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第一章 優しい家族に拾われて
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想像以上の魔法を使って説教された僕は、アニエスから魔法指導を受けることになった。ちゃんと魔法を制御できるようにするためだという。
ルシウスよりもアニエスのほうが技術も教え方も上手だそうなので、必然的にアニエスとなった。
「まずは魔力を扱う術を身につけるの。アインは感覚で使っているから精密なコントロールができていないのよ」
「理屈はわかるけど、具体的にはどうするの?」
「まずはこれ」
そう言って、アニエスはたらいを見せる。
「このたらいを水で満たしなさい。ただし、溢してはダメ。溢したら最初からやり直しよ」
「……それだけ?」
もっと手取り足取り教えてくるものだと思っていたから、少し呆けてしまうも、アニエスはきっと睨んでくる。
「量を調節するのって結構難しいのよ。シアの部屋を水浸しにしたあなたは余計ね」
アニエスの言葉にムッとなった僕は言い返す。
「そう言うアニエスはできるの?」
「当たり前じゃない」
アニエスは得意気な顔で水を生み出し、たらいを水で満たす。
水は表面張力の膨らみがはっきりと見えるほどに入っており、僅かでも衝撃を加えたら溢れてしまうほどだ。それでも溢れない。
得意気な顔をするだけはあるようだ。アニエスはたらいに入った水を地面に撒いた。
「ほら、今度はアインの番」
「わかった」
僕は慎重に魔力を動かし、たらいに水を出すも、大量に生み出された水は一瞬でたらいから溢れた。
「あう……」
「はい、やり直し」
アニエスは遠慮なくたらいの水をぶちまけた。僕は負けじと再び水を生み出すも、また溢れさせてしまう。
今度は少しずつ溜めていこうと思ったけど、思ったよりも水の出る勢いが強くて再び溢れる。
すぐに終わらせようと思ってたけど、全然終わる気配がない。
これは僕がへたくそなのか、アニエスが上手なのか。どうせなら僕がへたくそなだけであってほしい。
「大丈夫よ、アイン」
「何が」
うまくできないことが思った以上に悔しく思っているらしく、拗ねた返事をしてしまう。ほんとガキみたいだ。
「ルシウスもできないから」
「……そうなの?」
「彼って大雑把だから、こういう繊細さを求められると弱いのよね~」
アニエスはクスクスと笑っている。何が楽しいのかわからないけど、アニエスが笑っていると僕も釣られて笑ってしまう。
「じゃあ、できるようになったらルシウスに見せて驚かせてやりたい」
「あら、いいわね。その時のあいつの顔はきっと見物だわ」
目標ができると一瞬にしてやる気が出てくるのだから、子どもは本当に単純なものだ。
その後も数回ほど繰り返して、ようやく感覚が掴めてきた。
そしてついに。
「よし、できた!」
初めてたらいから溢れさせずに水を満たすことができた。合計で二十回以上は挑戦したと思う。
「おお、やるじゃん」
今まで冷たく「やり直し」としか言わなかったアニエスの口から久しぶりに優しい言葉が出てきた。
僕のために厳しくしてくれていただけで、本当は優しいからね、アニエスは。
「じゃあ、次はもっと小さくしてみようか」
「ち、小さくするの?」
「ええ。最終的にはコップに溢さずに入れられるようになるまでやるわよ」
前言撤回。アニエスはやっぱり優しくない。
ルシウスよりもアニエスのほうが技術も教え方も上手だそうなので、必然的にアニエスとなった。
「まずは魔力を扱う術を身につけるの。アインは感覚で使っているから精密なコントロールができていないのよ」
「理屈はわかるけど、具体的にはどうするの?」
「まずはこれ」
そう言って、アニエスはたらいを見せる。
「このたらいを水で満たしなさい。ただし、溢してはダメ。溢したら最初からやり直しよ」
「……それだけ?」
もっと手取り足取り教えてくるものだと思っていたから、少し呆けてしまうも、アニエスはきっと睨んでくる。
「量を調節するのって結構難しいのよ。シアの部屋を水浸しにしたあなたは余計ね」
アニエスの言葉にムッとなった僕は言い返す。
「そう言うアニエスはできるの?」
「当たり前じゃない」
アニエスは得意気な顔で水を生み出し、たらいを水で満たす。
水は表面張力の膨らみがはっきりと見えるほどに入っており、僅かでも衝撃を加えたら溢れてしまうほどだ。それでも溢れない。
得意気な顔をするだけはあるようだ。アニエスはたらいに入った水を地面に撒いた。
「ほら、今度はアインの番」
「わかった」
僕は慎重に魔力を動かし、たらいに水を出すも、大量に生み出された水は一瞬でたらいから溢れた。
「あう……」
「はい、やり直し」
アニエスは遠慮なくたらいの水をぶちまけた。僕は負けじと再び水を生み出すも、また溢れさせてしまう。
今度は少しずつ溜めていこうと思ったけど、思ったよりも水の出る勢いが強くて再び溢れる。
すぐに終わらせようと思ってたけど、全然終わる気配がない。
これは僕がへたくそなのか、アニエスが上手なのか。どうせなら僕がへたくそなだけであってほしい。
「大丈夫よ、アイン」
「何が」
うまくできないことが思った以上に悔しく思っているらしく、拗ねた返事をしてしまう。ほんとガキみたいだ。
「ルシウスもできないから」
「……そうなの?」
「彼って大雑把だから、こういう繊細さを求められると弱いのよね~」
アニエスはクスクスと笑っている。何が楽しいのかわからないけど、アニエスが笑っていると僕も釣られて笑ってしまう。
「じゃあ、できるようになったらルシウスに見せて驚かせてやりたい」
「あら、いいわね。その時のあいつの顔はきっと見物だわ」
目標ができると一瞬にしてやる気が出てくるのだから、子どもは本当に単純なものだ。
その後も数回ほど繰り返して、ようやく感覚が掴めてきた。
そしてついに。
「よし、できた!」
初めてたらいから溢れさせずに水を満たすことができた。合計で二十回以上は挑戦したと思う。
「おお、やるじゃん」
今まで冷たく「やり直し」としか言わなかったアニエスの口から久しぶりに優しい言葉が出てきた。
僕のために厳しくしてくれていただけで、本当は優しいからね、アニエスは。
「じゃあ、次はもっと小さくしてみようか」
「ち、小さくするの?」
「ええ。最終的にはコップに溢さずに入れられるようになるまでやるわよ」
前言撤回。アニエスはやっぱり優しくない。
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