メトロポリタン

暁エネル

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翔の家へ①

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次の日 俺は珍しく休みの日に目覚まし時計に起こされた


昨日 俺が言い出した事とは言え あんな大胆な事を良く言えたと


翔の車を見送りながらそう思った事だった




(勢いって怖い・・・)




翔と連絡先を交換して 翔が家に着いたであろう時間に 俺は翔と連絡を取った


電話越しの翔の声はとても優しく 俺は狭い部屋のベッドに腰掛け 翔の優しい声を聞いていた



翔が俺を迎えに来るのが午後1時 


それまでに駅前のクリーニング店に受け取りと ワイシャツとスーツを出し


コンビニでサンドイッチを買い コインランドリーで洗濯を済ませながら そのサンドイッチを食べていた




(休みの日に こんなに朝から動いたの初めてかも・・・) 




俺は終わった洗濯物を袋に入れ家へと急いだ


洗濯物をたたみ リュックへ着替えを入れ コンビニで買った歯磨きセットを入れた


翔の家にはおそらく無いであろう カードゲーム2・3個も一緒に入れた




(本当に翔の家に泊まっていいのかなぁ~ 俺がもっと翔の事を知りたいと言ったんだけど・・・ 翔もそれならゆっくり話そうと まさか泊まる事になるとは・・・ この間とはぜんぜん違う なりゆきで泊まる事と改めて泊まるのとではぜんぜん違うよ・・・)




「あぁ~ドキドキする」


俺は準備を万全にして時間が来るのを待っていた





弘樹の行動がとても嬉しかった


弘樹がバーへ来てくれた事 俺の事を知りたいと言ってくれた事


だけどまだ俺の全部を教える訳にはいかなかった


弘樹はまだ俺に興味があるだけだから 今は弘樹の理想を演じる事が大事だ 


時間になり俺は弘樹に連絡を取った


「もしもし弘樹」


「翔 おはようじゃ~なくて もうこんにちはだった・・・」


俺は自分で言った事に笑ってしまった


「弘樹 これから出る」


「うんわかった アパート出た所で待ってるね」


「あぁ~じゃ~あとで・・・」


「あっ翔 気を付けて来てね」


「あぁ~」


電話は切れた


俺はすぐにリュックを持ってアパートを出た


翔が車で来るまでの間 そわそわしたくはない


気を少しでもまぎらわす為 俺はアパートを出ていた



間もなく翔の青色の車が俺の前へとやって来た



「弘樹お待たせ・・・」


俺は翔にそう言われちょっと恥ずかしくなり 急いで車に乗り込んだ


「弘樹 リュックは後ろの席へ・・・」


「あっうんそうだね」


俺はかかえていたリュックを後ろの席へ置き シートベルトを閉めた


「弘樹行くぞ」


「うん」


静かにクラッシック音楽がかかっていた


翔は車を走らせ 俺は少しドキドキしていた



「あれ翔 翔の家に行くんじゃ~ないの?」


「天気もいいし ちょっとドライブ・・・」


そう言って翔は少し笑っていた




(な~んだ このまま翔の家に行くのかと思ってた・・・)




俺がホッとしたのはつかの間 嫌な予感がした


「翔 ちなみにどこへ向かっているの?」


「楽しみにしててくれ・・・」


「えっそれだけ ヒントとか・・・」


「そうだなぁ~ 今までに行った事のない所」


「えっ翔と俺 そんなにまだ出掛けた事ないんですけど・・・」


そう俺が言ったとたん翔が笑い出した


「弘樹 運転しているんだから そんなに笑わせないでくれ・・・」


翔はそう言いながらまた笑い出していた




(え~何それ・・・)




俺はただ翔の笑顔を見ているしかなかった


街並みが消え田んぼ畑になり 景色がどんどん変わっていった


翔は山道をのぼり駐車場へと車をとめていた


「弘樹到着だ ここから少し歩く」


「あっうん」


車を降りると駐車場はまだ止められるスペースがいくつかあり


人影もなくただ緑と空の青さが広がっていた




(座っていたからわからなかったけど 今日の翔は動きやすそうな服装だ)




俺はそう思いながら翔の所へ


「ねぇ~翔ここからどのくらいで目的地なの?」


「駐車場はもっと広いと思ってたんだが なんせここへ来たのは俺が子供の頃だからなぁ~」


そう言った翔の長い髪の毛が風になびいて とてもキレイに見えた


駐車場を出ると標識には矢印が書かれてあった


「弘樹は高い所は大丈夫だったなぁ~」


「うん動いたりしなければね」


クスっと翔はまた笑って歩き出した


「ながめは良かったと思うんだ なんせ子供の頃の記憶だからなぁ~」


「翔は家族で来たの?」


「父親と来た」


「そうなんだ・・・」




(もっといろいろ翔の事聞いてもいいかなぁ~)




「ねぇ~翔のお父さんは何の仕事をしている人?」


「長距離トラックだ」


「えっ凄い」


「もっと急斜面だったような気がしたんだが だいぶ整備されたなぁ~ 弘樹そこを登れば見えて来るはず・・・」


少し坂道を登ったその先には 海と街並みを一望出来た場所だった


「翔 凄いね」


強い風に翔の長い髪の毛が遊ばれていた


広場になっているその場所に 家族連れやカップルがたくさん訪れていた


「弘樹もう少し見える所まで行ってみよう」


翔はそう言って人を縫うように進んで行った


翔を見た人は 視線を翔に向け動かなくなっていた



「弘樹 見えるか?」


そう言って翔の前に俺を入れてくれた


「うん翔ありがとう ここ夜来ても凄くキレイだよねきっと」 


俺は翔を見上げてそう言った


「そうだろうなぁ~」


「今度は夜来てみようよ 夜景も見てみたい」


「そうだなぁ~ 桜の咲く頃も結構穴場かもしれないなぁ~」


「いいねぇ~翔 春の桜もキレイだよね」


俺がそう言うと翔は嬉しそうに笑ってくれた



俺と翔は少し山道を歩きながら駐車場へ


「弘樹 お腹すいたなぁ~」


「うん」


「弘樹は何食べたい?」


「俺朝サンドイッチしか食べてないから ご飯系が食べた」


「わかった じゃ~探しながら行こう」


俺と翔は車へと乗り込んだ


山道をおりて街並みへと進んだ


「弘樹 有りそうかぁ~」


翔は車を走らせ 俺はキョロキョロと視線を右へ左へとおくっていた


「あっ翔あそこは?のぼりがあるよ海鮮だって・・・」


「入ってみるか」


「うん」


翔は車をゆっくりと駐車場へ


「俺もうお腹ペコペコだよ・・・」


「良かったなぁ~ 丁度いい所にあって・・・」


「うん 早く行こう」


車をおりてお店へ


俺と翔がお店へ入ろうとした時 ぞろぞろとお店から出て来たお客さん


「いらっしゃいませ 何名様ですか?」


「2人です」


「2人様 今片付けますので少しお待ち下さい」


そう言って店員さんは忙しそうに行ってしまった


「タイミング良かったなぁ~」


「本当だね すぐに座れそうだね」


俺と翔は店員さんに呼ばれ席へと案内された


メニューを開きどれにしようか選んでいた


「翔 この海鮮丼って凄いよ」


「あぁ~俺はそれにする」


「あっじゃ~俺も・・・」


店員さんがおしぼりとお水を持って来て 翔が店員さんへ注文してくれた


海が見える窓際の席で俺は外をながめていた


「お腹すいた~ 翔は朝何食べて来たの?」


「俺は出がけに ご飯をしっかり食べて来た」


「そうなんだ・・・ 翔の仕事って夜遅くまでだから大変だよね」


「もう慣れたよ」


店員さんが料理を運んで来てくれた


「お待たせいたしました 海鮮丼です」


そう言って俺と翔の前へ




(凄い本当にどんぶりからはみ出てる)




フタが閉まらず ネタがどんぶりから溢れ出ていた


「翔 凄いね」


「食べごたえ有りそうだなぁ~」


俺と翔はしょうゆにわさびを混ぜどんぶりにかけた


「いただきます」


「どれから食べようか迷うよね」


そう言いながら箸をどんぶりへ 新鮮なネタに箸が進む




(凄い・・・ どれもうまい いくらが散らばってプチプチとした食感がたまらない・・・)




俺と翔はほぼ同時に食べ終わった


「凄く美味しかったね」


「本当に写真と同じだったなぁ~」


「うん そうだね」


「弘樹行けるか?」


「うん」


その時翔が会計用紙を持った


「あっ翔 ここは俺に払わせて」


「いいのか?」


「うんだってこの間は全部翔が出してくれてたでしょう」


俺は翔から会計用紙を受け取り会計を済ませた


「弘樹 ごちそうさま」


「いいえ どういたしまして」


俺はそう言って笑った


「美味しかったね 翔また来ようね」


「あぁ~本当に美味かったなぁ~」


俺と翔は車に乗り込み 車はゆっくりと走り出した


「今日はさぁ~ すぐに翔の家に行くもんだと思ってたからさぁ~ 俺ちょっとドキドキしてたんだ本当は・・・」


「えっ何で?」




(弘樹はなぜそう思った?)




「だってさぁ~ この間は俺が車で寝ちゃったから仕方なく 翔は俺を家に招いてくれたんでしょう 今日は正式にって言うかさぁ~ 俺なんかがいいのかなぁ~って・・・」


「弘樹は誰に遠慮しているんだ?」


「えっだって・・・」


「誰も居ない所で遠慮する必要はどこにもない」


「そうなんだけど・・・」




(そうなんだけどさぁ~ だって翔だよ今もそうだよ 一緒に居る事事態が信じられないよ でも今日はこれから翔の家に行く 行って俺は泊まらせてもらう あぁ~もうまたちょっと緊張してきた)





「あっ弘樹 帰る前にちょっと寄る所があるんだ・・・」


「えっどこ?」


「家電量販店」


「えっ何買うの?」


「ロボット掃除機」


「えっ翔の家キレイじゃん」


「それが毎日大変でなぁ~ 俺のこの長い髪の毛で・・・」


「そうなんだ・・・」




(この間泊まった時はそんなに気にならなかったけどなぁ~)




(つづく)

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