悠と榎本

暁エネル

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俺の家

僕は 榎本の事ばかりを 考えていて 中間テスト1週間前だと言う事を すっかり忘れていた




(そうか・・・ もう 中間テストなんだ・・・ 先生に言われるまで 気が付かなかったなんて 今まで一度なかったのに・・・)




帰りのホームルームが終わり みんなが席を立った




(ヤッベ~ もう 放課後になっちまった 俺 須藤としか 話してねぇ~ 今日は 悠と話するって 決めてたのに・・・ 何とか 自然な形で 悠に 話しかける事が 出来たらいいんだけど・・・ 隆はリーダーと話してるし・・・)






委員長が 副ちゃんの席にやって来た


「副ちゃん 俺の家で勉強する?」




その時 榎本の大きな声が聞こえた


「な~ リーダー 須藤ってさぁ~ 天然?」


榎本の声で 委員長が振り返った


榎本が 大塚君の前に立って 僕と目を合わせていた


でも 榎本は 直ぐリーダーに 目を移した




(悠・・・ 待ってろよ 今日は・・・)




「美咲・・・ 変な事 榎本に言ったの? 榎本・・・ 美咲は 少し抜けてるだけだよ だから 多めに見てあげて」


リーダーが みんなの方を向いて そう言った


「楓 酷~い」


須藤さんが 顔をふくらませて言った


「でもさ~ その抜けているところに 私は 救われている事が多い だから 美咲には いつも 感謝している」


「あっ 俺 それ 何となくわかる」


大塚君が リーダーを指差して そう言った


「ね~ 私 怒っていいの? 喜んでいいの?」


須藤さんが 困っている


「美咲は そのままで いいんだよ」


リーダーが 須藤さんの肩に腕を回しながら そう言った


「結局 どっち?」


リーダーが 吹き出して 笑い出すと 大塚君もつられて笑った




(今しかねぇ~ ちょっと強引だけど・・・)




「あっ そうだ 隆・・・ 今日これから 悠とテスト勉強するんだ なぁ~ 悠」


榎本が 僕の方を向いて そう言った




(昨日 帰る時の事は あまり覚えてないけど 榎本が そう言うのだから 僕は 約束したのかもしれない)




「うっ うん」


僕は うなずいた


「隆も うち 来るか?」


「いや 俺はいい 1人でした方が 効率がいい・・・ それに おばさんが帰って来たら 勉強どころじゃ~ねぇ~だろう・・・」


「そうか~ 隆は 意外と頭がいいんだよなぁ~」


「意外とは なんだよ 意外とは・・・」


榎本が 笑ってる




(ヨッシャー いい感じに 悠を誘えた・・・ しかも 俺ん家 来るとか・・・)




「榎本君と高橋君って おもしろい組み合わせだね」


委員長に そう言われて 僕は ドキッとなった


「そうかなぁ~ 私は とってもいい 組み合わせだと思うけどなぁ~」


副ちゃんは 嬉しそうに笑って 僕の顔を 覗き込んでいた 




(どうして・・・ 副ちゃんが 嬉しそうなの・・・ 僕のドキドキが 止まらないよ)




「悠 行こう・・・ じゃ~ 俺 悠と先 行くから・・・」


榎本が教室を 出て行ってしまう


僕は 慌てて カバンを取り 榎本のあとを追った


「高橋君 また明日ね」


僕が 教室を出ようとした時 副ちゃんが 軽く手を振ってくれた


僕も 手を振って 教室を出た




(みんなと帰らなくて 良かったのかなぁ~)




僕は そう思いながら 階段を下りた




(やった スゲー 信じられねぇ~ 俺って・・・ みんなを置いて 悠と・・・)




榎本と僕は 昇降口へ着くと 生徒達があふれていた


「悠」


榎本が振り返り 僕の腕を掴み ぐんぐん歩き出し 榎本は友達に 声をかけられていた


「あっ 正臣  えっ? 高橋?  隆は?」




(サッカー部の友達かなぁ~? 僕の事 知ってる人?)




「隆・・・ 隆は 置いて来た」


「なんだよ それ」



友達が笑っていた 榎本は 僕と違って友達が多い いろいろ人から 声をかけられる



2年3組の下駄箱に着いた


「悠 大丈夫だった?」


「うん」


榎本は そう言って 僕の腕を離した 


榎本の顔が近くて 僕は 少し驚いた



靴に履き替え 僕は 榎本の後ろを歩いた




(ヤッベ~ めっちゃ ドキドキしている・・・ 悠 黙って俺について来てくれたけど 今日 大丈夫だったのかなぁ~ 昨日の事 やっぱ怒ってるんじゃ~ないかなぁ~ 俺を軽蔑してない? 聞きたいけど 聞いたら 終わりの様な気がして 怖くて 聞けねぇ~)




(何だろう・・・ 僕は 榎本の後ろを歩いているのに 昨日とは違う 昨日は あんなにドキドキしていたのに 今日は こんなにも 穏やかな気持ちの僕が居る 何だか不思議だ・・・)






「悠 俺ん家 ここ」


榎本が 立ち止まり指をさした先には 高いマンションがあった




(何階建てなんだろう・・・ 僕のマンションよりも高い)




僕は マンションを見上げた


「悠 暑いから 早く入ろう」


「うん」


榎本は 僕のマンションにはない オートロックを操作すると 奥の自動ドアが開いた


「悠 こっち」


僕と榎本は エレベーターへ乗り込み 7階のボタンを榎本が押した


エレベーターが 7階で開いた


「悠 こっち」




(凄い ながめだ)




僕は 7階からの景色を見ながら 廊下を歩いた


榎本が 玄関の前へ 鍵を開けた


「悠 入って」


「お邪魔します」


僕のマンションと同じで 真っ直ぐな廊下があった


「悠 ここ 俺の部屋 先に入ってて」


「うん」


榎本は 手前のドアを少し開けて カバンを置いて 奥へと進んで行ってしまった


僕は 靴を揃えて 榎本のカバンを持ち 榎本の部屋へと入った


入ったとたん 榎本のニオイが 僕を包んで 僕は 動けなくなった




(これは ダメだ・・・ 榎本に 抱きしめられている様で 動けない)




悠から逃げる様に 俺は 台所へ来た




(悠が 俺ん家に来た ヤベー 夢? 夢じゃ~ないよなぁ~ どうしよう・・・ めっちゃ 嬉しい こんな日が来るなんてなぁ~)




俺は 両手で顔を パシンと叩いた




(夢じゃ~ない・・・ 悠とこれからを これから先も・・・)




俺は 麦茶をトレーに乗せ 部屋へと急いだ


俺が 部屋へ入ると 生暖かい空気に包まれ 悠が 立っていた


「悠 ごめん 直ぐ エアコン付けるから」


俺は 麦茶を置き ベッドへ飛び乗り 急いでエアコンを付けた


榎本の声で 僕は 動くことができた



(良かった・・・ 息を吸い込むと 榎本が 僕の中に入り込んできそうだった・・・)



丸いテーブルに 麦茶が置かれている


僕は 座りながら 榎本の部屋を見渡した


僕の部屋より広い 榎本の部屋は 勉強机の横に サッカー選手のポスターが貼ってあり サッカーボールが 2個転がっている 本棚には マンガがたくさん並んでいた


「のど乾いたろう・・・ 麦茶 飲んでくれ」


「うん ありがとう」


僕は 榎本の入れてくれた 麦茶を一口飲んだ


榎本は 僕と向かい合わせに座ると カバンから教科書を取り出した


「悠 ごめん 本当は 今日 約束なんかしてなかったんだ 俺 悠と話したくて どうしたら 悠と話せるか 考えていたら 放課後になっちまって 俺 めっちゃ焦ってて 正直 悠に 断られたら どうしようって内心 ドキドキしてた」


榎本の笑顔に 僕は 吸い込まれそうになった


「そっ そうだったの?  ごめん 僕 あんまり覚えていなくて」


「えっ ちょっと 待って・・・ 悠 覚えてないって どこから? 俺が 話した事も?」


「そっ それは 覚える」


「悠 脅かさないでくれよ」


榎本は 両手を後ろについて 笑っていた



(あぁ~ 良かった・・・ 俺の気持ち 分かってくれてた)



榎本は 姿勢を直し 僕を見た


「悠・・・ 俺 悠に 謝りたい事があるんだ」


榎本に そう言われた瞬間 僕は 下を向き 目をギューと閉じた




(やっぱり 榎本は 昨日の事を誤るんだ・・・ どうしよう・・・)




「俺 悠の気持ち知って 舞い上がって 悠が ふらつきながら帰る姿 見てる事しかできなかった 悠に もしもの事があったら 事故にでもあったら どうしようって・・・ 俺 スゲー 怖くなって 次の日 悠が 教室に居て 俺 スゲー ホッとした」


「えっ」


僕が 顔を上げると 榎本は 笑っていた


僕は てっきり 榎本に 昨日の事は なかった事 忘れてくれと 言われるのかと思っていた



(僕は 榎本の事・・・)




榎本は 教科書を広げた


「悠・・・ 悠が テストに出そうだと思うところ これで しるし 付けて」


榎本は 僕に教科書とカラーペンを 僕に渡した


僕は 自分のノートを開いた




(今日 授業があった教科は テスト範囲がわかるけど・・・)




「悠 メモ取ってたの?」


「うん 先生が言ってたから」


「えっ 先生言ってた?」




1学期は 中間テストの範囲が少なく 期末テストは範囲が広い




「悠 しるし 付け過ぎじゃ~ない 悠 ちょっと 待って まだ 付けるの?」


僕は 自分の思うまま しるしを付けた


すると 玄関で音がした


(つづく)



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