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九頭竜ってなんだよ!
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俺が弟子入りしてから十数年が経った。
いつもは弟子も世話人もバルカンさんも皆集まって朝食をとるから、バルカンさん以外の全員が大広間に集まっていた。
しかし、バルカンさんは朝食の時間になっても大広間に来ることはなかった。
皆で寺全体や修行場など、バルカンさんが居そうな所をすべて探した。
どこにもいなかった。
バルカンさんの私室にも行く宛や俺たちへ向けた伝言のようなものはなかった。
皆で話し合い、バルカンさんを探すために各自で旅を行うことが決まった。
中には寺で待つことを選ぶ者もいた。
そこからまた数年が経過し、俺の転生した肉体年齢は26歳と前世の年齢と並んだ。
結局、誰もバルカンさんを見つけることはできず、死んだという噂も流れていた。
そして、散った弟子の中にも、厄災獣やならず者と戦い命を落としてしまったり、修行で身につけた力で悪行を成す弟子まで現れたという情報を耳に入れた。
他の弟子たちも自身の目標のために奔走しているらしい。
そんな中、俺は傭兵をやっている。
寺とは少し離れた街を俺の縄張りとし、ホルンにも傭兵稼業の運営を手伝ってもらっている。
バルカンさんは「修行で得た力は平和な時代を築くこと以外に使ってはならない。もし、悪行を成せば相手が弟子でも加減はしない。」と言ってたけど、消息不明だから別にイイよね!
小悪党生活も上手くいっている。
俺のナワバリとしているこの街は、元々30人程度が住む集落だった。
廃ビルが並び、こぢんまりと暮らしている集落に俺が目をつけた理由はひとつ。それは、飲用水が豊富だったからだ。
この世界では貨幣に価値はなく、食糧や飲用水、ガソリン、武器の価値のほうが高かった。
タイミング良く、ならず者たちが飲用水目当てで街を襲おうとしたので俺が駆けつけて倒し、恩を売ることができた。
こうして俺はこの街の用心棒的存在となったのだ。
そこからはある協会の孤児院から依頼の報酬としていただいた芋の種を街で植えて育てて将来的な食糧難を回避したり、最低限の氣の使い方を街の住人に教えたりした。
そしたらなんかこの街に住みたいって人がいっぱい来て現在のこの街は結構栄えている。
そのためたまに住民に向けて「食糧くれよ」的な悪い笑みを浮かべると食糧を持ってきてくれる。心は痛むが、小悪党していると思う。
そして現在、俺は弟子たちの同窓会、ではなく今後の皆の活動指針といった情報を共有する集会に赴いている。
場所はバスクが拠点として活動している大都市「ミランゼン」の元文化ホールだった。
この集会の名は「九頭竜集会」と言うらしく、「九頭竜」とはバルカンさんの弟子の中でも実力上位9人を指し示すらしい。
………あれ?なんで俺が招集されてんの??
試合では結構手を抜いて負けたりしたはずだったんだけどな。
しかも、俺に二つ名っぽいのが勝手につけられてやがった!
「千手殺のジャド」って、禍々しすぎるって!
勝手に恥ずかしい二つ名をつけられたことと上位9人に勝手に入れられたことに腹を立てながら待っていると、見知った顔が次々と集まっていく。
最初からホール内に居る腕を組んで座席に座っている男は、「天破」のバスク。
彼は弟子の中で一番強い男だった。それに高身長、イケメン、性格も超良いと天は二物も三物も与えるのだと思った。
彼からの信頼はなぜか厚く、バルカンさんを探す旅に出るとき、「一緒に来ないか?」と提案を受けたほどである。
現在は、ミランゼンを拠点とし、無休で人助けを行っている。俺のナワバリの街でも彼の噂を耳にするほど超有名人、スーパーヒーローなのである。
俺の代わりにこれからも頑張ってくれ。
俺の隣の席に座ってきた女性は、「断罪の剣」のミライ。
彼女は修行生活時代に交流の深かった異性の弟子だ。
トゲトゲしたピアスは今も付けており、さらに黒マスクも付けるようになっていた。…あの、女性暴走族の方ですか??
話しかけられたときは怖くて一瞬固まってしまった。
性格はあの頃のままでクールだった。
なんとリッカと同じ場所を拠点として活動しているらしい。リッカが俺に会いたがってるから、余裕があれば来てほしいとのことだった。
リッカは俺と話すとき、たまにプリプリツンツンしていて可愛かったなぁ。俺としても会いに行く理由があるため、この集会が終わった後早く依頼を片付けてしまおう。
バスクの隣に座った男は、「復讐者」のリフルト。
彼は人望あり、実力あり、皆から好かれ、ヒーロー活動ではリーダー的な役割をいつも担っていた頼れる存在だ。異性の世話人たちからバスクと同じくらいモテてたな。
現在は俺と同じく街を創り、そこで統治者として活動しているらしい。
だけど、なんか雰囲気が変わったな?
派手なマントに高級そうなスーツを身に纏っているが、顔はゲッソリとして俺と同じくらい目の下に隈ができている。
統治者って国を運営してるもんな。処理した仕事量より新たに生まれた仕事量の方が多そう。頑張ってね。
俺の正面の席に座る男は、「時計塔」のタイム。
彼はバルカンさんがいなくなった日に旅には出ず、寺で俺たちの帰りを待った者のひとりだ。
糸目で長髪、フレーム無しのメガネといかにも裏切りそうな見た目をしているが、ただの生真面目な良い人だ。救助した人に「く、黒幕!?」と言われていたときは笑ってしまった。
今でも交流があり、食糧や水を寺に渡す代わりに、たまに彼には依頼に同行してもらっている。物々交換というやつだ。無償で物を与えるなんてヒーローみてぇなことはしない。
なんか俺への信頼がめちゃくちゃ厚い。今も俺に対して「調子はどうだい?予定が合えばまた依頼に呼んでくれないかい?」等、熱く語りかけている。
いや、久しぶりのメンツもいるんだからまずそっちに話しかけろよ。あ、ほら、バスクやリフルトが会話に入りたそうにこちらをチラチラと見ている。
端っこの席に座っている無精髭のおじさんは、「曲力」のカイガ。
同じ弟子の中でも最年長(たぶん30代前半くらい?)だ。
カイガさんとは、年も離れていて、お互いあまり話さない方だったので少し気まずい。
バルカンさん探しの旅をしながら、各地の景観のデッサンをして回っているらしい。
両脇に背が小さく童顔な少年世話人を挟んで豪快に座っている女性は、「地鳴り」のバンカ。
180cmと高身長で衣服の上からでもわかる筋肉を持つ女性である。厄災獣の毛皮のマントに爪のネックレスなど、見るからに野蛮さが際立っている。
性格は男勝りで、可愛らしい男性を好み、食べている。彼女からしたら、そのような行為はただのストレス発散でしかないという。
タイムと同じく、世話人を守るために寺に残った者のひとりだ。タイムとは性格が合わず、度々彼からバンカに対する不満を耳にする。
バンカの世話人の隣に座り、現在進行系でバンカから猛烈アプローチを受けて顔が青ざめている少年は、「天命を掴む者」のヨウ。
九頭竜のメンバーの中で最年少で、容姿は平凡といった感じだ。
彼のアレテーは運要素が強く、調子が良ければ強力だが、氣の使い方はまだ未熟だ。
ヨウ自身も自分の弱点を知っているため、各地を回って人助けをしながら、氣の使い方を習熟するため努力しているらしい。
最後に、ここに唯一いないメンバーである「無尽僧」のラカン。
彼もバスクに実力は負けず劣らずの猛者だった。バスクと血の繋がった弟だが、容姿は全く似ておらず、顔は強面でバスクとは違ったカッコよさがある。なんか皆と画風が違うし。
俺に負けず劣らず話さない方だが、俺と違ってコミュ症というより、寡黙が似合う男だった。ちくしょー!
バスクと共に旅に出たはずだが、ラカンは出席していない。
ラカン以外の全員が揃い、バスクの専任世話人がモニターの脇に立つ。
その世話人の表情はガチガチに緊張していた。
「く、く、九頭竜の皆さま、お久しぶりです!!!
九頭竜集会に集まっていただきありがとうございまふっ!
あっ、噛んじゃったぁ」
こうして気が引き締まらない集会が始まった。
いつもは弟子も世話人もバルカンさんも皆集まって朝食をとるから、バルカンさん以外の全員が大広間に集まっていた。
しかし、バルカンさんは朝食の時間になっても大広間に来ることはなかった。
皆で寺全体や修行場など、バルカンさんが居そうな所をすべて探した。
どこにもいなかった。
バルカンさんの私室にも行く宛や俺たちへ向けた伝言のようなものはなかった。
皆で話し合い、バルカンさんを探すために各自で旅を行うことが決まった。
中には寺で待つことを選ぶ者もいた。
そこからまた数年が経過し、俺の転生した肉体年齢は26歳と前世の年齢と並んだ。
結局、誰もバルカンさんを見つけることはできず、死んだという噂も流れていた。
そして、散った弟子の中にも、厄災獣やならず者と戦い命を落としてしまったり、修行で身につけた力で悪行を成す弟子まで現れたという情報を耳に入れた。
他の弟子たちも自身の目標のために奔走しているらしい。
そんな中、俺は傭兵をやっている。
寺とは少し離れた街を俺の縄張りとし、ホルンにも傭兵稼業の運営を手伝ってもらっている。
バルカンさんは「修行で得た力は平和な時代を築くこと以外に使ってはならない。もし、悪行を成せば相手が弟子でも加減はしない。」と言ってたけど、消息不明だから別にイイよね!
小悪党生活も上手くいっている。
俺のナワバリとしているこの街は、元々30人程度が住む集落だった。
廃ビルが並び、こぢんまりと暮らしている集落に俺が目をつけた理由はひとつ。それは、飲用水が豊富だったからだ。
この世界では貨幣に価値はなく、食糧や飲用水、ガソリン、武器の価値のほうが高かった。
タイミング良く、ならず者たちが飲用水目当てで街を襲おうとしたので俺が駆けつけて倒し、恩を売ることができた。
こうして俺はこの街の用心棒的存在となったのだ。
そこからはある協会の孤児院から依頼の報酬としていただいた芋の種を街で植えて育てて将来的な食糧難を回避したり、最低限の氣の使い方を街の住人に教えたりした。
そしたらなんかこの街に住みたいって人がいっぱい来て現在のこの街は結構栄えている。
そのためたまに住民に向けて「食糧くれよ」的な悪い笑みを浮かべると食糧を持ってきてくれる。心は痛むが、小悪党していると思う。
そして現在、俺は弟子たちの同窓会、ではなく今後の皆の活動指針といった情報を共有する集会に赴いている。
場所はバスクが拠点として活動している大都市「ミランゼン」の元文化ホールだった。
この集会の名は「九頭竜集会」と言うらしく、「九頭竜」とはバルカンさんの弟子の中でも実力上位9人を指し示すらしい。
………あれ?なんで俺が招集されてんの??
試合では結構手を抜いて負けたりしたはずだったんだけどな。
しかも、俺に二つ名っぽいのが勝手につけられてやがった!
「千手殺のジャド」って、禍々しすぎるって!
勝手に恥ずかしい二つ名をつけられたことと上位9人に勝手に入れられたことに腹を立てながら待っていると、見知った顔が次々と集まっていく。
最初からホール内に居る腕を組んで座席に座っている男は、「天破」のバスク。
彼は弟子の中で一番強い男だった。それに高身長、イケメン、性格も超良いと天は二物も三物も与えるのだと思った。
彼からの信頼はなぜか厚く、バルカンさんを探す旅に出るとき、「一緒に来ないか?」と提案を受けたほどである。
現在は、ミランゼンを拠点とし、無休で人助けを行っている。俺のナワバリの街でも彼の噂を耳にするほど超有名人、スーパーヒーローなのである。
俺の代わりにこれからも頑張ってくれ。
俺の隣の席に座ってきた女性は、「断罪の剣」のミライ。
彼女は修行生活時代に交流の深かった異性の弟子だ。
トゲトゲしたピアスは今も付けており、さらに黒マスクも付けるようになっていた。…あの、女性暴走族の方ですか??
話しかけられたときは怖くて一瞬固まってしまった。
性格はあの頃のままでクールだった。
なんとリッカと同じ場所を拠点として活動しているらしい。リッカが俺に会いたがってるから、余裕があれば来てほしいとのことだった。
リッカは俺と話すとき、たまにプリプリツンツンしていて可愛かったなぁ。俺としても会いに行く理由があるため、この集会が終わった後早く依頼を片付けてしまおう。
バスクの隣に座った男は、「復讐者」のリフルト。
彼は人望あり、実力あり、皆から好かれ、ヒーロー活動ではリーダー的な役割をいつも担っていた頼れる存在だ。異性の世話人たちからバスクと同じくらいモテてたな。
現在は俺と同じく街を創り、そこで統治者として活動しているらしい。
だけど、なんか雰囲気が変わったな?
派手なマントに高級そうなスーツを身に纏っているが、顔はゲッソリとして俺と同じくらい目の下に隈ができている。
統治者って国を運営してるもんな。処理した仕事量より新たに生まれた仕事量の方が多そう。頑張ってね。
俺の正面の席に座る男は、「時計塔」のタイム。
彼はバルカンさんがいなくなった日に旅には出ず、寺で俺たちの帰りを待った者のひとりだ。
糸目で長髪、フレーム無しのメガネといかにも裏切りそうな見た目をしているが、ただの生真面目な良い人だ。救助した人に「く、黒幕!?」と言われていたときは笑ってしまった。
今でも交流があり、食糧や水を寺に渡す代わりに、たまに彼には依頼に同行してもらっている。物々交換というやつだ。無償で物を与えるなんてヒーローみてぇなことはしない。
なんか俺への信頼がめちゃくちゃ厚い。今も俺に対して「調子はどうだい?予定が合えばまた依頼に呼んでくれないかい?」等、熱く語りかけている。
いや、久しぶりのメンツもいるんだからまずそっちに話しかけろよ。あ、ほら、バスクやリフルトが会話に入りたそうにこちらをチラチラと見ている。
端っこの席に座っている無精髭のおじさんは、「曲力」のカイガ。
同じ弟子の中でも最年長(たぶん30代前半くらい?)だ。
カイガさんとは、年も離れていて、お互いあまり話さない方だったので少し気まずい。
バルカンさん探しの旅をしながら、各地の景観のデッサンをして回っているらしい。
両脇に背が小さく童顔な少年世話人を挟んで豪快に座っている女性は、「地鳴り」のバンカ。
180cmと高身長で衣服の上からでもわかる筋肉を持つ女性である。厄災獣の毛皮のマントに爪のネックレスなど、見るからに野蛮さが際立っている。
性格は男勝りで、可愛らしい男性を好み、食べている。彼女からしたら、そのような行為はただのストレス発散でしかないという。
タイムと同じく、世話人を守るために寺に残った者のひとりだ。タイムとは性格が合わず、度々彼からバンカに対する不満を耳にする。
バンカの世話人の隣に座り、現在進行系でバンカから猛烈アプローチを受けて顔が青ざめている少年は、「天命を掴む者」のヨウ。
九頭竜のメンバーの中で最年少で、容姿は平凡といった感じだ。
彼のアレテーは運要素が強く、調子が良ければ強力だが、氣の使い方はまだ未熟だ。
ヨウ自身も自分の弱点を知っているため、各地を回って人助けをしながら、氣の使い方を習熟するため努力しているらしい。
最後に、ここに唯一いないメンバーである「無尽僧」のラカン。
彼もバスクに実力は負けず劣らずの猛者だった。バスクと血の繋がった弟だが、容姿は全く似ておらず、顔は強面でバスクとは違ったカッコよさがある。なんか皆と画風が違うし。
俺に負けず劣らず話さない方だが、俺と違ってコミュ症というより、寡黙が似合う男だった。ちくしょー!
バスクと共に旅に出たはずだが、ラカンは出席していない。
ラカン以外の全員が揃い、バスクの専任世話人がモニターの脇に立つ。
その世話人の表情はガチガチに緊張していた。
「く、く、九頭竜の皆さま、お久しぶりです!!!
九頭竜集会に集まっていただきありがとうございまふっ!
あっ、噛んじゃったぁ」
こうして気が引き締まらない集会が始まった。
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