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五個目の車輪と蛇の足
ひっそり静かな生活(主観的には)***素晴らしき新居
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小さな一軒家は、玄関を開ければすぐに居間兼食堂兼寝室で、まあ、広さこそそこそこあるけど一部屋しかない。部屋の奥に据えたベッドは衝立で目隠しした。いえ、来客があるわけでなし、シルヴァとは毎晩一緒に寝てますし、隠す必要性もあまりないといえるのだけど、なんとなく。
そして台所や浴室、トイレと水回りは不自由なく清潔で使いやすく、ベッドと洗濯機と冷蔵庫は貯金をはたいて、いいものを整えた。洗濯機や冷蔵庫は、動力となる魔石の補充に維持費がかかるため、まだまだ贅沢品扱いだけれど、私は魔石に魔力を自分で補充できるので初期投資だけでいい。
シルヴァは数日おきくらいにお出かけをする。長くても半日かからずに帰ってきてくれます。
そして今みたいに嬉しそうにお土産をくれるのです。それは美味しそうな謎肉であったり、南国の珍しい果物であったり、綺麗な上に高い薬効のある花であったり、ぴかぴかに輝く石だったり、こう、見事な、枝?であったり。枝は本当に枝というかその辺に落ちてるような木の枝で、しかも何かこだわりがシルヴァ的にあるらしい。
大切そうにくれるから、大切にとっておいたりしてたのだけど、何故か枝だけは入れ替わり方式なのか、前にくれた枝は捨てられてしまう。やっぱりちょっとわからないけど、可愛いからいいです。
昔から遊びに来てくれる時には必ずこうしてお土産を持ってきてくれていた。ああ、でも一緒に暮らし始めてからは肉率が高いかもしれない。
じゅうじゅうと脂を弾かせるステーキはレアで焼き上げ、ショーユソースで味付ける。シルヴァには私の顔くらいの大きさのを三枚。私は掌半分サイズのを一枚。朝ごはんだから味見程度。やはり口の中で蕩ける謎肉。美味しい。
あとは裏の小さな畑で収穫できたナスや、森に生えてるキノコや木の実を適当にいれたトマトスープと、さくさくに温めたパン。
身体の大きさからいって、今テーブルに載ってる量では足りないんじゃないかと最初は心配だった。でもきっと調理して私と一緒に食べてるのは、シルヴァにとってオヤツらしい。多分シルヴァのお出かけは食事であって、一番美味しいところを持って帰ってきてくれてる。残りは現地でそのまま踊り食い?なのでしょう。
「きゅ」
数日前にとってきてくれた甘い果実をひと切れ、爪にひっかけて、私の口元に差し出してくれる。
バターを切るように木の幹を切り倒す鋭い爪は、けして私を傷つけない。
爪ごとぱくりとくわえて食べさせてもらえば、シルヴァのしっぽがぴーんと立って、尾の先だけくるくる回してる。器用。
「ねえ、シルヴァ。シルヴァがお出かけの間に薬草摘んできたの。そろそろパンもなくなるし、村に行こうか」
「きゅーう」
しっぽはご機嫌にゆったりと左右に揺れている。
◇◇◇
「きゃっふぅうう!」
木々の間隔は禁呪の森より広いけど、シルヴァの駆けるスピードでは視界が狭まってスリルが増します。
私を抱き上げてくれるシルヴァの首にしっかりと腕を回してしがみついて、縦横無尽に駆け跳びはねる爽快さに嬌声もあがるというもの。シルヴァ専用の肩掛けカバンも私のお尻の下で弾んでいる。肩掛けといってもシルヴァは肩がないので首掛けですが。
「あはっあはははっあー面白かった!」
平原からいきなり立ち上がるこの森の端からは、近くの村を囲う壁が見える。いつも通り降ろしてもらって、手を繋いで歩き出します。シルヴァが少し背伸びして、私のローブのフードの端をちょいと咥えてかぶせてくれようとするのを、屈んで手伝った。ありがとと言えば、くるると眉間をちろり舐めてこたえてくれる。
公爵家からは勿論、城で与えられていた部屋から持ちだしたものはほとんどない。昔シルヴァがくれたお土産と、こっそり貯めてた給金で買った平民服や旅装くらい。
今日も編み上げ襟の綿シャツとゆったりめの女性用トラウザーズに、ショートブーツと身軽な平民服に膝までのローブを羽織っている。薬草採取などで森を歩くには、スカートは少し危険だし、このほうが動きやすくていい。
公務といっても、あくまで王太子や王妃の補佐であって、しかも教育の名のもとに行われていましたから、手当などありませんでした。婚約者としての予算はありましたが、それはあくまで公務を行うためのもの。私が自由に使えるお金ではありません。控えめにいってうんこです。この言い回しは村のおばさまが教えてくれました。
哀れに思ってくれたらしい資料室のおじさまが、補佐や研修生でもなく婚約者でもない『平民で見習いのシャルロット』を雇ったものとして給金を出してくれるようになりました。小遣い程度にしかならなくて申し訳ないと言ってくれましたけど、とんでもない。それがこうしてシルヴァとの生活する資金になったのですから。
政務を行う執務宮には、そうして陰ながら私を助けてくれる人が何人かいました。ポケットに隠しやすい飴や個別包装された焼き菓子を選んで、お茶にそえてくれた助手の方。持ちこまれる書類をいったん抑えて、うたた寝できる時間を作り出してくれた伝令役の方。
彼らには、シルヴァがくれた魔石を使って作ったお守りをこっそり渡してきました。そこそこいい出来ですので、役には立っているはずです。疲労回復とか魔物除けとか色々。ああ、見つかったら意味のないような魔物除けじゃないです。シルヴァの魔力も入ってますからね、それはもう。
「よう、シャルロットちゃん、買い物かい?」
「こんにちは。パンを買うのと、薬草を売りに来たの」
「……肉は?」
門番のジムさんが、少し屈み気味に声を落とし訊いてきます。今朝シルヴァがとってきてくれたお肉の三分の一ほどが、シルヴァのカバンにはいっているのですけど、よい勘してますね。シルヴァは新鮮なお肉じゃないと見向きもしないので、食べきれない分は時々村の食堂に売ったりします。謎肉なのに人気だとか。
「ちょっとだけ」と答えると、よしっと拳を握って気合をいれてました。
最初にこのルイガス村を訪れた時には、さすがにちょっと騒然としたものだけど、今ではなんということもありません。
村と言っても、町よりの村というか、国境近くの辺境地の割に大き目のこの村は、隣国が獣人の国なだけあって獣人が割と多い。そして魔物使いという職種は獣人に多く、この村では従魔を連れている者が珍しくない。なので、シルヴァを連れていても平気だろうと思いました。竜を直接見たことある人なんてそういないだろうしと。
甘かったです。すごい勢いで遠ざかられました。
でも、令嬢力を奮い起こして、平然としたまま手を繋いで買い物を続ける私たちに、危険はないとそのうち判断してくれました。トカゲの変異種だと思われてるようですけど、シルヴァも気にしてないからいいです。強き者は些末なことなど気にしないのです。
「お裾分けありがとよ!」
ジムさんが気軽に頭を撫でても、一向に気にしないシルヴァ。私はちょっと気になるので、ぺしっとその手を払いました。私は弱き者なのでいいのです。いつものことですし、シルヴァは私だけのですし。
そして台所や浴室、トイレと水回りは不自由なく清潔で使いやすく、ベッドと洗濯機と冷蔵庫は貯金をはたいて、いいものを整えた。洗濯機や冷蔵庫は、動力となる魔石の補充に維持費がかかるため、まだまだ贅沢品扱いだけれど、私は魔石に魔力を自分で補充できるので初期投資だけでいい。
シルヴァは数日おきくらいにお出かけをする。長くても半日かからずに帰ってきてくれます。
そして今みたいに嬉しそうにお土産をくれるのです。それは美味しそうな謎肉であったり、南国の珍しい果物であったり、綺麗な上に高い薬効のある花であったり、ぴかぴかに輝く石だったり、こう、見事な、枝?であったり。枝は本当に枝というかその辺に落ちてるような木の枝で、しかも何かこだわりがシルヴァ的にあるらしい。
大切そうにくれるから、大切にとっておいたりしてたのだけど、何故か枝だけは入れ替わり方式なのか、前にくれた枝は捨てられてしまう。やっぱりちょっとわからないけど、可愛いからいいです。
昔から遊びに来てくれる時には必ずこうしてお土産を持ってきてくれていた。ああ、でも一緒に暮らし始めてからは肉率が高いかもしれない。
じゅうじゅうと脂を弾かせるステーキはレアで焼き上げ、ショーユソースで味付ける。シルヴァには私の顔くらいの大きさのを三枚。私は掌半分サイズのを一枚。朝ごはんだから味見程度。やはり口の中で蕩ける謎肉。美味しい。
あとは裏の小さな畑で収穫できたナスや、森に生えてるキノコや木の実を適当にいれたトマトスープと、さくさくに温めたパン。
身体の大きさからいって、今テーブルに載ってる量では足りないんじゃないかと最初は心配だった。でもきっと調理して私と一緒に食べてるのは、シルヴァにとってオヤツらしい。多分シルヴァのお出かけは食事であって、一番美味しいところを持って帰ってきてくれてる。残りは現地でそのまま踊り食い?なのでしょう。
「きゅ」
数日前にとってきてくれた甘い果実をひと切れ、爪にひっかけて、私の口元に差し出してくれる。
バターを切るように木の幹を切り倒す鋭い爪は、けして私を傷つけない。
爪ごとぱくりとくわえて食べさせてもらえば、シルヴァのしっぽがぴーんと立って、尾の先だけくるくる回してる。器用。
「ねえ、シルヴァ。シルヴァがお出かけの間に薬草摘んできたの。そろそろパンもなくなるし、村に行こうか」
「きゅーう」
しっぽはご機嫌にゆったりと左右に揺れている。
◇◇◇
「きゃっふぅうう!」
木々の間隔は禁呪の森より広いけど、シルヴァの駆けるスピードでは視界が狭まってスリルが増します。
私を抱き上げてくれるシルヴァの首にしっかりと腕を回してしがみついて、縦横無尽に駆け跳びはねる爽快さに嬌声もあがるというもの。シルヴァ専用の肩掛けカバンも私のお尻の下で弾んでいる。肩掛けといってもシルヴァは肩がないので首掛けですが。
「あはっあはははっあー面白かった!」
平原からいきなり立ち上がるこの森の端からは、近くの村を囲う壁が見える。いつも通り降ろしてもらって、手を繋いで歩き出します。シルヴァが少し背伸びして、私のローブのフードの端をちょいと咥えてかぶせてくれようとするのを、屈んで手伝った。ありがとと言えば、くるると眉間をちろり舐めてこたえてくれる。
公爵家からは勿論、城で与えられていた部屋から持ちだしたものはほとんどない。昔シルヴァがくれたお土産と、こっそり貯めてた給金で買った平民服や旅装くらい。
今日も編み上げ襟の綿シャツとゆったりめの女性用トラウザーズに、ショートブーツと身軽な平民服に膝までのローブを羽織っている。薬草採取などで森を歩くには、スカートは少し危険だし、このほうが動きやすくていい。
公務といっても、あくまで王太子や王妃の補佐であって、しかも教育の名のもとに行われていましたから、手当などありませんでした。婚約者としての予算はありましたが、それはあくまで公務を行うためのもの。私が自由に使えるお金ではありません。控えめにいってうんこです。この言い回しは村のおばさまが教えてくれました。
哀れに思ってくれたらしい資料室のおじさまが、補佐や研修生でもなく婚約者でもない『平民で見習いのシャルロット』を雇ったものとして給金を出してくれるようになりました。小遣い程度にしかならなくて申し訳ないと言ってくれましたけど、とんでもない。それがこうしてシルヴァとの生活する資金になったのですから。
政務を行う執務宮には、そうして陰ながら私を助けてくれる人が何人かいました。ポケットに隠しやすい飴や個別包装された焼き菓子を選んで、お茶にそえてくれた助手の方。持ちこまれる書類をいったん抑えて、うたた寝できる時間を作り出してくれた伝令役の方。
彼らには、シルヴァがくれた魔石を使って作ったお守りをこっそり渡してきました。そこそこいい出来ですので、役には立っているはずです。疲労回復とか魔物除けとか色々。ああ、見つかったら意味のないような魔物除けじゃないです。シルヴァの魔力も入ってますからね、それはもう。
「よう、シャルロットちゃん、買い物かい?」
「こんにちは。パンを買うのと、薬草を売りに来たの」
「……肉は?」
門番のジムさんが、少し屈み気味に声を落とし訊いてきます。今朝シルヴァがとってきてくれたお肉の三分の一ほどが、シルヴァのカバンにはいっているのですけど、よい勘してますね。シルヴァは新鮮なお肉じゃないと見向きもしないので、食べきれない分は時々村の食堂に売ったりします。謎肉なのに人気だとか。
「ちょっとだけ」と答えると、よしっと拳を握って気合をいれてました。
最初にこのルイガス村を訪れた時には、さすがにちょっと騒然としたものだけど、今ではなんということもありません。
村と言っても、町よりの村というか、国境近くの辺境地の割に大き目のこの村は、隣国が獣人の国なだけあって獣人が割と多い。そして魔物使いという職種は獣人に多く、この村では従魔を連れている者が珍しくない。なので、シルヴァを連れていても平気だろうと思いました。竜を直接見たことある人なんてそういないだろうしと。
甘かったです。すごい勢いで遠ざかられました。
でも、令嬢力を奮い起こして、平然としたまま手を繋いで買い物を続ける私たちに、危険はないとそのうち判断してくれました。トカゲの変異種だと思われてるようですけど、シルヴァも気にしてないからいいです。強き者は些末なことなど気にしないのです。
「お裾分けありがとよ!」
ジムさんが気軽に頭を撫でても、一向に気にしないシルヴァ。私はちょっと気になるので、ぺしっとその手を払いました。私は弱き者なのでいいのです。いつものことですし、シルヴァは私だけのですし。
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