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プール①
僕は 榎本のプールの誘いを受けてから 憂鬱で仕方なかった
(朝が来てしまった・・・ やっぱり 僕 行きたくないなぁ~)
昨日 榎本のお母さんから連絡が来て 久しぶりに話をしたお母さんは とても楽しそうだった
(もし 僕がプールへ行かなかったら お母さんも心配するよね・・・)
僕は プールに行く支度をして 榎本を待っていた
(今日もいい天気だなぁ~ それにしても 行く前から凄くドキドキしてる)
玄関のチャイムが鳴った
僕は玄関のドア開けた そこには まぶしいくらいの 榎本の笑顔がそこにあった
「悠 おはよう行こう」
「うん」
「今日も 暑いなぁ~」
「うん」
「悠? どうした大丈夫?」
榎本は僕の事を 心配している様子だった
「少しドキドキしてるんだ・・・ 僕 泳げる様になるかなぁ~」
「大丈夫だ ゼッテー泳げる様になる」
榎本が あんまり自信満々に言うから 僕はちょっと おかしくなって笑ってしまった
(悠が笑顔になった 心配いらねぇ~のかぁ~)
僕達は 照りつけるアスファルトの上を 歩いていると
前から歩いて来る女の子に 声をかけられた
「高橋君?」
「あっ水野さん 久しぶり」
そこに立っていたのは 小学生の時の同級生だった
「高橋君 卒業式以来だね 元気」
「うん 元気だよ」
水野さんは 榎本の方を気にしていた
「ねぇ~」
水野さんが僕に近づいて 僕の耳元へ小さな声で言った
「隣の人 背が高くてカッコいいね」
水野さんはそう言って 僕から離れ 水野さんはまた 榎本の方を見ていた
僕は 嬉しくなってうなずいた
「じゃ~ね 高橋君」
「うん じゃ~」
(何なんだよ あの女 悠に馴れ馴れしくしやがって 何かスゲームカつく・・・)
僕は 榎本の顔をチラリと見た
「悠 今の誰?」
榎本が 不機嫌そうに言った
「僕の小学生の時の同級生 とってもみんなから人気があった人だよ」
「悠も 好きだったの?」
「えっ?」
榎本の言葉に 僕はびっくりしてしまった
「榎本 何言ってんの」
僕は思わず 大きな声を出てしまった
榎本は振り返り 僕に言った
「まぁ~今は 俺の悠だから」
榎本は 自信満々そうに言った
僕は 気温にも負けないくらい 自分の顔が熱くなった
(ヤベ~悠 なんて顔してんだ・・・ それに俺 今なんて言った?)
僕と榎本は お互いに違う方を向いていた
「正臣~」
大塚君の大きな声が聞こえた
榎本は大きく手を振った
まだ プールの入り口は閉まっていて 何人もの人達が並んでいた
大塚君と並んでいたのは 僕が名前も知らない2人
「あっ高橋だ 俺 高橋と話すの初めて」
「俺も 俺も」
「あぁ~ お前ら同じクラスか~」
「平均点上げやがって なにげに隆も 頭いいんだよなぁ~」
「そうそう 名前なにげに あんのなぁ~」
「なにげにってなんだよ」
大塚君が 2人とふざけていた
「悠 紹介するよ・・・ 中村俊(なかむらしゅん)と 小島海斗(こじまかいと)だ 俊も海斗も サッカークラブの時から一緒なんだ」
僕が 榎本の話を聞いている時も まだ 3人でふざけ合っていた
(凄いなぁ~ 本当に仲がいいんだ 僕がここに居て いいのかなぁ~)
「あっ 開いたぞ」
親子連れやカップルが 続々と中へと入って行った
僕達は一列に並び ロッカールームで着換えをはじめた
「俺 もう 履いて来た」
中村君がズボンを脱いで そう言った
「それ パンツ忘れるやつ」
「忘れてねぇ~よ ほら」
中村君が パンツを見せた
「なんだよ つまんねぇ~なぁ~」
「見せんなよ~ パンツ」
みんなが笑っていた
(いつも こうなんだろうなぁ~ みんな凄く明るくて・・・ いい雰囲気だなぁ~)
「悠 行ける?」
榎本が僕を 覗き込んだ
「榎本・・・ 僕トイレに行って来るよ」
「わかった じゃ~先に プールサイドに行ってる トイレの場所わかる?」
「うん 大丈夫」
僕は タオルを羽織ると トイレに向かった
「あれ~ 高橋は?」
「悠 トイレ 先に行ってよう」
俺達は プールサイドへ
僕が ロッカールームに戻ると 誰も居なくなっていた
鍵を閉め 息を吐きだし 気合を入れた
「はぁ~ ヨシ」
僕は 榎本達が待っている プールサイドへと急いだ
まぶしい光で 榎本達が見つけられなかった
(どこだろう?)
「あっ居た」
榎本達は プールの前の建物の影に居た
僕は 強い日差しをさえぎる様に タオルを頭から羽織って 榎本達の所へと進んだ
「おっ高橋 来たな」
「ごめん 待たせて」
僕はそう言いながら 頭からかぶっていた タオルを取った
僕はみんなが 同じ日焼けをしているのを見て 吹き出してしまった
するとみんなは 顔を見合わせうなずき 僕を取り囲み 僕の手足を持ち上げた
一瞬の出来事に 僕は声も出ずに居た
「せ~の~」
僕はプールへ 投げ込まれた
「ピッ ピッ ピー」
ホイッスルの音が鳴り響いた
僕が 水面から顔を出すと 監視員の人を前に みんなが一列に並んでいた
僕も プールから上がり 列に並んだ
「君 大丈夫?」
「あっはい 大丈夫です」
さっきまでの怖い声とは違って 監視員の声は優しく 僕はそっちの方に驚いてしまった
「すいませんでした」
大塚君の大きな声に みんなも頭を下げた
僕も 慌てて頭を下げた
「今後 この様な事がないように」
そう言って監視員は 行ってしまった
「悠 大丈夫だった?」
「高橋悪い どこも打ってない?」
みんなが僕を取り囲んだ
「うん大丈夫だよ ちょっと びっくりしただけ」
(それにしても 凄いチームワークだ 顔を一瞬 合わせただけなのに みんなが同じ行動がとれるなんて・・・)
「ヤベ~なぁ~ 監視員に目付けられた」
小島君が 監視員の方を見ながらそう言った
「とりあえず 体操しよう体操」
大塚君の声にみんなが 反応し丸く円になって 大塚君の動きに みんなが真似をした
(きっと いつも大塚君が中心になって 部活が始まるんだなぁ~ なんか楽しい)
「こんなもんで いいだろう」
大塚君の動きが止まって 準備運動が終わった
「じゃ~俺ら向こう行くから・・・ 高橋 頑張れよ」
中村君と小島君が 僕に手をあげて行ってしまった
(中村君と小島君は 僕が泳げない事を知ってるの?)
「じゃ~悠 始めるか」
榎本と大塚君が 僕を見た
「うんありがとう よろしくお願いします」
榎本と大塚君は 顔を見合わせた
「高橋は 真面目だなぁ~ いいんだよ そんなの・・・ 気軽にやろうぜ気軽に」
大塚君が 笑ってそう言った
さっき僕が落とされたプールへ 僕はゆっくりと入った
(良かった・・・ ここなら足がつく 苦しくなったらいつでも立てる)
「悠 まず泳いでみて」
「うん わかった」
榎本が プールの真ん中ぐらいに立ち 大塚君が僕の横に付いてくれた
「高橋 正臣の所まで行けなかったら 立ってもいいからな」
「うん わかった」
僕は 息を思いきり吸い込んで プールの壁を蹴った
(苦しかったけど 榎本の所まで来られた)
「隆 どう思う?」
「息継ぎと足 まぁ~腕は後でもいいだろう・・・ まずは息継ぎだなぁ~」
「うん そうだなぁ~」
僕は 息を整えながら 榎本と大塚君の話を聞いていた
「悠 大丈夫」
「うん」
「悠・・・ 水面に顔つけている時って 息吐いてる?」
「えっ?」
僕は 息を止めていた 止めるものだと思っていた
「悠 顔を出した時 息を吸う」
僕は 榎本の目を見て うなずいた
「高橋」
(今度は 大塚君だ)
僕は 大塚君の方を向いた
大塚君は 腕を前に出し 足の動き方を教えてくれた
「こうするのと こうの違いわかる?」
「うん 力が入っているのと 柔らかな感じ」
「うん そうなんだ 高橋の足は力が入っている それじゃ~疲れるし体力持って行かれる・・・ 高橋の泳ぎ方は 全体的に硬い もっと力を抜いて 楽に泳げばいいんだ・・・ 足は自然に動かすぐらいにした方がいい」
(楽に泳ぐ そんな事考えてもみなかった)
「うん わかったやってみる」
今度は 榎本が僕の横に 大塚君の所まで行く
「悠 頑張って」
「うん」
(榎本や大塚君の言ってくれた様には 出来ないかもしれないけど・・・ 僕は僕なりにやってみる)
僕はまた 大きく息を吸い込み 壁を思いきり蹴った
何とか 大塚君の所まで 行く事ができた
(苦しいけど・・・ さっきほどではない)
「悠スゲー 言った事が出来てる」
「えっ」
榎本の言葉に 僕が驚いた
「隆 どうよ~」
「何で 正臣が自慢げなんだよ」
「だってよ~悠スゲーじゃん・・・ ちょっと言っただけなのによ・・・ 学校の授業ん時はマジ心配したし・・・ 」
僕は 恥ずかしさのあまり下を向いた
(プールの授業・・・ 榎本は 見てたの・・・)
「チェッこれだから 頭の回転の速い奴は・・・ 本当こうあっさりと 出来てくれるとどっかの誰かさんみたいで 逆に腹立つ・・・ もう少し手こずらせろよタクッ・・・ あぁ~もう俺が 居なくてもいいだろう 正臣 俺 俊と海斗の所行ってくる・・・」
大塚君はそう言って プールを上がってしまった
「榎本・・・ 僕 大塚君に悪い事しちゃったのかなぁ~」
僕は大塚君を目で追いながら 榎本にそう言った
「隆の事・・・ 悪く思わないでやってくんねぇ~か」
榎本は 大塚君が向かった方を見ながら そう言った
「隆もさぁ~ 悠にどうやって教えるか いろいろ考えくれていたんだ・・・ 隆 口が悪いだろう・・・ それで よく サッカー部の先輩とか友達とかとトラブルになってなぁ~・・・ 隆は 納得して向こうへ行ったんだ・・・ 悠は 隆の事わかってやってほしいんだ」
(大塚君が 僕の事・・・ あとで ちゃんとお礼を言おう)
「うんあとで お礼言わなくちゃね」
「あぁ~」
榎本と僕は 自然と笑顔になった
「悠もうひとつ 言ってもいいかなぁ~」
「うん 何?」
「うん どっちでもいいんだけど 息を吸い込む時 遠くに手を伸ばすと 体が斜めになるだろう そしたら力強く 水を後ろへ押し出すと息がしやすい」
榎本の腕が大きく回った
「悠 出来そう?」
「うん やってみる」
(隆が居た時は 何とも思わなかったのに・・・ 日差しとプールの水で 俺の目がおかしくなったのか 悠の体 こんなに白かった? そう言えば俺 プールの授業の時 悠と離れていたし なるべく悠の事 見ない様にしてた・・・ 俺 このまま悠と一緒に居て大丈夫なのか?)
(榎本 どうしたんだろう?)
僕は プールの端まで来たのに 榎本は 僕の方を見てくれない
「榎本~」
僕は 榎本に手を振った
やっと榎本は 僕の方を見てくれた
僕はまた 大きく息を吸い込み 壁を思いきり蹴った
(悠がスゲー頑張ってる こんな姿を見られるとか マジヤベー)
僕は 榎本の横を通り過ぎ 向こうの壁まで行く事ができた
「悠スゲー しかも速くなってなかった?」
(凄く腕が痛い・・・ それに息が あまり吸えない)
「悠 大丈夫? 上がって少し休もう」
榎本の言葉に僕は うなずく事しかできなかった
僕と榎本は さっきみんなが居た建物の影へ
僕は タオルを羽織って座った
「悠 大丈夫? 俺 悠に無理させちゃってた?」
「ううん 榎本大丈夫だよ 僕 泳げてた?ちゃんと 自分じゃ~よくわからなくって」
榎本は 僕の隣に座った
「悠・・・ 悠はちゃんと泳げてる 本当びっくりするぐらい キレイな泳ぎ方だ」
(榎本の顔が近すぎて ドキドキする)
「ピーピー」
長いホイッスルの音が聞こえ
プールに居た人達が 次々とプールから上がって来た
「みんなも 休憩だな」
「うん そうだね」
(悠ともう少し 2人で話していたかったけどなぁ~)
(つづく)
(朝が来てしまった・・・ やっぱり 僕 行きたくないなぁ~)
昨日 榎本のお母さんから連絡が来て 久しぶりに話をしたお母さんは とても楽しそうだった
(もし 僕がプールへ行かなかったら お母さんも心配するよね・・・)
僕は プールに行く支度をして 榎本を待っていた
(今日もいい天気だなぁ~ それにしても 行く前から凄くドキドキしてる)
玄関のチャイムが鳴った
僕は玄関のドア開けた そこには まぶしいくらいの 榎本の笑顔がそこにあった
「悠 おはよう行こう」
「うん」
「今日も 暑いなぁ~」
「うん」
「悠? どうした大丈夫?」
榎本は僕の事を 心配している様子だった
「少しドキドキしてるんだ・・・ 僕 泳げる様になるかなぁ~」
「大丈夫だ ゼッテー泳げる様になる」
榎本が あんまり自信満々に言うから 僕はちょっと おかしくなって笑ってしまった
(悠が笑顔になった 心配いらねぇ~のかぁ~)
僕達は 照りつけるアスファルトの上を 歩いていると
前から歩いて来る女の子に 声をかけられた
「高橋君?」
「あっ水野さん 久しぶり」
そこに立っていたのは 小学生の時の同級生だった
「高橋君 卒業式以来だね 元気」
「うん 元気だよ」
水野さんは 榎本の方を気にしていた
「ねぇ~」
水野さんが僕に近づいて 僕の耳元へ小さな声で言った
「隣の人 背が高くてカッコいいね」
水野さんはそう言って 僕から離れ 水野さんはまた 榎本の方を見ていた
僕は 嬉しくなってうなずいた
「じゃ~ね 高橋君」
「うん じゃ~」
(何なんだよ あの女 悠に馴れ馴れしくしやがって 何かスゲームカつく・・・)
僕は 榎本の顔をチラリと見た
「悠 今の誰?」
榎本が 不機嫌そうに言った
「僕の小学生の時の同級生 とってもみんなから人気があった人だよ」
「悠も 好きだったの?」
「えっ?」
榎本の言葉に 僕はびっくりしてしまった
「榎本 何言ってんの」
僕は思わず 大きな声を出てしまった
榎本は振り返り 僕に言った
「まぁ~今は 俺の悠だから」
榎本は 自信満々そうに言った
僕は 気温にも負けないくらい 自分の顔が熱くなった
(ヤベ~悠 なんて顔してんだ・・・ それに俺 今なんて言った?)
僕と榎本は お互いに違う方を向いていた
「正臣~」
大塚君の大きな声が聞こえた
榎本は大きく手を振った
まだ プールの入り口は閉まっていて 何人もの人達が並んでいた
大塚君と並んでいたのは 僕が名前も知らない2人
「あっ高橋だ 俺 高橋と話すの初めて」
「俺も 俺も」
「あぁ~ お前ら同じクラスか~」
「平均点上げやがって なにげに隆も 頭いいんだよなぁ~」
「そうそう 名前なにげに あんのなぁ~」
「なにげにってなんだよ」
大塚君が 2人とふざけていた
「悠 紹介するよ・・・ 中村俊(なかむらしゅん)と 小島海斗(こじまかいと)だ 俊も海斗も サッカークラブの時から一緒なんだ」
僕が 榎本の話を聞いている時も まだ 3人でふざけ合っていた
(凄いなぁ~ 本当に仲がいいんだ 僕がここに居て いいのかなぁ~)
「あっ 開いたぞ」
親子連れやカップルが 続々と中へと入って行った
僕達は一列に並び ロッカールームで着換えをはじめた
「俺 もう 履いて来た」
中村君がズボンを脱いで そう言った
「それ パンツ忘れるやつ」
「忘れてねぇ~よ ほら」
中村君が パンツを見せた
「なんだよ つまんねぇ~なぁ~」
「見せんなよ~ パンツ」
みんなが笑っていた
(いつも こうなんだろうなぁ~ みんな凄く明るくて・・・ いい雰囲気だなぁ~)
「悠 行ける?」
榎本が僕を 覗き込んだ
「榎本・・・ 僕トイレに行って来るよ」
「わかった じゃ~先に プールサイドに行ってる トイレの場所わかる?」
「うん 大丈夫」
僕は タオルを羽織ると トイレに向かった
「あれ~ 高橋は?」
「悠 トイレ 先に行ってよう」
俺達は プールサイドへ
僕が ロッカールームに戻ると 誰も居なくなっていた
鍵を閉め 息を吐きだし 気合を入れた
「はぁ~ ヨシ」
僕は 榎本達が待っている プールサイドへと急いだ
まぶしい光で 榎本達が見つけられなかった
(どこだろう?)
「あっ居た」
榎本達は プールの前の建物の影に居た
僕は 強い日差しをさえぎる様に タオルを頭から羽織って 榎本達の所へと進んだ
「おっ高橋 来たな」
「ごめん 待たせて」
僕はそう言いながら 頭からかぶっていた タオルを取った
僕はみんなが 同じ日焼けをしているのを見て 吹き出してしまった
するとみんなは 顔を見合わせうなずき 僕を取り囲み 僕の手足を持ち上げた
一瞬の出来事に 僕は声も出ずに居た
「せ~の~」
僕はプールへ 投げ込まれた
「ピッ ピッ ピー」
ホイッスルの音が鳴り響いた
僕が 水面から顔を出すと 監視員の人を前に みんなが一列に並んでいた
僕も プールから上がり 列に並んだ
「君 大丈夫?」
「あっはい 大丈夫です」
さっきまでの怖い声とは違って 監視員の声は優しく 僕はそっちの方に驚いてしまった
「すいませんでした」
大塚君の大きな声に みんなも頭を下げた
僕も 慌てて頭を下げた
「今後 この様な事がないように」
そう言って監視員は 行ってしまった
「悠 大丈夫だった?」
「高橋悪い どこも打ってない?」
みんなが僕を取り囲んだ
「うん大丈夫だよ ちょっと びっくりしただけ」
(それにしても 凄いチームワークだ 顔を一瞬 合わせただけなのに みんなが同じ行動がとれるなんて・・・)
「ヤベ~なぁ~ 監視員に目付けられた」
小島君が 監視員の方を見ながらそう言った
「とりあえず 体操しよう体操」
大塚君の声にみんなが 反応し丸く円になって 大塚君の動きに みんなが真似をした
(きっと いつも大塚君が中心になって 部活が始まるんだなぁ~ なんか楽しい)
「こんなもんで いいだろう」
大塚君の動きが止まって 準備運動が終わった
「じゃ~俺ら向こう行くから・・・ 高橋 頑張れよ」
中村君と小島君が 僕に手をあげて行ってしまった
(中村君と小島君は 僕が泳げない事を知ってるの?)
「じゃ~悠 始めるか」
榎本と大塚君が 僕を見た
「うんありがとう よろしくお願いします」
榎本と大塚君は 顔を見合わせた
「高橋は 真面目だなぁ~ いいんだよ そんなの・・・ 気軽にやろうぜ気軽に」
大塚君が 笑ってそう言った
さっき僕が落とされたプールへ 僕はゆっくりと入った
(良かった・・・ ここなら足がつく 苦しくなったらいつでも立てる)
「悠 まず泳いでみて」
「うん わかった」
榎本が プールの真ん中ぐらいに立ち 大塚君が僕の横に付いてくれた
「高橋 正臣の所まで行けなかったら 立ってもいいからな」
「うん わかった」
僕は 息を思いきり吸い込んで プールの壁を蹴った
(苦しかったけど 榎本の所まで来られた)
「隆 どう思う?」
「息継ぎと足 まぁ~腕は後でもいいだろう・・・ まずは息継ぎだなぁ~」
「うん そうだなぁ~」
僕は 息を整えながら 榎本と大塚君の話を聞いていた
「悠 大丈夫」
「うん」
「悠・・・ 水面に顔つけている時って 息吐いてる?」
「えっ?」
僕は 息を止めていた 止めるものだと思っていた
「悠 顔を出した時 息を吸う」
僕は 榎本の目を見て うなずいた
「高橋」
(今度は 大塚君だ)
僕は 大塚君の方を向いた
大塚君は 腕を前に出し 足の動き方を教えてくれた
「こうするのと こうの違いわかる?」
「うん 力が入っているのと 柔らかな感じ」
「うん そうなんだ 高橋の足は力が入っている それじゃ~疲れるし体力持って行かれる・・・ 高橋の泳ぎ方は 全体的に硬い もっと力を抜いて 楽に泳げばいいんだ・・・ 足は自然に動かすぐらいにした方がいい」
(楽に泳ぐ そんな事考えてもみなかった)
「うん わかったやってみる」
今度は 榎本が僕の横に 大塚君の所まで行く
「悠 頑張って」
「うん」
(榎本や大塚君の言ってくれた様には 出来ないかもしれないけど・・・ 僕は僕なりにやってみる)
僕はまた 大きく息を吸い込み 壁を思いきり蹴った
何とか 大塚君の所まで 行く事ができた
(苦しいけど・・・ さっきほどではない)
「悠スゲー 言った事が出来てる」
「えっ」
榎本の言葉に 僕が驚いた
「隆 どうよ~」
「何で 正臣が自慢げなんだよ」
「だってよ~悠スゲーじゃん・・・ ちょっと言っただけなのによ・・・ 学校の授業ん時はマジ心配したし・・・ 」
僕は 恥ずかしさのあまり下を向いた
(プールの授業・・・ 榎本は 見てたの・・・)
「チェッこれだから 頭の回転の速い奴は・・・ 本当こうあっさりと 出来てくれるとどっかの誰かさんみたいで 逆に腹立つ・・・ もう少し手こずらせろよタクッ・・・ あぁ~もう俺が 居なくてもいいだろう 正臣 俺 俊と海斗の所行ってくる・・・」
大塚君はそう言って プールを上がってしまった
「榎本・・・ 僕 大塚君に悪い事しちゃったのかなぁ~」
僕は大塚君を目で追いながら 榎本にそう言った
「隆の事・・・ 悪く思わないでやってくんねぇ~か」
榎本は 大塚君が向かった方を見ながら そう言った
「隆もさぁ~ 悠にどうやって教えるか いろいろ考えくれていたんだ・・・ 隆 口が悪いだろう・・・ それで よく サッカー部の先輩とか友達とかとトラブルになってなぁ~・・・ 隆は 納得して向こうへ行ったんだ・・・ 悠は 隆の事わかってやってほしいんだ」
(大塚君が 僕の事・・・ あとで ちゃんとお礼を言おう)
「うんあとで お礼言わなくちゃね」
「あぁ~」
榎本と僕は 自然と笑顔になった
「悠もうひとつ 言ってもいいかなぁ~」
「うん 何?」
「うん どっちでもいいんだけど 息を吸い込む時 遠くに手を伸ばすと 体が斜めになるだろう そしたら力強く 水を後ろへ押し出すと息がしやすい」
榎本の腕が大きく回った
「悠 出来そう?」
「うん やってみる」
(隆が居た時は 何とも思わなかったのに・・・ 日差しとプールの水で 俺の目がおかしくなったのか 悠の体 こんなに白かった? そう言えば俺 プールの授業の時 悠と離れていたし なるべく悠の事 見ない様にしてた・・・ 俺 このまま悠と一緒に居て大丈夫なのか?)
(榎本 どうしたんだろう?)
僕は プールの端まで来たのに 榎本は 僕の方を見てくれない
「榎本~」
僕は 榎本に手を振った
やっと榎本は 僕の方を見てくれた
僕はまた 大きく息を吸い込み 壁を思いきり蹴った
(悠がスゲー頑張ってる こんな姿を見られるとか マジヤベー)
僕は 榎本の横を通り過ぎ 向こうの壁まで行く事ができた
「悠スゲー しかも速くなってなかった?」
(凄く腕が痛い・・・ それに息が あまり吸えない)
「悠 大丈夫? 上がって少し休もう」
榎本の言葉に僕は うなずく事しかできなかった
僕と榎本は さっきみんなが居た建物の影へ
僕は タオルを羽織って座った
「悠 大丈夫? 俺 悠に無理させちゃってた?」
「ううん 榎本大丈夫だよ 僕 泳げてた?ちゃんと 自分じゃ~よくわからなくって」
榎本は 僕の隣に座った
「悠・・・ 悠はちゃんと泳げてる 本当びっくりするぐらい キレイな泳ぎ方だ」
(榎本の顔が近すぎて ドキドキする)
「ピーピー」
長いホイッスルの音が聞こえ
プールに居た人達が 次々とプールから上がって来た
「みんなも 休憩だな」
「うん そうだね」
(悠ともう少し 2人で話していたかったけどなぁ~)
(つづく)
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あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
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※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。