悠と榎本

暁エネル

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運動会④

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俺は悠と別れて一旦席へと戻った


「須藤」


「何?榎本 あれ~高橋君は?」


「悠は母ちゃんとこ」


「えっ高橋君 ここへ呼んでくればいいじゃん その方が見やすいし席ならいっぱい空いてるよ」





(そっか・・・ たまには須藤もいい事を言う)





「じゃ~俺 悠を呼んで来る」


「うん待ってる」


俺は悠の所へ急いだ





僕は榎本と別れてお母さん達の所へ


「あっ悠お疲れ様」


お母さんはサッカー部のお母さん達と楽しそうに話をしていた


「悠見て 記念品」


お母さんは手さげ袋から のし紙が貼られた記念品を見せてくれた


「あれお母さん 吉田さんは?」





(お母さん達と一緒に居るはずなんだけど・・・)





「ひとみちゃんならイケメンの彼が迎えに来たよ悠君」


榎本のお母さんがそう言ってくれた


「あら悠君1人正臣は?」


「あっ 席に戻りました」


「そう~ 悠君は次何に出るの?」


「僕は他の競技には出られなくて・・・」


「あらそれってどうなの 最後の運動会なのにねぇ~」


「僕のクラスは勉強を優先するクラスなんですよね」


「そうなの~ 勉強も大事な事だけど 思い出も作らないとねぇ~」


そこへ榎本がやって来た


「正臣 悠君を1人にして・・・」


僕は驚いて振り向いた





(えっ何で榎本・・・)




(あぁ~ヤベー 母ちゃん怒ってる)




俺は母ちゃんと目を合わせない様に悠の隣へ





「悠 お母さんね 榎本君が出るこの最後の色別対抗リレー見たいんだけど・・・」


お母さんは僕にプログラムを見せてくれた


「うんお母さん僕も見たい」


僕はプログラムから榎本へ視線を移した




「悠 トイレ行こう」


「そうね今のうちに行って来た方がいいみたい」


お母さんはプログラムを見てそう言った





(悠が何気なく俺を見た今の顔 悠はまったく自覚なんかねぇ~んだろうなぁ~ あんな顔で見つめられたら)





僕は榎本のあとを追ってトイレへ





(どうしようトイレって・・・ 去年の事榎本は覚えてないのかなぁ~?)





トイレに入ると僕は個室へ





(どうしよう 僕だけが動揺してる トイレに榎本と2人きり・・・)





僕はトイレから出て榎本を鏡越しに見て手を洗い振り向くと 榎本にふわりと抱きしめられた





(榎本はやっぱり覚えていたの? でも個室じゃ~ないし誰か入って来たら・・・)





「悠 午後も頑張れる様に元気ちょうだい」






(抱きしめるだけなら・・・ 僕にも出来る)





僕は榎本の胸でうなずき 榎本の身体に腕を回し僕は顔を上げた


榎本のくちびるが重なり 榎本の舌がスルスルと僕の舌を絡めていた





(榎本は覚えていたの?それとも偶然?誰か来ちゃうよ)





(キス何かしたら止まんねぇ~のわかってたはずなのに・・・ やっぱ中途半端だ・・・)





榎本はすぐに僕から離れた





(えっもう終わり?)





「悠行こう」


榎本はすぐにトイレのドアを開けた


「あっすいません」


トイレのドアに立っていた 男の子達が榎本に頭を下げていた





(あぶなかった榎本が離れてくれなかったら 僕は榎本の首に腕を回していたところだった)






(あぁ~もう~やっと悠と2人になれたと思ったのに 今日はもうダメだよなぁ~)






僕と榎本がグランドへと戻ると歓声が聞こえてきた





(話だけでも悠と・・・)





「悠ちょっと座って話たい・・・」


「うん僕も」


「あそこ座ろう」


榎本がグランドの階段を指さした





(まだドキドキしてる 榎本はドアの向こうに誰か来た事わかっていたんだ)





「悠 俺どうだった?」


「えっ何が・・・」






(いろんな事があり過ぎて 榎本が何を聞いているのかわからない)





「運動会 悠には俺がどう映った?」






(運動会の事かぁ~)






「全員リレーカッコよかったよ 榎本が僕に気がついてくれて凄く嬉しかった」






(どうしよう 自分で言ってて恥ずかし・・・)






「悠がいつ来るかわからなかったけど ゼッテー母ちゃんの所に来ると思って見てたんだ」


「うん間に合って良かったよ」





(どうしよう 榎本の顔が見られない)






「お~い正臣」


階段の下から笑顔で元気良く榎本に手を振っていた


榎本も手を軽く振った


「榎本の友達?」


「いや~後輩サッカークラブの時からの なんかさぁ~今さら先輩とか呼ばれるのはなぁ~ サッカークラブに居た頃は 年齢関係なくみんな名前で呼びあってたからさぁ~ 知らねぇ~ヤツは後輩がって思うヤツも居るけど でも俺は俺が良ければいい事だと思うから」


僕は榎本らしいと思った




「色別対抗リレーに出る選手は 入場門へ集まって下さい」


放送が流れて榎本は立ち上がった


「悠 最後まで見ててくれ俺の走るとこ」


「うん」


僕も榎本の隣に立った


「榎本頑張ってね」


「あぁ~ 悠にさっきいいもの貰ったから スゲー頑張れる本当はもう少し欲しかったけどなぁ~」


榎本はそう言って笑顔で階段を降りて 入場門へと向かって行った


僕はそんな榎本の姿を見ながら 僕の顔が熱くなるのがわかった





僕はお母さん達の所へ


「あっ悠君お帰り 正臣は?」


「はい 入場門へ行きました」


「悠君 正臣のお尻叩いてくれた 色別対抗リレーは隆も出るっていうから・・・」


「榎本は知ってたんですか?」


「お互い内緒なんだって でもまぁ~お互い言わなくてもわかってた事だと思うけどね」


僕は そのまま お母さんの隣へ


「お母さんただいま」


「あっ悠 さっきの学級対抗リレーも凄かったのよ・・・」


「うん 榎本と話ながら見てたよ」


「そう 色別対抗リレーも榎本君頑張ってほしいわね」


「うんそうなんだけど 色別対抗リレーに大塚君も出るらしくて 多分速い人が学級対抗リレーじゃ~なくて 次に集中した感じになったんじゃないかなぁ~」





(確かに 学級対抗リレーに大塚君の姿は見なかったしリーダーの姿もなかった これは凄い戦いになるんじゃ~)






俺は入場門へ





(おいおい さっき何気に悠と学級対抗リレー見てたけど リーダーと隆の姿探してたけどやっぱこっちかぁ~)





「正臣」


隆が俺に気がついた


隆の隣にリーダーも居た


「正臣は色別対抗リレーに出ると思ったよ 去年もそうだったからなぁ~」


「隆まさかのアンカーじゃねぇ~よなぁ~」


「正臣そのまさかだ」


「マジかよ・・・」


そこへ須藤がやって来た


「楓久しぶり」


「美咲」


そう言って須藤はリーダーに抱きついた


「部活引退してから会ってなかったし クラスも違うからなかなかねぇ~」


リーダーと須藤は笑っていた





(まったくあんなに堂々と抱き合えて マジうらやましいよなぁ~ 俺が悠にしたら 悠はどんな顔すんだろうなぁ~ きっと副ちゃんは大喜びだろうなぁ~)





須藤が振り向き俺の前へ


「もう榎本 私ずっと待ってたんだからね」





(えっ俺なんかした?須藤がめっちゃ怒ってる)






「ちょっと聞いてよ楓 榎本高橋君呼んで来るって言って ぜんぜん帰って来ないのよ・・・ 私もっと高橋君と話したかったのに・・・」





(あっそうだ俺すっかり忘れてた 悠とトイレ行ってそのまま・・・)





「あっ須藤ワリー忘れてた それよりも隆アンカーだってよ まさかのリーダーもアンカーって事はさすがにねぇ~よなぁ~」


「榎本私は違うよ 最初に走ってみんなを引き離す」


「何かさぁ~ リーダーが言うとカッコいいよなぁ~」


「榎本 おだてても私は手を抜かないから」


リーダーは自信たっぷりに言った


俺は離れたところに居る 背の高いヤツに目が止まった





(委員長と副ちゃんが居ないだけまだマシなのか・・・ アイツ緑色のハチマキって隆のチームかぁ~背高くねぇ~ まぁ~俺の方が高いけど 隆の余裕はそこなのか?)






みんなの視線が6色の得点ボードへ 得点ボードが全て外された


「最後の種目になりました 次は色別対抗リレーです みんなさん応援しましょう」


放送が流れ 榎本達が入場門から出て来た





(僕が走る訳じゃないのに何でこんなにドキドキするの・・・)





リーダーはバトン持っていた





(ちょっと待って 大塚君と榎本がタスキをかけてる)





お母さん達が声援を送っていた


「悠あれ 緑色のタスキの子大塚君よねぇ~」


「うん」


「榎本君とどっちが速いのかしら」


「それは僕にもわからないよ」





(いよいよだ みんな頑張って・・・)





僕は祈る様な気持ちでみんなを見ていた


第1走者がスタートラインに立った


リーダーが青色のバトンを持って みんなに手を振っていた


緑色のバトンを持っている男子は背が高い


音が鳴り一斉にスタートした





(やっぱりリーダーは速い だけど 大塚君のチームの背の高い人がリーダーを追い抜いた これはわからなくなった リーダーすぐ後ろを追いかけてる)





次々とバトンが渡されていく


榎本のチーム赤色は今のところ3位 須藤さんがスタートラインに立ちバトンを受け取ると


直線で青色のチームを抜いた 榎本が立ち上がり須藤さんを応援していた


グランド全体が凄い盛り上がっていた


榎本と大塚君まであと1人 


先頭は大塚君の緑色のチーム


榎本と大塚君がスタートラインに立った


最初にバトンを受け取ったのは大塚君





(お母さん達の応援が凄い)





榎本がバトンを受け取り 凄い速さで榎本は先頭の大塚君を追いかけていた


グランド全体が波の様に みんなの声援が響き渡った


大塚君がコーナーを曲がる時 榎本を確認していた






(マジかよ・・・ 隆のヤツ余裕かよ・・・)





俺は最後の直線で隆をとらえた





(榎本大塚君頑張って)





ゴールテープが伸ばされ 榎本と大塚君が凄い速さで駆け抜けて行った






(今一瞬榎本が僕の方を見た様な・・・)






おばさんが榎本の名前を呼んで ジャンプをして喜んでいた


榎本の方が1歩先にゴールテープを切っていた


榎本はそのまま走ってチームメンバーのもとへ


チームのみんなとハイタッチをしていた


みんなの笑顔が凄く眩しく僕には映った




「悠 終わったわね なんだか名残惜しいけど帰りましょうか」


「うん」


僕は榎本が退場門へ向かって歩いて行くのを確認した


お母さんはサッカー部のお母さん達に頭を下げていた


「今日は ご一緒できてとても楽しかったです ありがとうございました」


「いいのよ~ また話しましょうね」


「またね 今度はゆっくりしたいね」


お母さん達が僕とお母さんを取り囲んでいた


「悠君また遊びにいらっしゃい 正臣の勉強見てやってね」


「はい ありがとうございます」


「じゃ~またね」


お母さんはおばさんにそう言って歩き出した


僕とお母さんが校門へ向かうと 何人かの人達も帰り始めていた




「悠 お母さんまたお友達が増えちゃった」


お母さんは嬉しそうにそう言った


「悠の走る姿も見れたし 記念品まで貰ってサッカー部のお母さん達もお友達になって お母さん来て良かったわ それにとてもいい人ばかりでね 悠の話が出てね」





(えっ僕?)





「毎日勉強どのぐらいしてるの~とか あんなにいい子はどうしたら出来るの~とか とにかく話が止まらなくてね お母さんとても楽しかったわ」


「えっ僕何もしてないよ」


お母さんはとても嬉しそうに笑っていた


そんなお母さんを見ていた僕も嬉しくなっていた



(つづく)


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