メトロポリタン

暁エネル

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翔の友達

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車は信号で止まりまた少しゆっくり進むを繰り返していた


「渋滞だなぁ~」


「土曜日だからしょうがないよ」


俺は翔がイライラしない様にそう言った




(翔はさっき無料で食べられるって言ってた 翔はポイントやクーポンを貯めているとか? あんまり翔にそんなイメージはないんだけれど もしかしたらそういうのにハマってるのかもしれない でももしそうだとして 俺に使っていいのか? せっかく貯めたポイントやらを・・・)




俺はそう思いながら車に乗っていた



「やっとここまで来れた 土曜日とかに来た事がないから わからなかったけどスゲ~混んでるなぁ~」


翔はそう言いながら車をUターンさせていた




(翔が行きたいお店ってまさか あのお店だったりして・・・)




俺はキョロキョロと車の外を見ていた


翔は車を長い列に移動させていた


「ねぇ~翔 もしかしてあのお店?」


俺は指をさした


「あぁ~ 駐車場に入るのにも時間がかかりそうだ」


「俺あのお店知ってるよ 雑誌にものってたしテレビにも出ていたよ 俺行ってみたいと思ってたんだ 翔ありがとう凄く嬉しいよ俺・・・」


「そっかそれは良かった だけどまったく進む気がしねぇ~」


翔はそう言ってまた腕をハンドルにのせていた




(弘樹が喜んでいるみたいで良かった 問題はこの長い列だ駐車場にも入れねぇ~)




土曜日に来る事事態が間違いだったと後悔していた




「翔はこのお店に来た事があるの?」


「あぁ~昔になぁ~ 前嶋と良く来てた」


「えっ前嶋さんと ぜんぜん結びつかないよ 翔は何となくわかるけど前嶋さんはちょっと・・・」


「今頃前嶋は噂されて くしゃみしてるかもなぁ~」


「え~だって あの前嶋さんだよ・・・」


「そうだなぁ~」


翔が笑い出し 俺もつられて笑ってしまった




海が近く崖の上にあるそのお店は スパゲッティの専門店


ライトアップされたそのお店は とてもキレイでインスタ映えしそうなお店だった




俺はお店を見ながら 今か今かとワクワクして待っていた





(弘樹が思いのほか嬉しそうで良かった もうひと押しだなぁ~ 車をおりたら橋へ連れて行こう)




翔の車に乗っていても 翔と何気ない話をしても


俺はもう緊張する事はなくなっていた




(不思議だ・・・ 昨日初めて翔に会ったばかりなのに もう何年も前から翔の事を知っていた様な気がする 俺がなれなれしかったのかなぁ~ でも翔だって会ったばかりの俺を いきなり遊園地に連れて来るとか・・・ まぁ~それは俺の為にしてくれた事なんだけど・・・ 俺翔の事をもっと知りたい そしてもっと仲良くなりたい)




俺は翔の長いグレーの髪の毛からのぞく 横顔を見ながらそう思っていた



車はゆっくりと進みやっと駐車場に入る事が出来た


「やっと入れたなぁ~ 弘樹 そっちあいているか見てくれ・・・」


「うんわかった」


駐車場に入れたものの車の数が多く 駐車スペースの所を見つけるのは大変だった



「翔 あそこあいてるよ」


俺は指をさした


翔は車をスムーズに移動させていた


「弘樹 隣の車のドアに気を付けて・・・」


「うんわかった」


俺はゆっくりとドアを開け車をおりた



海が近く潮の香を久しぶりに嗅いでいた


翔が進み俺も翔のあとへ


お店の前にもたくさんの人が並んでいた




(車をおりてもだいぶ待たされる事になりそうだなぁ~ 車に缶詰めだったしここはやっぱり少し歩いて 弘樹と橋へ行って見るかぁ~ 高い所は大丈夫って言ってし・・・)




「弘樹 店に入る前にちょっと付き合ってくれ」


翔はそう言ってお店を横切り どんどんと進んで行った




(えっ翔はどこへ行くんだろう・・・ そっちに何かあるの?波の音がする・・・)




海に落ちない様に申し訳なさ程度の柵 デコボコした階段 すぐ下は海


翔は振り返りながら ゆっくりと登って行った


「弘樹 大丈夫か」


「あっうん」


翔の長い髪がみだれた後ろから 俺はゆっくりと登った 


「弘樹見えるか?」


翔が立ち止まり 俺はゆっくりと顔を上げた


「えっ橋」


翔の長い髪の毛が強い風にあおられ


俺はその強い風に負けそうになり 思わず翔の腕を掴んでいた


まだ橋まで距離があり 強い海風に俺は翔から離れる事が出来なかった


「弘樹 行ってみるか?」


「うん 行ってみたい」


俺は翔の腕をしっかりと掴み進んで行った


橋は割と広く歩いても橋が揺れる事はなかった


橋に居る人はみんな 寄せては返す白波を見ていた


橋まで来ると海風がダイレクトに吹き付けていた




(これは弘樹を抱き寄せた方が良さそうだ)




「弘樹腕離せ」


翔にそう言われ俺は翔の腕を離し我に返った


「あっごめん」




(やっぱり翔は嫌だったんだ そうだよなぁ~男に腕掴まれたっていい気分じゃ~ないよなぁ~ 俺ずうずうしかった)




そう思った瞬間 翔が腕を回し俺の肩に 


俺は翔に引き寄せられ 俺は翔の腰に自然と腕を回していた




(えっいいの?翔は嫌じゃなかったの?)




俺は翔の長い髪の毛を押さえる様に 翔にしがみつき橋を進んだ


橋にはカップルがたくさん白波を見ていた




(みんな波に夢中で翔を見ている余裕がないんだ それにこの強い風・・・)




俺も翔と一緒に白波を橋から覗き込んだ


「翔凄い迫力だね」


俺はそう言って翔を見上げた 翔が俺の方を見た 


その時翔の顔が近過ぎて 俺はすぐに海へと顔を向けていた




(びっくりした・・・ そうじゃん俺翔とこんなに近くに居るんじゃん)




俺は自分がしている事に驚いていた




「弘樹 もう少し先まで行ってみるか・・・」


俺は海を見ながら答えた


「えっこの先って何があるの?」


「行ってみればわかる」


そう言って翔は俺の返事も聞かず 俺ごと向きを変えていた


橋を渡り切ると強い風は少しおさまり 翔の腕は俺から離れた


「弘樹 ここから少し見えるだろう・・・」


そう言って翔は少ししゃがんで俺の肩に手置き 俺に顔を近づけ指をさし視線を合わせた


「うん見える 丸くなってる所?」


「あぁ~そうだ」


「何があるの?」


翔は少し歩いて振り返り俺を見ていた


翔の長い髪の毛が風になびかれ 


俺はその姿に吸い寄せられる様に歩いていた





(これは夢ん中じゃないよなぁ~ 今日の出来事がみんな夢の中だったりして・・・)




俺はふとそんな事を思ってしまった



翔の後ろをゆっくりと歩いた 幸いすれ違う人も居なかった


丸い半円の形になっている所は 真ん中に小さなお社があった



「翔見て 近づかないとわからなかったね 海の安全の為かなぁ~」


「そうかもなぁ~」


崖の形をうまく利用した事もあってか 海風はさほど気にもならず


翔の長い髪の毛も風になびいてはいなかった


「弘樹 そろそろ戻るか・・・」


「うん そうだね」


俺と翔が戻ろうとした時 カップルとすれ違い


翔を見てそのカップルは振り返っていた




(そうだよね 振り返って見ちゃうよね)




俺はそう思いながらカップルとすれ違った



橋まで来ると海風は容赦なく 翔の長い髪の毛を乱暴にみだしていた


「弘樹」


翔は俺の名前を呼ぶやいなや


俺を包み込む様に腕を回し橋を進んで行った


俺も翔の腕を掴んでいた


橋を素早く渡り切り 俺と翔はさっきの駐車場へ


「翔 物凄い風だったね 暗くて波の音しかしなかったから 俺少し怖かったよ」


「今度は明るい時来てみるか 景色が違って見えるから・・・」


「えっ また連れて来てくれるの?」


「弘樹が良ければ・・・」


「絶対だよ 約束だからね」


「あぁ~」




(翔が笑ってる・・・ 本当に連れて来てくれるんだ・・・)




ライトアップされたお店の明るさに 翔の笑った顔がとてもキレイに映った


お店の前には順番を待っている人達が並んでいた


俺と翔も最後尾へと並んだ


かわいい制服を着たお店の女の人が出来て 並んで居る人に人数を聞いていた


そのかわいい制服を着た女の人が 翔に気付き翔の前へ


「いらっしゃいませ お久しぶりです 今日はお1人様ですか?」


「いや 連れが居る」


翔の隣に居た俺をちらりと見た


「では 店長にお知らせしておきますね もうしばらくお待ちください」


そう言ってかわいい制服を着た お店の女の人は嬉しそうにお店へと戻って行った


俺はお店へ戻った女の人を目で追った


お店へ戻った女の人は 他のかわいい制服を着た人に何かを伝えて 喜んで居る姿があった



「ねぇ~翔 来た事があるって言ってたけど 来た事があるだけじゃなさそうなんだけど・・・」


「話してなかったかぁ~」


「えっぜんぜん聞いてないんだけど・・・」


「そうだったか?」


「え~」


俺が驚いた様な声を出すと 翔は声を出して笑っていた




(えっどういう事 翔はここの店長と知り合いなの? この有名なお店の・・・)




ゆっくりと前へと進み あと少しで順番が回って来そうな頃


背も高く身体の大きな コックコートが良く似合っている人がお店から出て来た


「翔」


大きな声にみんなが注目していた


「久しぶりだなぁ~ 良く来てくれた もう少し待っててくれ ゆっくり出来るんだろう・・・」


同じくコックコートを着た人が慌てた様子でこう言った


「店長 勘弁して下さいよ 忙しいんですから急に居なくないで下さいよ」


「あぁ~わかった今行く・・・ 翔 あとであとでな 勝手に帰るなよ 見張らせておくからな・・・」


そう言いながらお店の中へと入って行った


「相変わらず 落ち着きがねぇ~」


「翔?」


「弘樹はあとで紹介するからな・・・」


そう言った翔の顔が嬉しそうに見えた



(つづく)


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