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序章 双子の精霊は旅に出る
1. 転生しました
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澄みわたる青い空。青々と茂る草原。ところどころには、太陽の光を浴びて、ぐんと背を伸ばす木々がある。
その木々のうちの一本に、僕らはいた。僕ーールートは、木の枝に腰かけて、木々の隙間から吹く風でリラックスしていた。
そして、僕の他にもう一人。
木の根元で、ごろんと寝そべっている……というか、ぐーすかと寝ている女の子がいる。
その子は、僕と同じ神秘的な白金の髪をしている、美しい少女だ。
僕は、枝からぴょんと飛び降りて、その子の側に着地する。
そして、ゆさゆさと体を揺らした。
「ルーナ、起きて。もう時間だよ」
「んあ……?」
その子ーールーナは、ゆっくりと目を開ける。
その瞳は、夕焼けのような黄金色だ。
「もうちょっと……」
「早く行かないと、夜までにつけないよ。街のベッドで寝れなくてもいいの?」
再び閉じようとしていた瞳は、僕のその言葉でカッと見開いた。
「それは嫌!」
「じゃあ、行こう。いつものペースで行けば大丈夫だから」
僕が手を差し出すと、ルーナはこくりと頷いて、起き上がりながら、僕の手を握る。
そして僕らは、平らにならされた道を歩いていく。
とりあえず、野宿をしないために。
◇◇◇
さて、僕らがなんで二人でこんなことをしているのか。
それは、およそ百年前……僕が神に誘拐されたところから始まる。
「僕の世界に来てほしいんです!」
青年が、そう言いながら、土下座……とまではいかないけど、かなり深く頭を下げていた。
青年とはいっても、若々しく見えるからそう言っているだけで、実際の年齢は知らない。
「えぇ……。なんで突然……」
そんなことを言われても、僕はこの人のことを知らないどころか、ここがどこなのかもわかっていない。
周囲は、真っ白な空間で、僕とこの人以外は何もない。
出入り口のようなものも見当たらないので、ここは隔離された閉鎖空間のようなものか、とんでもなく広いかのどちらかかな、というくらいである。
そんななかで、急にそんなことを言われて、僕の頭はついていけずに、もっと言うべきことがあるだろうに、口からはそんな言葉しか出なかった。
でも、なんとなく。本当になんとなくだけど、拒否権がない気がするんだよね、これ。相手は挺身状態だというのに、断るのは許さないというような気迫がある。
「実は、僕の管理している世界があるんですが、そこの魔力がとある事情から穢れていてですね……。浄化の手伝いをしてくれないかと思いまして」
「浄化の手伝い……ですか?」
ずいぶんとファンタジーな話だけど、こんなおかしな空間に連れてこられているからか、不信感はない。
それよりも、なぜ僕にそんなことをさせるのかのほうが気になる。
「ええ。とはいっても、あなたにやってもらうことはないんですけど」
「……はっ?」
自分でもびっくりするくらいに低い声が出た。腹が立つというよりかは、何言ってるんだという呆れのはっ?だ。
さっき手伝いしてほしいって言ってなかった?なんで次の言葉で矛盾させるんだ!やってほしいのかほしくないのかどっちだよ!
「いや、やってほしいです!手伝ってほしいです!直接の浄化はやらないってだけです!」
「じゃあ、何をするの?」
まだ気持ちが抑えられてない僕は、ついタメ口で聞いてしまう。
神は、おどおどしながら答えた。
「監視役……みたいな感じですね。浄化の力を持った子と、一緒に旅をして浄化してくれたらなぁ……と」
監視しないと浄化しないなんて、一体どんな子だという疑問は置いておいて、どうしても聞きたいことがある。
「なんでそんな回りくどいことを?それなら、最初から僕に浄化の力をくれるか、その子に僕を宿らせるとかでもよかったんじゃありません?」
神さまなら、それくらいできそうなものだろうし、そのほうが手間も省けるのに。
「えっと……それが……」
神は、言いにくそうに言葉を詰まらせて、目を泳がせる。
そんなにおかしなことを聞いたのだろうか?
「浄化の力は、僕の管轄ではなくて、他の神がやってるんですけど、その人が、その……女の子好きなので、力を女の子にしか渡さないんですよね……」
はっ?と言わなかった自分を褒めてやりたい。
詳しい事情は知らないけど、浄化する必要があるんじゃないの?なんで好き嫌いで決めるの?
「神のほとんどは、わりと好き勝手してるんですよ。気に入った人間には力を与えるってだけです」
神は苦笑しているけど、その人に他の資質のある者に力を与えさせようと説得するわけでもなく、僕を誘拐している時点で、その神と同類な気がする。
じとっと見ている僕の視線に気づいたのか、神はあわあわと慌て出す。
「ぼ、僕もできる限りの力をあなたに与えますから!」
「……そうですか」
いろいろと言いたいことはあるが、言葉を飲み込む。
起こってしまったことは仕方ない。というか、諦めよう。この人相手に言葉での説得はまず無理だ。この人のなかでは転生は決定事項で、何を言っても覆りそうにないのは、今までの会話でわかった。焦ったりする様子は見せても、本心では断られるなんて微塵も思ってなさそう。
とりあえず、浄化の力を使うという女の子を連れて、旅をすればいいんだろう。ついでに、僕も異世界を好きに楽しめばいい。
なかばやけくそになっていたけど、もう考えるのもめんどくさくなった。
「では、サクッと転生しましょう。どこに行くのかとかは、勝手に決めてくれちゃっていいので!」
神はそう言ってパチンと指を鳴らす。
ちょ、早い早い!
「さすがにいきなりーー」
抗議の言葉は最後まで言い終わることはなく、僕の意識は遠くなった。
その木々のうちの一本に、僕らはいた。僕ーールートは、木の枝に腰かけて、木々の隙間から吹く風でリラックスしていた。
そして、僕の他にもう一人。
木の根元で、ごろんと寝そべっている……というか、ぐーすかと寝ている女の子がいる。
その子は、僕と同じ神秘的な白金の髪をしている、美しい少女だ。
僕は、枝からぴょんと飛び降りて、その子の側に着地する。
そして、ゆさゆさと体を揺らした。
「ルーナ、起きて。もう時間だよ」
「んあ……?」
その子ーールーナは、ゆっくりと目を開ける。
その瞳は、夕焼けのような黄金色だ。
「もうちょっと……」
「早く行かないと、夜までにつけないよ。街のベッドで寝れなくてもいいの?」
再び閉じようとしていた瞳は、僕のその言葉でカッと見開いた。
「それは嫌!」
「じゃあ、行こう。いつものペースで行けば大丈夫だから」
僕が手を差し出すと、ルーナはこくりと頷いて、起き上がりながら、僕の手を握る。
そして僕らは、平らにならされた道を歩いていく。
とりあえず、野宿をしないために。
◇◇◇
さて、僕らがなんで二人でこんなことをしているのか。
それは、およそ百年前……僕が神に誘拐されたところから始まる。
「僕の世界に来てほしいんです!」
青年が、そう言いながら、土下座……とまではいかないけど、かなり深く頭を下げていた。
青年とはいっても、若々しく見えるからそう言っているだけで、実際の年齢は知らない。
「えぇ……。なんで突然……」
そんなことを言われても、僕はこの人のことを知らないどころか、ここがどこなのかもわかっていない。
周囲は、真っ白な空間で、僕とこの人以外は何もない。
出入り口のようなものも見当たらないので、ここは隔離された閉鎖空間のようなものか、とんでもなく広いかのどちらかかな、というくらいである。
そんななかで、急にそんなことを言われて、僕の頭はついていけずに、もっと言うべきことがあるだろうに、口からはそんな言葉しか出なかった。
でも、なんとなく。本当になんとなくだけど、拒否権がない気がするんだよね、これ。相手は挺身状態だというのに、断るのは許さないというような気迫がある。
「実は、僕の管理している世界があるんですが、そこの魔力がとある事情から穢れていてですね……。浄化の手伝いをしてくれないかと思いまして」
「浄化の手伝い……ですか?」
ずいぶんとファンタジーな話だけど、こんなおかしな空間に連れてこられているからか、不信感はない。
それよりも、なぜ僕にそんなことをさせるのかのほうが気になる。
「ええ。とはいっても、あなたにやってもらうことはないんですけど」
「……はっ?」
自分でもびっくりするくらいに低い声が出た。腹が立つというよりかは、何言ってるんだという呆れのはっ?だ。
さっき手伝いしてほしいって言ってなかった?なんで次の言葉で矛盾させるんだ!やってほしいのかほしくないのかどっちだよ!
「いや、やってほしいです!手伝ってほしいです!直接の浄化はやらないってだけです!」
「じゃあ、何をするの?」
まだ気持ちが抑えられてない僕は、ついタメ口で聞いてしまう。
神は、おどおどしながら答えた。
「監視役……みたいな感じですね。浄化の力を持った子と、一緒に旅をして浄化してくれたらなぁ……と」
監視しないと浄化しないなんて、一体どんな子だという疑問は置いておいて、どうしても聞きたいことがある。
「なんでそんな回りくどいことを?それなら、最初から僕に浄化の力をくれるか、その子に僕を宿らせるとかでもよかったんじゃありません?」
神さまなら、それくらいできそうなものだろうし、そのほうが手間も省けるのに。
「えっと……それが……」
神は、言いにくそうに言葉を詰まらせて、目を泳がせる。
そんなにおかしなことを聞いたのだろうか?
「浄化の力は、僕の管轄ではなくて、他の神がやってるんですけど、その人が、その……女の子好きなので、力を女の子にしか渡さないんですよね……」
はっ?と言わなかった自分を褒めてやりたい。
詳しい事情は知らないけど、浄化する必要があるんじゃないの?なんで好き嫌いで決めるの?
「神のほとんどは、わりと好き勝手してるんですよ。気に入った人間には力を与えるってだけです」
神は苦笑しているけど、その人に他の資質のある者に力を与えさせようと説得するわけでもなく、僕を誘拐している時点で、その神と同類な気がする。
じとっと見ている僕の視線に気づいたのか、神はあわあわと慌て出す。
「ぼ、僕もできる限りの力をあなたに与えますから!」
「……そうですか」
いろいろと言いたいことはあるが、言葉を飲み込む。
起こってしまったことは仕方ない。というか、諦めよう。この人相手に言葉での説得はまず無理だ。この人のなかでは転生は決定事項で、何を言っても覆りそうにないのは、今までの会話でわかった。焦ったりする様子は見せても、本心では断られるなんて微塵も思ってなさそう。
とりあえず、浄化の力を使うという女の子を連れて、旅をすればいいんだろう。ついでに、僕も異世界を好きに楽しめばいい。
なかばやけくそになっていたけど、もう考えるのもめんどくさくなった。
「では、サクッと転生しましょう。どこに行くのかとかは、勝手に決めてくれちゃっていいので!」
神はそう言ってパチンと指を鳴らす。
ちょ、早い早い!
「さすがにいきなりーー」
抗議の言葉は最後まで言い終わることはなく、僕の意識は遠くなった。
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