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第四章 隣国の少女達
第105話 厄災は広がり 2
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意識を取り戻した私は、瘴気で囲まれたこの空間から動けずにいた。
これほどの瘴気ならば、私は触れた瞬間に気絶してしまうだろう。
別に鉄の檻に囲まれている訳でもないのに、そこは私にとっては檻の中同然だった。
『大切な存在を守りきれますか』
あの時、確かにロードライト様はそう言った。
それは、私にとって大切な存在が危険な目にあっているという事だ。
なんとかしないといけない。
たとえ気絶するかもしれなくても、死ぬほど苦しくても、ここから出ないと。
結界を張って、息を止めていれば、少しはましなはず。精霊達もいない以上、私だけでなんとかしなければ。
私は、自分の周りに小規模な結界を張る。そして、軽く呼吸を繰り返して、息を止めた。
瘴気が目に見えているから、周りの様子が分からないけど、手探りで進んでみる。
ゆっくり進まないと、結界の外に出てしまう。まだ、そこまで魔力の制御がうまい訳でもない。
息を止められなくなったら、そこで止まって、呼吸を整えて、また進む。それを繰り返していた。
しばらくすると、正面の方から足音がする。
その足音に警戒して足を止める。しばらく待ってみると、瘴気の中から黒い布を纏った少女が出てくる。
「リーズ!」
「そこにいたか」
リーズは、結界越しに私を視認する。
結界を解きたいところだけど、解いてしまったら私は一瞬で気絶してしまうので、それは出来ない。
私は、意識が保てているうちにと、先ほどの出来事をリーズに話した。
リーズは、少し考えるような動作をして、私に言う。
「なら、お前が止めるしかないだろ。私はお世辞にも聖女とは言えないし、お前の聖属性の魔力を全力でぶつければ、なんとかなるかもしれない」
「それはそうかもだけど……」
でも、それだと、ロードライト様はどうなるんだろうか。
私だけでなく、ロードライト様もきっと、無事では済まない。
別に、あの人が好きなわけではないし、学園を襲撃して、母様を狙おうとした事を、いまだに許してはいない。
でも……それでも、あの人にはあの人なりの理由があって。それは、決して一方的に責められる理由でもない。
「……母様に会ってみよう。私達がいない事に気づいてるなら、探してるかも」
「……ああ、分かった。私が通ってきた所にはいなかったから、引き返して向こうに行ってみるか」
リーズは、なんで私が母様に会おうとするのかは聞かなかった。
分かっていたのかもしれないし、聞けなかったのかもしれない。でも、リーズが変にたずねたりしなかったから、少し気持ちが軽くなる。
「瘴気からはある程度は守ってやるから、私の前から出るなよ」
「うん」
私が頷くと、リーズは先導し始める。いつもよりもスピードは遅かった。
どうやら、早く動くのが難しいという事も分かっているみたい。
やっぱり、リーズは優しい。ぶっきらぼうな所もあるけど、きっと、私よりも。
しばらく歩くけど、母様は見つからない。
まだ、ここまでは来ていないのかも。
そう諦めかけた時、目の前の瘴気が一瞬にして塵と化した。まるで、消し飛んだかのように。
そして、その瘴気の向こうから現れたのは、私が、良く知っている人だった。
「迎えに来ましたよ、カオルちゃん。リーズちゃん」
「母様!」
「待て」
私が駆け寄ろうとすると、リーズが腕で制してくる。
そして、リーズは、じっと向こうを見つめ返す。
「お前……母上じゃないな?誰だ」
リーズは、冷たくそう言った。私は、え?と思ったけど、すぐにおかしな事に気づく。
母様は、にこりと微笑むだけで、特にこっちに来ない。母様なら、誘拐された私達を見つけたら、間違いなく駆け寄ってくるはずだ。
でも、あの母様はそんな事をしてこない。
そういえば、前もこのような事があった。あの時は、確か学園長にーーあっ!
私は、そこで気がついた。
「変わらず警戒心がお強いですね、邪龍の娘さんは。いや、リーズさんはというべきですかね?」
そう言いながら、だんだんと目の前の母様は霧のようになっていく。
完全に霧になり、再び集った時、目の前には女性が立っていた。
会った事はない。姿を見た事はない。でも、それがなんなのか、なんとくわかった。
「レティア……さ、ま……?」
目の前の女性は、静かに微笑んだ。
これほどの瘴気ならば、私は触れた瞬間に気絶してしまうだろう。
別に鉄の檻に囲まれている訳でもないのに、そこは私にとっては檻の中同然だった。
『大切な存在を守りきれますか』
あの時、確かにロードライト様はそう言った。
それは、私にとって大切な存在が危険な目にあっているという事だ。
なんとかしないといけない。
たとえ気絶するかもしれなくても、死ぬほど苦しくても、ここから出ないと。
結界を張って、息を止めていれば、少しはましなはず。精霊達もいない以上、私だけでなんとかしなければ。
私は、自分の周りに小規模な結界を張る。そして、軽く呼吸を繰り返して、息を止めた。
瘴気が目に見えているから、周りの様子が分からないけど、手探りで進んでみる。
ゆっくり進まないと、結界の外に出てしまう。まだ、そこまで魔力の制御がうまい訳でもない。
息を止められなくなったら、そこで止まって、呼吸を整えて、また進む。それを繰り返していた。
しばらくすると、正面の方から足音がする。
その足音に警戒して足を止める。しばらく待ってみると、瘴気の中から黒い布を纏った少女が出てくる。
「リーズ!」
「そこにいたか」
リーズは、結界越しに私を視認する。
結界を解きたいところだけど、解いてしまったら私は一瞬で気絶してしまうので、それは出来ない。
私は、意識が保てているうちにと、先ほどの出来事をリーズに話した。
リーズは、少し考えるような動作をして、私に言う。
「なら、お前が止めるしかないだろ。私はお世辞にも聖女とは言えないし、お前の聖属性の魔力を全力でぶつければ、なんとかなるかもしれない」
「それはそうかもだけど……」
でも、それだと、ロードライト様はどうなるんだろうか。
私だけでなく、ロードライト様もきっと、無事では済まない。
別に、あの人が好きなわけではないし、学園を襲撃して、母様を狙おうとした事を、いまだに許してはいない。
でも……それでも、あの人にはあの人なりの理由があって。それは、決して一方的に責められる理由でもない。
「……母様に会ってみよう。私達がいない事に気づいてるなら、探してるかも」
「……ああ、分かった。私が通ってきた所にはいなかったから、引き返して向こうに行ってみるか」
リーズは、なんで私が母様に会おうとするのかは聞かなかった。
分かっていたのかもしれないし、聞けなかったのかもしれない。でも、リーズが変にたずねたりしなかったから、少し気持ちが軽くなる。
「瘴気からはある程度は守ってやるから、私の前から出るなよ」
「うん」
私が頷くと、リーズは先導し始める。いつもよりもスピードは遅かった。
どうやら、早く動くのが難しいという事も分かっているみたい。
やっぱり、リーズは優しい。ぶっきらぼうな所もあるけど、きっと、私よりも。
しばらく歩くけど、母様は見つからない。
まだ、ここまでは来ていないのかも。
そう諦めかけた時、目の前の瘴気が一瞬にして塵と化した。まるで、消し飛んだかのように。
そして、その瘴気の向こうから現れたのは、私が、良く知っている人だった。
「迎えに来ましたよ、カオルちゃん。リーズちゃん」
「母様!」
「待て」
私が駆け寄ろうとすると、リーズが腕で制してくる。
そして、リーズは、じっと向こうを見つめ返す。
「お前……母上じゃないな?誰だ」
リーズは、冷たくそう言った。私は、え?と思ったけど、すぐにおかしな事に気づく。
母様は、にこりと微笑むだけで、特にこっちに来ない。母様なら、誘拐された私達を見つけたら、間違いなく駆け寄ってくるはずだ。
でも、あの母様はそんな事をしてこない。
そういえば、前もこのような事があった。あの時は、確か学園長にーーあっ!
私は、そこで気がついた。
「変わらず警戒心がお強いですね、邪龍の娘さんは。いや、リーズさんはというべきですかね?」
そう言いながら、だんだんと目の前の母様は霧のようになっていく。
完全に霧になり、再び集った時、目の前には女性が立っていた。
会った事はない。姿を見た事はない。でも、それがなんなのか、なんとくわかった。
「レティア……さ、ま……?」
目の前の女性は、静かに微笑んだ。
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