悠と榎本

暁エネル

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三者面談

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昨日は 榎本の三者面談だった

 
榊先生と進路の事についての話し合いがあった


僕が決めてしまった 榎本の進路が榊先生はどう思ったのか気になって仕方がなかった





(榎本は榊先生に何て言われたのかなぁ~)






「悠 スリッパだけでいいのよねぇ~」


お母さんはそう言いながら僕の部屋へ


「うん」


僕はカバンに上履きを入れた


「あっ悠 お母さんのスリッパも一緒に入れてって・・・」


「うんいいよ」


「それじゃ~行きましょうか」




今日は僕の三者面談の日


「悠の今度の先生は 毎年特進クラスの先生なんでしょう」


「うん」


「悠は教育熱心な先生って言ってたけど 会ってみないとわからないわね 榎本君はまた榊先生なのよね」


「うん」


僕とお母さんは 学校の階段を上った


教室を見るとドアが開いていた


「失礼します」


僕はそう言って教室に入った


「あっどうぞお待ちしてました」


先生は立ち上がった


「よろしくお願いします」


お母さんは先生に頭を下げた


「どうぞ座ってください」


いよいよ僕の三者面談が始まった


「失礼します」


僕は先生の前に座った


「お母さん これが高橋君の今までの小テストの結果と まだ高橋君の方から具体的な進路の話を聞いていないので 今後の進路の目安にしてもらえればと・・・」


先生はお母さんの前にプリントを差し出した


「高橋君はとても優秀な生徒さんで 1年生の時から成績は常に学年トップでして・・・ 出来ればこのプリントにもあります 高校に進学していただけたらと・・・」


先生はお母さんの前にあるプリントに手を添えた


プリントには有名校がズラリと書かれてあった


「もうご家庭でも進学の話はあると思いますが お母さんはどの様にお考えですか」


「私は 悠が行きたいと思う高校に行ってくれるのが 1番いいと思います」


先生は僕に視線をうつした


「高橋君はもう何校か決めているのかなぁ~」


「いいえ まだ決めていません」





(本当はもう決めているけど・・・)





「高橋君 先生はこれらの高校なら推薦できるんだけど・・・ 大学附属の高校は高橋君に合っていると思うし 将来へと繋がる大事な選択になるから 出来たらこれらの高校へ進学をしてくれたら先生は嬉しいんだけど 高橋君ならどの高校も大丈夫だと思うんだけど」





(どうしよう・・・ ここで言った方がいいのかなぁ~)





先生はどんどん話を進めていく





(これは僕がちゃんと言わないとダメな気がする)





「先生」


「高橋君 志望校決めてくれたかな」


「先生僕は 自分で行きたい高校を決めますだから 先生の推薦していただいた高校へは行きません」


先生は驚いた様な顔をしていた





(ちょっと言い過ぎたかなぁ~ 僕がこんな事を言うとは思わなかったのかなぁ~ もっとやんわりと言えば良かったかなぁ~)





「あっでも高橋君 君の成績なら・・・」


お母さんが先生の話をさえぎった


「先生 豊田先生・・・ 悠が自分で決めると言っているんです もう少し生徒の話を聞いてくれてもいいんじゃないんでしょうか」


お母さんは強い口調で先生に言った


「ですがお母さん 高橋君はとても優秀で我が校としましても・・・」


お母さんは立ち上がった


「今日はこれで失礼します 悠帰ろう」


僕は慌てて立ち上がり 先生に頭を下げ お母さんのあとを追った




「お母さん」


お母さんは階段を下りながら スマホを取り出し僕に言った


「悠 あんな先生の言う事は聞かなくていいからね」


お母さんはスマホを操作し始めた


「あっ私 今大丈夫? うん今終わったところ うん今から行っても大丈夫? うんわかったうんじゃ~ね」





(お母さんは誰に電話をかけているんだろう? 今から行くってどこへ・・・)





「悠これから榎本君のお家へ行くから・・・」





(えっ榎本の家)





「それにしてもお母さん 悠の事見直したわ 悠があんなにハッキリ自分の言いたい事が言えるなんて お母さんもムキになっちゃった」


お母さんはそう言って笑っていた


「悠ちょっと遠回りになっちゃうけど 駅まで行ってくれるケーキ屋さんへ行こう」




お母さんはどんどん駅へ向かって歩いて行った


夏休みな事もあって ケーキ屋さんにはアルバイトの女の子が居た





僕は何種類かのケーキを選び榎本の家へ


「ゆ~う」





(ヤベ~本当に悠が来た)





榎本のマンションが見えると 榎本の大きな声が聞こえ榎本が走って来た


「おばさんこんにちは」


「こんにちは榎本君 悠も背が伸びた方だけど 榎本君もまた背が伸びたんじゃない 男の子はどんどん大きくなるわね」


「そっすかねぇ~」






(榎本が照れた様に笑ってる・・・ かわいい・・・)





僕達はエレベーターへ乗り込み榎本の家へ


「母ちゃん来たよ~」


そう言って榎本が玄関のドアを開けた


「いらっしゃい待ってたのよ」


「忙しくなかった? 突然お邪魔する事になって」


「私も話したい事があったから さぁ~上がって」


僕は持っていたケーキをおばさんへ


「おばさんこれ・・・」


「まぁ~悠君ありがとう」


僕達は奥へと進んだ


「正臣 麦茶とお皿」


「わかってる」


榎本は大きなトレーに麦茶とお皿を乗せ テーブルに置いた


「榎本君 ケーキ2つ選んでね」


「あざっす」


お母さんはそう言いながらケーキを出し 僕と榎本はケーキを見ていた


「いろいろあるなぁ~」


「うん」


「悠はどれにする?」


「僕チョコレート 榎本は?」


榎本はチョコレートケーキをお皿へ


「俺どれにしよう タルトもいいけど 俺ロールケーキとチーズケーキにする」


榎本はそれぞれお皿へ乗せた


「さぁ~決まったら行った行った」


おばさんは台所から 紅茶を運んで来た


「悠行こう」


榎本は大きなトレーを持って 僕は榎本の部屋のドアを開けた


僕はいつもの様に座り 榎本はトレーごと丸いテーブルに置いた


お母さんとおばさんの笑う声が聞こえていた


「母ちゃんがさぁ~ 悠が今から家に来るって言うから俺 母ちゃんのドッキリかと思ったよ だってさぁ~今日悠が面談だって知ってたし来る訳ねぇ~じゃんって 母ちゃんがウソだと思うなら下で待ってなさいって 俺マジかよ思ってたら本当に悠の姿が見えて・・・」






(思わず抱きしめたくなった おばさんが居なかったら多分俺は・・・)






榎本はケーキを食べながらそう話ていた


「うん僕も 榎本の家へ来るとは思わなかったよ」


「何かあったのか」


「あっうん」


僕は先生とお母さんの事を榎本に話た


「そっか・・・ 豊田は自分の評価を上げる為に 悠を利用しようとしているの見え見えだな 悠の母ちゃんが怒るの当たり前だ」


「僕ちょっと言い過ぎたかなぁ~」


「悠は少しも悪くねぇ~よ これで豊田もおとなしくなるんじゃねぇ~」


榎本は2つのケーキを食べ終え麦茶を飲んでいた


「俺今日悠に会えると思ってなかったから 嬉しい・・・」


榎本は真っ直ぐ僕を見ていた


僕は恥ずかしくなり下を向いた





(僕だって榎本の家に来るなんて どうしよう何か話さないと・・・ あっそうだ)






「榎本は三者面談どうだったの?」


「あぁ~榊先生に西高受験するって言ったよ 榊先生もいいんじゃないかって 悠が決めてくれたって言ったら 母ちゃんと榊先生が悠の話で盛り上がっちゃって参ったよ 母ちゃんどんだけ悠の話するんだよって・・・」





(えっ僕の話)






僕は顔を上げると 榎本は優しい顔で僕を見ていた


「悠 明日から受験勉強しよう」


「うん」


「来週は夏祭りもあるし花火大会も 去年出来なかった事やろうな」


「うん楽しそうだね 榎本花火って・・・」


「あぁ~うちからも見えるんだけど サッカークラブの時の友達ん家のマンション めちゃくちゃスゲーんだ だから悠にも見せたい」


榎本の手が今にも 僕に伸びてきそうで 僕は少しドキドキしていた





(今榎本に抱きしめられたら 僕は榎本を突き放す事が出来ない多分 お母さんやおばさんが向こうに居ても 僕は榎本を受け入れしまうきっと・・・)






(ヤベ~悠がソワソワしてる・・・ かわいい・・・)






お母さんとおばさんの笑い声が聞こえた


「榎本 1年生と2年生の時の教科書まだ持ってる?」





(良かった お母さん達の声で助かった)





「あぁ~あるよ確か・・・」


俺はクローゼットを開けた





(ここにあるはず ほらあった・・・)






「悠あったよ」


俺は紙袋から教科書を出し 悠がそれを見ていた





(ちょっと待てよ・・・ 2年生の教科書はいいとして 1年の教科書ってヤバくないか俺の教科書 悠の事いろいろ書いていた様な・・・)





悠が教科書をパラパラとめくっていた


「悠ちょっと ちょっと待った・・・」


「どうしたの榎本」


榎本が僕の手を止めた


「あっ落書き いろいろ落書きがあるから・・・」


「えっいいよそんなの」





(いやいや待て待て ゼッテー良くねぇ~ 悠が見たら・・・)





その時榎本の部屋のドアが開いた


「悠君帰るって・・・」


おばさんとお母さんが榎本の部屋へ


「あら勉強」


「母ちゃん明日からうちで悠と勉強会するから」





(母ちゃん達に助けられたなぁ~)





「そう 悠君正臣の事よろしくね」


「はい」


僕はカバンを取り立ち上がった


「じゃ~榎本明日」


「あぁ~」


僕とお母さんは玄関へ


「お邪魔しました」


僕はおばさんに頭を下げた


「またね連絡するね」


お母さんはそう言って玄関を閉めた






「ねぇ~悠」


「何?」


「受験する高校決まってたの?」


「あっごめん」





(お母さんにまだ言ってなかった 言うの忘れてたよ僕)






「僕 榎本と同じ高校受験したいんだ ダメかなぁ~」


「ダメじゃ~ないわよ お母さんもそうなったらいいなぁ~って思ってたから それに悠が決めた事反対する理由ないもの」


お母さんはそう言って笑ってくれた


「ありがとうお母さん それでねお願いがあるんだ 榎本にはまだ言わないでほしいんだ 僕が言うまで」


「そうわかった でも榎本君のお母さんは知ってるのよねぇ~」


「うん昨日聞かれてね お母さんから榎本のお母さんに まだ榎本には内緒にしてって言ってくれるかなぁ~」


「わかったわ 連絡しておく」


お母さんはスマホを取り出した





その頃俺は・・・





(ゼッテーヤベ~1年の時の教科書 1年の時って悠のストーカーまがいな事やってた ゼッテーどっかの教科書に悠の名前とか書いてあるよ・・・)





俺は全ての教科書をチェックしていた



(つづく)

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