悠と榎本

暁エネル

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初詣で②

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階段を上り神社の鳥居をくぐると みんなは静かに並んで順番を待っていた


僕と榎本の番になり 顔を見合わせ おさい銭を入れて


カランカランと鳴らし 神様に届く様に手を叩いた





(これからも悠の傍に居て たくさん悠の笑顔が見られます様に・・・ って言うか俺が悠を笑顔にする)





(去年も健康に過ごせました・・・ 今年も健康に過ごせます様に・・・ これからも 榎本と仲良くできます様に・・・)





僕が目を開け榎本を見ると 榎本の優しい笑顔がそこにあった




みんなが待って居る方へと進み


榎本は大塚君に手をあげると 大塚君を先頭にみんなが歩き出した




階段を下りず違う方へと歩いて行った


「榎本 みんなどこへ行くの?」


「あぁ~ この先屋台が並んでいるんだ 腹減ったからなぁ~悠も何か食べよう」


「僕が毎年行く神社は 屋台見たことないよ」


「そうなんだ~ ここは結構たくさん屋台が並んでるから 毎年どれにしようか迷う」



榎本は嬉しそうに話してくれた




榎本の言った通り たくさんの屋台が並んでいて みんながバラバラになっていた


「榎本・・・ みんなとはぐれちゃうよ」


僕は心配になり 榎本に声をかけた


「悠大丈夫だ 待ち合わせ場所は決まってるから・・・ それより悠は何食べる?」


榎本は屋台を見ながらそう言った


「いろいろあるんだねぇ~」


「ひと通り回ってみるか?」


「うん・・・ 小さい頃お母さんと夏祭りに行った時も たくさん屋台が並んでいたよ」





(そっか・・・ 去年は部活部活で 悠と夏祭り処じゃ~なかったからなぁ~ 悠の浴衣姿とか見てみてぇ~なぁ~)





「今年は悠と夏祭り行かれるんだなぁ~楽しみだ」


榎本が独り言の様にそう言った


僕は恥ずかしさのあまり 辺りをキョロキョロと見回してしまった




人が多くぶつかりそうになると 榎本が僕の肩を引き寄せてくれた


僕が榎本の顔を見ると 榎本は真っ直ぐ前を向いていた





(自然にこういう事ができちゃう榎本は やっぱり凄いなぁ~ 僕は自分の事ばっかりだ・・・)





僕は 何もできない自分を恥ずかしく思っていた




屋台をひと通り回り 美味しそうなニオイに誘われた


「悠決まった? タコ焼き買って半分こしよう」


「うん いいよ」


「あっあと俺イカ焼きと とうもろこしもうまそう・・・ 焼きそばもいいなぁ~ 悠は何にする?」





(こういう時 僕はなかなか決まられない・・・)





僕はウロウロするばかりだった




(本当にどうしよう・・・)





「悠・・・ もしかしてあんまり腹減ってない?」


「うん そうかも」


「じゃ~タコ焼きだけじゃなく 俺が食べたい物半分こしよう」





(ヤベー俺正月から・・・ 悠が口開けて俺の差し出した物食べる エロイところ想像してた・・・)





「えっいいの?」





(一つだと多いし・・・ そうしてくれると助かる)


 


榎本が嬉しそうに笑っていた




僕と榎本はタコ焼きとイカ焼き とうもろこしと 僕が見つけた今川焼を買って みんなのところへ




すでにみんなが集まって食べていた


「また正臣はいっぱい買い込んだなぁ~」


大塚君の声でみんながこっちを見た


「でも去年より少なくねぇ~」


「また買い足し行くんだろう・・・」


誰かの声でみんなが笑った



みんなの笑顔が 仲の良さを物語っている



僕と榎本は みんなの中に入り食べ始めた


「悠 イカ焼き食べて」


俺はイカ焼きを悠の口もとへ




(ヤベーさりげなく出来た・・・ 悠の口がエロイなぁ~)





「柔らかいねぇ~ 美味しい」


僕がそう言うと 榎本は大きな口をあけて イカ焼きを食べた




「タコ焼きってさぁ~ 中が熱いよねぇ~」


僕は タコ焼きの輪ゴムをはずした


「つまようじで割れば大丈夫だろう」


「悠って猫舌?」




(何度も悠の舌を絡ませた・・・ 正月 今日 今年初めに悠と・・・)





「そういう訳じゃ~ないんだけどね」


僕がそう言うと榎本は 2本のつまようじで タコ焼きを割ってくれた


榎本は そのままタコ焼きを 口に放り込んだ


「榎本熱くないの?」





(僕が輪ゴムからはずした時は まだ熱かった)





「悠 割ったやつはもう大丈夫だろう・・・」


「うん」


僕と榎本は代わるがわる タコ焼きを食べた




僕が今川焼の袋を手に取った




(悠スゲー嬉しそうだ)




「悠って 甘い物好きなの?」


「えっ何で?」


「あぁ~いや~ さっきも今川焼の屋台に真っ先に行ってたし 迷う事なくあんこ注文してたし・・・」


悠が黙って俺を見ていた
 

「いや~俺 しょっぱい物ばっかだったから 悠が気~きかせて買ってくれたのかもって思ったり・・・」





(悠はどっちなんだ?)





僕が話をしようとした時


大塚君の大きな声が聞こえてきた


「みんな~聞いてくれ・・・ これで解散する 冬休みの宿題 忘れずちゃんとやる様に特に正臣」


「隆・・・ 俺は大丈夫だ 悠が居るからなぁ~」


「じゃ~高橋 正臣の事頼んだからなぁ~ 以上解散」


みんながゴミ箱に向かった




榎本は大塚君のところへ


「隆・・・ 俺悠と帰るから」


「そうかじゃ~な・・・ 正臣練習日忘れんなよ」


「あぁ~大丈夫だ」


大塚君は友達と行ってしまった





(まだ明るいし・・・ 悠とどっかで話し・・・)






「正臣~俺 高橋と話してねぇ~んだけど・・・」


「俺も~」


榎本の友達がそう言った


「知らねぇ~よそんなの」


榎本は笑いながらそう言った


「高橋~ 今度俺とも話しようなぁ~」


そう言って僕に手を振った


「嫌なこった」


榎本がなぜかそう答えた


「正臣じゃ~ねぇ~よ 何で正臣が返事すんだよ」





(誰が悠と話すって・・・ 俺だって悠と話せる様になったのやっとだぞ ふざけんなよ)






(僕の話なのに 僕は声も出せず蚊帳の外だ・・・ でも榎本が嬉しそうに笑っているから・・・ 僕は何も言わない)





「じゃ~な」


榎本が笑顔でみんなに手を振ると 僕も小さく手を振った





(榎本が嬉しそうに笑ってる・・・ 僕も自然と笑顔になれる)







みんなと別れ榎本と歩いていた





(本当に今日は気持ちのいい天気だ・・・ 榎本とお正月を過ごしている 僕はこんなに幸せでいいのかなぁ~)





「悠 お茶でいい?」


榎本が自動販売機の前でそう言った


「僕 自分で出すよ」


僕は ポケットの財布を取ろうしたら 榎本はもう僕に あたたかいお茶を向けていた


「はい悠」


「ありがとう 僕お金払うよ」


「いいって」


榎本はそう言って 自分の分のお茶を取っていた


「俺 おばさんにお年玉貰うつもりなかったのに・・・ お茶ぐらいおごらせろよ 俺クリスマスから貰ってばっかだし」





(おばさんからも 悠からも・・・)





「それは榎本がいつも僕を送ってくれるから・・・ お母さん言ってたよ 榎本と一緒だと安心だって・・・」






(いや~俺が心配だから 送って行くだけなんだけどなぁ~)





「屋台でもさぁ~ 本当は全部俺が出しても 良かったぐらいなのに」


「えっ それはダメだよ」


榎本はお茶を飲み干し ペットボトルを捨てた


「榎本」


「ううん何?」


「屋台で思い出したんだけど・・・ 人混みで僕が ぶつかりそうになるのを榎本が ぶつからない様にしてくれていたよね 僕凄いなぁ~って思っていたんだよ 僕は榎本みたいなマネできないなぁ~って・・・」


「えっ 俺そんな事した?いつ?」


「えっ 榎本あれ無意識なの?」


僕と榎本は向かい合い お互いの顔を見つめあった





(悠ってやっぱかわいいなぁ~)





(あの時榎本は僕の方を見てなかったし・・・ 自然とそういう事って出来ちゃうものなのかなぁ~)





僕はお茶を飲み干した


「あっそうだ悠・・・ 冬休みの宿題って終わってたりする?」


「えっまだだよ」


「また俺の宿題見てくんねぇ~」


「うんいいよ 大塚君にも頼まれたし・・・ そしたら僕からも・・・」


「えっ何?」






(悠が俺に・・・ 何だろう)





「僕・・・ 習字が苦手なんだ」


「え~悠が・・・」


「うん 書初めあるでしょう 僕去年もうまく書けなくて・・・」


「だって悠スゲー字キレイじゃん 俺悠の字すぐわかるよ」





(ホント手本みてぇ~な字 俺悠の字好き)





「ありがとう榎本・・・ 筆で書くと思っていた通りに書けないんだ だから榎本に見てほしい」


「じゃ~一緒にやろう」


「うん 榎本ありがとう」


僕もペットボトルを捨てた


「悠・・・ 俺こんな気持ちのいい正月は初めてだ・・・」





(悠と一緒だからなおさらだなぁ~)





榎本は空を見上げてそう言った





(榎本も僕と同じ事思ってくれてたんだなぁ~ 嬉しい・・・)






「僕 ハイタッチも初めてだったし・・・ サッカー部のみんなが僕の事を知っててくれて ちょっと驚いたよ」


「運動会でも写真撮ったし 悠は 有名人だからなぁ~」


「嫌だ榎本やめてよ 僕・・・」


僕が下を向いて 榎本が僕の前に立ち 僕は顔を上げた


「榎本・・・ 僕凄く楽しかったよ・・・ 僕こんな楽しいお正月は初めて・・・ 榎本 今日は誘ってくれてありがとう」


悠のキラキラした瞳に 俺の手が伸びそうになった





(悠その顔はヤバいって・・・)





榎本が僕から視線をそらした


「榎本?」


「あっうん何でもない」





(う~何でまだ明るいんだよ・・・ 悠は自分がどんな顔してるかなんて まったく自覚がねぇ~し・・・ あぁ~ 悠にキスしてぇ~なぁ~)





「悠 来年の正月も 一緒に初詣で行くからな」





(嬉しいどうしよう・・ 僕・・・)





「うん 榎本ありがとう」


僕は榎本の言葉が嬉しくて 涙が出そうになっていた



(つづく)


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