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130 信用できそうにないな
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「泉さんは、これからどうされるおつもりですか?」
俺は聞いてみた。
「はい、私たちは人を集めつつ、どこかに避難場所を作りたいと思っています」
「なるほど、それはいいですね」
俺は即答する。
!
泉が一歩前に出てきて笑顔で問いかけてきた。
「あなた方もご一緒しませんか? いえ、大事な方にお会いした後でいいのですが・・」
「ありがとうございます。 申し訳ありませんが、少人数の方が自由に行動できるので身軽なのです」
俺がそう答えると、泉がやや驚いた顔をした。
・・・
「そうですか、残念です。 では、またどこかでお会いしましたら、よろしくお願いします。 お気をつけて」
そう言って、泉の集団は移動して行った。
移動の際に、集団の男たちはルナたちを見つつ俺には敵意を向けてきた。
仕方ないか。
泉の好意を振り払い、こんな美女たちを連れているのだからな。
俺の対応を見ていたルナが話しかけてくる。
「テツ、良いのか?」
「いいのです、ルナさん。 どうも胡散臭い感じがします」
俺は素直な感想を答えた。
「胡散臭いとはどういうことだ?」
ルナもウルダも不思議そうな顔をして俺を見た。
シルビアは黙って聞いている。
「何と言うか……俺の記憶ではあの男、信用できそうもないのです」
……
……
記憶の内容を話し、続けた。
「それに、今の世界状況になって数日が経過しています。 それなのに、こんなところをうろうろしている。 レベルもそこそこありました。 簡単に言えば、奴はいろんな人の犠牲の上に今の自分がある。 それを当たり前として行動している、そんな感じがするのです。 他の連中も似たようなものでしょう。 そんな人間と仲良くなんて、俺はできません」
テツの予想は当たっていた。
泉は、そのスキルで複数のパーティを組むことができた。
それぞれのパーティから経験値を得ることができる。
全滅するパーティもあれば、生き残るパーティもある。
そうして、パーティを複数持ち、経験値を荒稼ぎしていた。
無論、誰も高いレベルになっていないので、質のいい経験値は入ってこないが、量だけは多く入ってくる。
それで今のレベルを獲得していた。
後は、自分を起点に周りの低レベルの者たちの底上げをしながら行動してきていた。
ヒロキのチームのように、さすがに人を経験値にはしていなかったようだが、多くの部下が亡くなったのは事実だ。
「なるほどな・・・」
ルナは思うところがあったのだろう。
頷いていた。
ウルダがルナに顔を向けて言う。
「ルナ様、出発いたしましょう」
「そうだな。 テツ、頼むぞ」
ルナは微笑むと、またゆっくりと歩き出した。
シルビアも回復してきたようだ。
◇
<泉の集団>
泉が集団内の女の人に声をかけていた。
「小野さん、先ほどのグループですが、どうでしたか?」
小野と呼ばれた女性が泉に近づいていく。
「はい。 私が見たところ、全員のレベルはわかりませんでした。 魔物などのレベルはいくら高くてもわかるので、レベル差によるものではないと思います。 おそらく、何かのスキルだと思います。 申し訳ありません」
小野は頭を下げた。
「いえ、小野さんが謝ることはありません。 ありがとうございました。 確かに、相手を知るスキルがあるのなら、それを知られないようにするスキルがあるのも当然でしょうね」
泉は、別に落胆するでもなく小野に謝意を示していた。
実際はレベル差によるものだったのだが。
「斎藤さん、あなたが見た感じではどうでしたか?」
斎藤と呼ばれる、ガッチリした男が泉に近づいて行った。
「はい。 私が見た感じでは、それほど脅威を感じることはありませんでした。 ただ、男の後ろに居た女たちは妙な感じがしましたが、男の方はこれといって特別な感じを受けませんでした」
「そうですか、ありがとうございます。 斎藤さんがそう感じるのでしたら、間違いないでしょうね」
泉は微笑みながら、斎藤に頭を下げていた。
斎藤と呼ばれる男は、泉の部下で古流剣術の達人だった。
剣道大会では常に上位にランクするが、1位にはなったことはない。
なれないのではなく、本気で戦うことができないからだった。
本気で竹刀を振るえば、竹刀といえども相手に致命傷を与えてしまう。
それほどの技量を持った人物だった。
泉は考えていた。
たった4人でこんなところをうろついている。
自分達と同じくらいのレベルを持った連中だろう。
あの男の後ろにいた女たち。
男が言うには自分よりも強いと言っていた。
まぁ、どうでもいい。
私たちと行動を共にしないというのならそれでいい。
私は自分の集団を作るだけだ。
今の集団も順調にレベルも上がってきている。
私のレベルも上がる。
それでいい。
泉が考えていると、小野が声をかける。
「泉さん、あの連中ですが、どれくらいの強さがあるのかわかりませんが、都心部へ向かうようでした。 大丈夫でしょうか?」
「さぁ、どうでしょうね。 ですが、こんな場所で生きているのです。 どうにか生存する方法を学んでいると思いますよ。 まぁ、そんな猛者たちを仲間にできなかったのは痛いですけどね」
泉は笑いながら言う。
「小野さん、弱いものはそこで果てるのだ。 そういう世界になってしまった。 放っておけばいい」
斎藤がぶっきらぼうに話す。
「斎藤さんはそれでいいでしょうけど、泉さんの好意を平気で断るなんて・・」
小野がブツブツとつぶやく。
泉は二人の言葉を聞きながら、ゆっくりと歩いていた。
(参照までに新宿編です→ https://kakuyomu.jp/works/1177354054915775280/episodes/1177354054916583075)
俺は聞いてみた。
「はい、私たちは人を集めつつ、どこかに避難場所を作りたいと思っています」
「なるほど、それはいいですね」
俺は即答する。
!
泉が一歩前に出てきて笑顔で問いかけてきた。
「あなた方もご一緒しませんか? いえ、大事な方にお会いした後でいいのですが・・」
「ありがとうございます。 申し訳ありませんが、少人数の方が自由に行動できるので身軽なのです」
俺がそう答えると、泉がやや驚いた顔をした。
・・・
「そうですか、残念です。 では、またどこかでお会いしましたら、よろしくお願いします。 お気をつけて」
そう言って、泉の集団は移動して行った。
移動の際に、集団の男たちはルナたちを見つつ俺には敵意を向けてきた。
仕方ないか。
泉の好意を振り払い、こんな美女たちを連れているのだからな。
俺の対応を見ていたルナが話しかけてくる。
「テツ、良いのか?」
「いいのです、ルナさん。 どうも胡散臭い感じがします」
俺は素直な感想を答えた。
「胡散臭いとはどういうことだ?」
ルナもウルダも不思議そうな顔をして俺を見た。
シルビアは黙って聞いている。
「何と言うか……俺の記憶ではあの男、信用できそうもないのです」
……
……
記憶の内容を話し、続けた。
「それに、今の世界状況になって数日が経過しています。 それなのに、こんなところをうろうろしている。 レベルもそこそこありました。 簡単に言えば、奴はいろんな人の犠牲の上に今の自分がある。 それを当たり前として行動している、そんな感じがするのです。 他の連中も似たようなものでしょう。 そんな人間と仲良くなんて、俺はできません」
テツの予想は当たっていた。
泉は、そのスキルで複数のパーティを組むことができた。
それぞれのパーティから経験値を得ることができる。
全滅するパーティもあれば、生き残るパーティもある。
そうして、パーティを複数持ち、経験値を荒稼ぎしていた。
無論、誰も高いレベルになっていないので、質のいい経験値は入ってこないが、量だけは多く入ってくる。
それで今のレベルを獲得していた。
後は、自分を起点に周りの低レベルの者たちの底上げをしながら行動してきていた。
ヒロキのチームのように、さすがに人を経験値にはしていなかったようだが、多くの部下が亡くなったのは事実だ。
「なるほどな・・・」
ルナは思うところがあったのだろう。
頷いていた。
ウルダがルナに顔を向けて言う。
「ルナ様、出発いたしましょう」
「そうだな。 テツ、頼むぞ」
ルナは微笑むと、またゆっくりと歩き出した。
シルビアも回復してきたようだ。
◇
<泉の集団>
泉が集団内の女の人に声をかけていた。
「小野さん、先ほどのグループですが、どうでしたか?」
小野と呼ばれた女性が泉に近づいていく。
「はい。 私が見たところ、全員のレベルはわかりませんでした。 魔物などのレベルはいくら高くてもわかるので、レベル差によるものではないと思います。 おそらく、何かのスキルだと思います。 申し訳ありません」
小野は頭を下げた。
「いえ、小野さんが謝ることはありません。 ありがとうございました。 確かに、相手を知るスキルがあるのなら、それを知られないようにするスキルがあるのも当然でしょうね」
泉は、別に落胆するでもなく小野に謝意を示していた。
実際はレベル差によるものだったのだが。
「斎藤さん、あなたが見た感じではどうでしたか?」
斎藤と呼ばれる、ガッチリした男が泉に近づいて行った。
「はい。 私が見た感じでは、それほど脅威を感じることはありませんでした。 ただ、男の後ろに居た女たちは妙な感じがしましたが、男の方はこれといって特別な感じを受けませんでした」
「そうですか、ありがとうございます。 斎藤さんがそう感じるのでしたら、間違いないでしょうね」
泉は微笑みながら、斎藤に頭を下げていた。
斎藤と呼ばれる男は、泉の部下で古流剣術の達人だった。
剣道大会では常に上位にランクするが、1位にはなったことはない。
なれないのではなく、本気で戦うことができないからだった。
本気で竹刀を振るえば、竹刀といえども相手に致命傷を与えてしまう。
それほどの技量を持った人物だった。
泉は考えていた。
たった4人でこんなところをうろついている。
自分達と同じくらいのレベルを持った連中だろう。
あの男の後ろにいた女たち。
男が言うには自分よりも強いと言っていた。
まぁ、どうでもいい。
私たちと行動を共にしないというのならそれでいい。
私は自分の集団を作るだけだ。
今の集団も順調にレベルも上がってきている。
私のレベルも上がる。
それでいい。
泉が考えていると、小野が声をかける。
「泉さん、あの連中ですが、どれくらいの強さがあるのかわかりませんが、都心部へ向かうようでした。 大丈夫でしょうか?」
「さぁ、どうでしょうね。 ですが、こんな場所で生きているのです。 どうにか生存する方法を学んでいると思いますよ。 まぁ、そんな猛者たちを仲間にできなかったのは痛いですけどね」
泉は笑いながら言う。
「小野さん、弱いものはそこで果てるのだ。 そういう世界になってしまった。 放っておけばいい」
斎藤がぶっきらぼうに話す。
「斎藤さんはそれでいいでしょうけど、泉さんの好意を平気で断るなんて・・」
小野がブツブツとつぶやく。
泉は二人の言葉を聞きながら、ゆっくりと歩いていた。
(参照までに新宿編です→ https://kakuyomu.jp/works/1177354054915775280/episodes/1177354054916583075)
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