!!
こ、これはチャンスか?
俺は一瞬迷ったが、オークに突きを連打した。
ドドドドドドド・・・

『経験値を獲得しました』
yes!
俺はオークの赤い魔石を回収。
ありがたい。
こんな感じで経験値が手に入るなら、ラッキーすぎるぞ!
やっぱり、もう少しこの争いを見ていこう。
そして、弱ってる奴らがいたらいただいてしまおう。
そんな不埒ふらちな考えが俺の頭に浮かぶ。
適当に土埃も舞っているので、見つかりにくいだろう。

そして、そんなチャンスは案外あるもので、オークたちの争いの外側にガーゴイルがやや多く倒れていた。
この刀はガーゴイルとは相性がいい。
ガーゴイルが落とされて倒れているところに俺は近づき、何体かを狩ることができた。
プス、プス、プス、プス・・・・。
やっぱり、軽く刺さるな。
ラッキー!!
これはかなりおいしいぞ!

『レベルが上がりました』
!!
マジか、早いな。
俺は驚いた。
しかし、ステータスを確認できるほど余裕があるわけではない。

吹っ飛んでくるオーク。
落ちてくるガーゴイル。
それにしても多いな・・って、あいつか!
オーガ:レベル21。
棍棒を振り回しまくっているな。
そりゃ、ここら一帯の仲間というか、魔物はいなくなるんじゃないか?
それに、初めからレベルの低い魔物はいなかったしな。
低い魔物は郊外にでも行くのかな?

少しの間だったが、とても効率よく魔物を狩ることができた。
結構な数の魔物をいただいたし、レベルも上がった。
そろそろ行くか。
そう思っていたら、俺の身体にゾクリと寒気が走る。
忍術のスキルだろうか。
危険を察知したら感じるのか、本能なのか・・俺の目の端で、オーガがジッと立っているのをとらえる。
・・・
見たくないが見るしかない。
そっと、ゆっくりとその方向に顔を向けていく。
・・・
オーガが手にしていたオークをポトリとその場に落とす。
!!
間違いなく俺と目が合った。

豚ではない。

オークのような感じだと思っていたが、全然違う。
マッチョは間違いない。
牙が生えている・・口からはみ出していた。
小さな角のようなものも見える。
そこまでだった。
オーガがこちらに向かって歩いてくる。
俺の方じゃないよな? 
そんな俺の希望的観測はすぐに消え去る。
俺は逃げようと思ったが、逃げた瞬間に追いつかれるような気がする。
近くで爆発でもあれば逃げれるのだが。
・・・
調子に乗り過ぎた。
サッサと移動しておけばよかったんだ。
だが今さら遅い。
って、死亡フラグを立ててどうする!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

やがて最強に至る弾丸付与術士の成り上がり

彼方
ファンタジー
 2035年の日本では、多数出現したダンジョンを探索する探索者という職業が大きな注目を集めていた。ダンジョンを探索することは大きな危険も伴うが、地球では本来手に入らない希少な資源を入手することができるため、日本を含め世界各国はダンジョン資源の獲得に力を入れていた。  そうした世界の中で平均的な探索者として活動していた加賀優斗は、親友である木場洋輔から突然パーティを追放されてしまう。優斗は絶望し失意の底に沈むが、不治の病に侵された妹を助けるために行動を開始する。  これは、実力も才能もない一人の青年が努力と工夫によって世界最強へと上り詰めるまでの物語。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略

神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。 そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。 これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。

神々のダンジョン~チートスキル【アイテムボックス】と【鑑定】でアラフォーおっさんは成り上がる~

葵はるか
ファンタジー
「少子化で、八百万の神々の力が衰えるどころか滅亡しそうです! ですので、氷河期世代を救います!」  国会に突如、降臨した絶世の美少女である天照大御神は、氷河期世代を救うために日本中に日本人専用のダンジョンを作りだすことを宣言するのであった。  会社に一方的にクビにされた佐藤和也も、日本中に発生したダンジョンへ生活の糧を得るために潜ることになったのであった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

処理中です...