悠と榎本

暁エネル

文字の大きさ
33 / 148

勘違い

しおりを挟む
僕は玄関を開けた


「悠 ただいま」


「お母さん お帰り」


お母さんは 買い物袋をテーブルに置いた


「悠・・・ 大丈夫だった雨・・・ 凄かったでしょう」


「うん」


僕は たたみかけの洗濯物に 手を伸ばした


「榎本君のお母さんがね~ 榎本君が付いているから大丈夫だって それを聞いてお母さんも 何だか凄く 安心出来たのよ 悠1人じゃないって・・・」


そう言ってお母さんは 笑っていた


「うん 本当にそうなんだ 榎本のおかげで 僕 濡れづにすんだし 洗濯物も 榎本が手伝ってくれて 無事だったよ」


「そう・・・ やっぱり榎本君は 頼りになるわね ところで榎本君 ちゃんとお買い物は出来たの? そっちの方が 榎本のお母さんは心配してたけど」


「うん・・・ お母さん僕ね 初めてスポーツショップに入ったよ 凄くたくさん品物が並んでいてね 僕だったら 選ぶのに 1日中かかちゃうよ」


「まぁ~ そう」


お母さんが 嬉しそうに笑ってくれた


「あっそれからね 榎本とファーストフード店に入って 榎本 3個もハンバーガーを食べたんだ 結構 ボリュームがあってさ~ 僕 1個でお腹いっぱいになったよ」


「そうだったの~ そう言えば 悠とファーストフード店へ行ったのって いつ? だったかしら?」


お母さんは 買い物して来た物を片付け 椅子に座った


「お母さんもね~ 榎本君のお母さんと たくさんお話してきたのよ 榎本君のお母さんって 元気なお母さんね~ お母さんも元気を貰った感じよ 悠の事も何度も かわいいって言っててね」


「榎本が 僕よりも大きいからだよ」


「そうね~ でもお母さん もう少し悠も 背が伸びると思うわよ」


僕はまた 洗濯物に手を伸ばした


「あっそれからね お母さんショッピングモールへ行って・・・ あっ」


「悠・・・ どうしたの?」


僕はショルダーバッグに チョコレートが入っている事を思い出し 急いで自分の部屋へと戻った


僕の小さなショルダーバッグが チョコレートでふくらんでいた




「お母さん これ・・・」


僕はビニール袋に入った チョコレートをお母さんに渡した


「まぁ~ どうしたのこれ?」


「うん 榎本とゲームコーナーに行ったんだ 榎本にも分けたんだけど 取れ過ぎちゃって・・・ あぁ~でも 1回だよ・・・ 1回で凄く取れちゃって 榎本が係の人を呼んで来てくれて・・・」


「楽しかったんでしょう」


僕は お母さんにうなずた


「チョコレート 久しぶりに食べるわね」


お母さんは チョコレートを1つ 口に放り込んだ


お菓子を入れる入れ物に お母さんはチョコレートを入れた でも入れ物のフタが チョコレートで浮いていた



僕は 自分の洗濯物を持って部屋へ


ベッドへ座り 洗濯物をギュッと抱きしめた




(どうしよう・・・ 僕は 榎本に嫌われてしまう)




僕は 不安でいっぱいだった






次の日 僕はいつも通りに 目が覚めた




(はぁ~嫌でも朝は来る・・・ 昨日はあまり良く眠れなかった 何度も目が覚めた様な気がする・・・)




お母さんは すでに仕事に出掛け 僕は朝ごはんを食べた





(はぁ~ 朝からため息しか出ない・・・)




それでも僕は 榎本がいつ来てもいい様に 家の中を掃除した






(あぁ~ヤベー どんな顔して悠の事を見ればいいんだ・・・ 俺 結局 悠の顔見ずに 悠の家出て行っちゃったしなぁ~ ちゃんと悠に謝るべきだったかなぁ~ あぁ~もう俺らしくねぇ~ 悠にちゃんと向き合えよ・・・俺)





俺は 怖い気持ちを抑え 悠のマンションへ




僕が椅子に座っていると 玄関のチャイムが鳴った




(榎本だ)




「悠 おはよう」


榎本の明るい笑顔に 僕は少し戸惑ってしまった


「えっ榎本 おはよう入って」


「お邪魔します」




(なんか・・・ 悠 変じゃ~ねぇ・・・ どうしよう・・・)




僕は 玄関にツッカエ棒をして チェーンをかけた


「あれ悠 おばさんは?」


「あぁ~お母さん仕事・・・ 榎本 僕の部屋 狭いからこっちでいい?」


僕は榎本と奥へと進んで 扇風機を回した


「今日も 暑いなぁ~」


榎本は 扇風機の前に立っていた


僕は 麦茶をテーブルに置いた


「榎本・・・ 僕 宿題持って来るね」


「あぁ~」





(やっぱ 悠の様子が変だ 昨日の事だよなぁ~ もしかして具合が悪いのか・・・)





僕は 宿題を取りに部屋へ




(大丈夫・・・ ちゃんと榎本と話せてる・・・ 榎本の顔あんまり見られなかったけど・・・)




僕は ため息を1つついて 部屋を出た


僕が 榎本の所へ行くと 榎本は椅子に座らず 僕を待っていた


僕が テーブルに宿題を置くと 榎本は 僕に近づいて来た


「悠・・・ もしかして具合悪いのか・・・」


榎本はそう言って 僕のオデコに手を当てた


「熱は なさそうだなぁ~」


榎本の優しい顔に 僕の心が張り裂けそうで 僕は直ぐに下を向いた





(何で?何で?榎本は・・・ 僕・・・ 普通にしてたのに 何で?)




榎本の優しい言葉に 僕はこらえきれなくなって 僕の目から涙が溢れてきた





(悠が・・・ 泣いてる? えっ何で? どうして? やっぱ昨日の事・・・)





「悠・・・ ごめん 昨日の事だよなぁ~」


僕は榎本の腕を掴んで 首を振った





(何で・・・ 榎本が謝るの・・・ もうダメだ・・・ 僕はきっと榎本に嫌われて 榎本と離れる事になる・・・ もうこうして榎本と話す事も 榎本の優しい笑顔も 見られなくなって・・・ 僕は どうしたら・・・)





「悠・・・」




(あぁ~やっぱ 俺が・・・ 少しも悠の事考えてなかったから・・・ 俺が全部悪いんだ 悠をこんなに泣かせて・・・ 俺は何をやってるんだよ・・・ ダメだこんなの・・・ 悠と向き合うって決めたんだ・・・ 落ち着け俺・・・ 悠の話をまず聞け・・・ 俺の事はそれからだ・・・ それにしても何だか 悠はあの路地の時みたいだなぁ~)





「悠 話して・・・ ゆっくりでいいから・・・」





(悠が落ち着くまで 俺はいつまでも待つよ)





(どうしよう・・・ どうしたらいいの僕は 榎本を嫌いになんか 絶対になれないけど 榎本は・・・ 榎本は・・・ 僕の事を・・・ 凄く怖い 言葉にしたら 全てが終わってしまいそうで・・・)






(やっぱダメだ・・・ もう一度 謝ろう・・・ 謝って済む話じゃ~ねぇ~けど・・・)





「悠ごめん・・・ 俺が悪かった・・・ 本当ごめん」





(えっ榎本が 何で? 謝るの?)




僕は 涙でぐちょぐちょの顔を ゆっくりと上げた


「悠ごめん 俺が昨日した事だろう・・・ 俺 悠の事なんにも考えなかった」


「えっ えの・・・もと・・・」




(どうしよう・・・ 違うのに声が出ない)




「悠」


榎本は 僕のぐちょぐちょの顔を 指でぬぐってくれた




(ヤベ~悠のウルウルした瞳ヤベ~・・・ 悠が 泣いているのに俺は・・・ 俺のセイなのに・・・)




僕は 榎本をギュッと抱きしめた




(もう少しだけ待って榎本・・・ ちゃんと言うから・・・ 榎本は少しも悪くないから)




悠が凄い力で 俺を抱きしめていた




(悠は本当に どうしたんだ・・・ 俺の事 嫌じゃねぇ~のかぁ~? 嫌だったらこんなに俺に ひっつかねぇ~よなぁ~)




榎本は僕を 引き離そうとはしなかった


僕の事をちゃんと 待っていてくれた


僕は ゆっくりと榎本から離れた


「はぁ~」




(もう大丈夫・・・ だいぶ落ち着いて来た 榎本に話そう)


 

僕は大きなため息をついて 榎本に話しはじめた



「榎本・・・ 僕の事を嫌いに・・・嫌いにならないで」


僕はまた 下を向いてしまった


「えっちょっと・・・ ちょっと待って悠・・・ 話しがって言うか~俺が? 俺が悠の事 嫌いになるって何で? いったいどっから出てきた?」




(おいおい・・・ なんだなんだ どこをどうすれば俺が 悠の事を嫌いになる? どっからおかしくなった?)





「悠ごめん・・・ 俺・・・ 悠が言ってる事がわかんねぇ~ 悠ワリー 俺にわかる様に話してくんねぇ~かぁ~」


僕は 榎本にそう言われても 顔を上げる事ができなかった


「だっで・・・ 僕は 榎本 ひつこく 抱きついた~」




(言ってしまった・・・ もうダメだ・・・ 榎本は僕の前から居なくなる・・・ もう涙も出ない・・・)





(悠は何を言ってるんだ・・・ 抱きついたって いつ? あっあれかぁ~ 悠が目を覚まし 俺が悠から離れた・・・ あの時の事かぁ~ あれは俺の方がヤバかったんだけど・・・ 悠に密着しすぎてて悠のニオイが いっぱいの部屋で・・・ 俺 頑張って悠から離れたんだけど・・・ そしたら悠が・・・ スゲーかわいい事してくれたから 俺 嬉しくてず~っと 悠と抱き合っていたいって思った・・・ でも 悠の母ちゃんがいつ 帰って来るかわかんなかったし・・・ そう言えば 俺が帰る時 悠の様子がおかしかった あの時 ちゃんと悠の話を聞いていれば 悠は こんなに泣く事はなかったんじゃねぇ~のか・・・ 俺は 俺の事ばっかで 少しも悠の事を 見てなかった 悠は たくさん悩んだよなぁ~ ホント俺 何やってんだ・・・) 





「はぁ~」


僕は また ため息をついた 


俺はまた 悠の顔を両手で包み込んだ



「悠 良く聞いて・・・ 昨日は 俺が危なかったんだ・・・ 悠を悠の事を めちゃくちゃするところだった だってさぁ~ 俺が離れたら 悠が俺に 抱きついてきたんだ そんなかわいい事をする悠を 何で俺が嫌いになる」


榎本の優しい顔が そこにあった


「榎本」




(めちゃくちゃにするって なんだろう?)




「悠・・・ 俺 昨日はこのままずっと 悠とベッドに居たいって思ってた それと同時に 今 悠の母ちゃんが帰って来たら どうしようって思った・・・ だってあんなところを 悠の母ちゃんが見たら 腰抜かすだろう 悠が 俺から離れてくれて 助かったのは俺なんだ・・・ 正直 ホントに危なかった 俺が悠を 離せなくなるところだったんだ・・・」 





(榎本は・・・ 僕の事を嫌いになってなかった)





「悠 俺ね・・・ 悠に言われた言葉 スゲー嬉しかったんだ・・・ だから俺も 悠に言うよ」





(僕 昨日何か言ったけぇ~?)




「悠・・・ 俺は悠の事 絶対に嫌いにならない・・・ 悠が俺の事で 悩む事なんて何もないんだ・・・ 俺は 悠が好き それはどんな事があっても変わらない・・・ 悠 忘れないで・・・ 俺は 悠の傍に1番近くに居たいって いつも思ってる」


「榎本・・・ なんかそれ プロポーズされてるみたい・・・」


榎本の顔が近づいて 僕の唇と重なり 榎本の舌がスルスルと僕の舌を絡めた





(悠・・・ 俺はずっと 悠にラブコールを送っていたんだ・・・ まだ 悠に話す勇気がねぇ~けど いつか 悠に話したい)




榎本の唇が ゆっくりと僕から離れた





(榎本とのキスが ちょっと恥ずかしい・・・)





(ヤベ~雰囲気に任せて 悠を押し倒しちまいそうになったヤベ~・・・ でも これでやっといつもの悠だ)



(つづく)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

処理中です...