悠と榎本

暁エネル

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運動会③

1500メートル走が終わり 係の生徒の支持で僕達は退場門へと向かった


「以上をもちまして午前の部を終了致します 午後の部は1時15分から始めさせていただきます 係の生徒は1時に本部に集合してください 生徒のみなさんは教室へ移動してください」


榊先生と村上先生も 僕達の後ろから退場門へと向かった


「今年も榎本にやられたよ~ 榊と楽しそうに走ってたのにいきなり アクセル全開とかそれはねぇ~だろう~」


「そもそも村上が 正臣と張り合おうとか無理なんだよ・・・」


僕達は退場門で先生の話を聞いていた


「相変わらず先生達 仲いいっすよね」


「やめてくれよ~正臣 村上とは腐れ縁だ」


「何言ってんだよ榊 それはこっちのセリフだろう・・・」


先生の言い合いに藤原君と吉田さんは楽しそうに笑っていた




「じゃ~な委員長と副ちゃん悠も楽しかったよありがとう 午後の部も参加するんだろう?」


榊先生の言葉に藤原君と吉田さんは揃って笑顔で返事をした


「はい」


「そっか」


榊先生と村上先生はそう言って本部に戻って行った




榎本は藤原君と吉田さんに視線を向けた


「委員長と副ちゃんは 昼どうするの?」


「私達は帰ってお昼ご飯する 食べたらまた来るよねぇ~慎也」


吉田さんは藤原君に視線を向けると藤原君はうなずいた


「高橋君はお昼ご飯どうするの」


「僕おにぎり持って来たよ」


「悠は俺と教室行くんだ」


榎本はそう言いながら腕を回し僕を引き寄せた


「そっか」


「じゃ~また後でね」


藤原君と吉田さんは僕と榎本に手を振って帰って行った





(吉田さん僕が榎本に引き寄せられた時 一瞬だったけど凄い顔してた 僕も榎本に引き寄せられてびっくりしたけど・・・)





「悠どうした?疲れたか?」


榎本は僕の顔を覗き込んだ


僕は榎本に首を振った




(言わなくちゃ)





「榎本ごめんね僕のセイで・・・」





(えっ何で悠が謝るの それに僕のセイって何が?)





「えっ何の話わかんねぇ~んだけど・・・」






僕はちゃんと榎本に謝ろうと思って顔を上げた


「僕が走るの遅かったから・・・」





(何だよ悠はそんな事で・・・ それでさっき変な顔してたのか・・・)





「なんも悠は悪くない それに3位までは得点が付く 誰も悠のセイだとは思ってねぇ~し 俺は一生懸命走ったそれはみんなが見てた 俺は悠と走れてスゲー満足だ」





(榎本の笑顔や言葉に涙が出そうだ)





「それよりも早く行こう 俺腹減った」


生徒が教室へと移動していた


「正臣おせ~ぞ」


僕と榎本が歩いてると 大塚君の大きな声が聞こえた


「ヤベ~忘れてた 悠急げ」


榎本は急に走り出していきなり止まった


「悠ちょっと待った」


僕は榎本に止められた


榎本は振り返り僕の肩に手を乗せ 僕に視線を合わせた


「悠 隆にあまり近づくな うるせぇ~事になるからなるべく膝曲げてろ まぁ~母ちゃん達が居るから大丈夫だとは思うけど一応な」





(あっそうか~ 大塚君と3年生になってからまともに会ってない・・・)





僕は榎本にうなずいた





「やっと来た早く早く」


榎本のお母さんが手招きをしていた


サッカー部の人達が お母さん達の前に集まってスマホを向けていた


そこへ僕と榎本が加わった


「正臣おせ~よ 探しに行くところだっただろう」


「ワリー」


お母さん達に写真を撮られながら 榎本はみんなに謝っていた


大塚君と僕は離れていたし 僕は榎本の前に中腰になっていた


写真を撮り終えるとみんながバラバラになった


「母ちゃん 悠と写真撮って」


榎本は僕の肩に腕を回しておばさんの前へ


そこへお母さんがおばさんの隣へ


「榎本君 私も次お願いしてもいいかしら」


お母さんが榎本と僕にスマホを向けていた


「ありがとう榎本君」


写真を撮り終え僕はお母さんから おにぎりを受け取り榎本と教室へと向かった


「悠の母ちゃん やっぱキレイだよなぁ~」





(悠にスゲー似てる・・・)






「お母さん運動会見るの始めだし サッカー部のお母さん達とどこかへ食べに行くのも 凄く楽しみにしてたよ」


「そっか うちの母ちゃん連中はめっちゃうるせぇ~けどなぁ~」


榎本は嬉しそうに笑った



榎本の教室に着くと 机の上にお弁当を広げたり 教室の後ろで座って食べてる人達も居て みんなの視線が僕に向けられた





(どうしよう みんなが見てる・・・)






「あっ榎本 高橋君」


須藤さんが食べかけのお弁当を持って 僕と榎本の所へと来てくれた


「久しぶりだね高橋君」


「うん久しぶり」


「あれ~なんか高橋君背伸びた?」


「須藤あっちに居なくていいのかよ~」


榎本が須藤さんが来た方へ視線を向けた


「あぁ~いいのいいのところでさぁ~ 私 高橋君が1500メートル走に出るとは思わなかったよ~」






(須藤うるせぇ~よ せっかく悠とゆっくり話せると思ったのに)






「うん 委員長と副ちゃんと一緒だったから」


僕はそう言いながら榎本と座り 須藤さんもお昼ご飯を置いた


「そっか でもみんなびっくりしてたよ特進クラスが走るって・・・ 榎本が榊先生と走ってた時なんてみんな爆笑してたし 私は高橋君が走っててめっちゃ応援したよ」


「ありがとう須藤さん」





(悠が嬉しそうだけど・・・ ぜんぜん悠と話できねぇ~じゃん)





「高橋君は午後も出るのって言うか 高橋君お昼ご飯それだけ?」


「あっうん 午後の競技は綱引きぐらいしか出られないから」


「そっか でもそれにしても少なくない?」


須藤さんが榎本に視線を向けた


「須藤 もう食べ終わってんなら向こう行けよ~」


「え~いいじゃん 高橋君と話するの久しぶりなんだから」


僕は榎本と須藤さんを見ながらおにぎりを口に運んだ


教室に居る生徒はお弁当を食べ終わり みんなはグランドへ 


「悠 母ちゃんの唐揚げ」


そう言って榎本は僕に口を開けろと お箸で唐揚げを僕の口元へ


僕は口を開け唐揚げを食べた





(おばさんの唐揚げはやっぱり美味しい)






「榎本ありがとう」


「玉子焼きもいる?」


僕は榎本に首を振った





(須藤さんが居るのに 榎本は自然とこういう事が出来る 僕が逆の立場だったら絶対に出来ない)






「午後の部開始時間5分前です 生徒のみなさんはグランドへ集合して下さい」


放送が流れ 須藤さんが友達と一緒にグランドへ


僕と榎本もお弁当を片付け グランドへと急いだ






(結局俺 須藤に邪魔されて悠とぜんぜん話してねぇ~)







僕はグランドへ下り お母さんを探していた


「悠 母ちゃん達目立つから・・・ この様子だとまだ戻って来てねぇ~なぁ~」


榎本も僕と同じ様に キョロキョロとグランドを見渡してくれていた


「うんそうみたいだね」





そこへ榊先生が通りかかった


「榊先生1人っすか・・・」


「おう悠と正臣・・・」


先生は立ち止まってくれた


「あれ榊先生村上先生は?」


「アイツは仕事あるんだ 正臣 俺そんなにアイツと一緒に居るかぁ~?」


僕と榎本はうなずいた


「参ったなぁ~」


榊先生は頭をかいていた


「村上とは大学からの付き合いだからなぁ~ アイツとは長いんだけど うるせぇ~よなぁ~アイツ昔からそうなんだ まぁ~そのおかげで助けられてる部分もあるんだけどなぁ~」


榊先生は少し照れた様子だった


「悠と正臣もいいコンビだと先生は思う気が合うんだろうなぁ~ そういう友達は大事にしろ宝だからな」


「はい」


僕は榊先生に元気良く返事をした





(先生に言われなくても 俺はいつでも悠を大事に思ってるし宝だ だから誰にも譲る気はねぇ~)





「あっ悠 母ちゃん達来たみたいだぞ」


榎本が言った通り 榎本のお母さんと大塚君のお母さんを先頭に僕達の前へ


「榊先生いつも正臣がお世話になっております」


おばさんは頭を下げた


「あぁ~いいえ・・・」


榊先生はお母さん達に囲まれて気まずそうにしていた


「あっ先生 用事思い出したから行くな」


先生はお母さん達に頭を下げた行ってしまった


僕はお母さんに荷物を渡した




榎本が誰かに手を振っている





(誰だろう?)





「お~い」


藤原君と吉田さんが僕達の所へ





(藤原君と吉田さんだったのかぁ~)





「榎本と高橋君に会えて良かったよ」


「あら~美男美女ねぇ~」


藤原君と吉田さんはお母さん達の言葉にびっくりしていた


「委員長副ちゃん 俺の母ちゃんと悠の母ちゃんとサッカー部の母ちゃん達だ」


藤原君と吉田さんはお母さん達に頭を下げた


「まぁ~ホント美男美女だ」


「さっき悠君と走ってたわよね」


お母さん達に取り囲まれていた




「委員長と副ちゃんも綱引き出るんだろう・・・」


榎本の言葉に副ちゃんが


「私も出てもいいのかなぁ~ 3年生だけど男子じゃ~ないしどうなのかなぁ~」


榎本のお母さんが声をあげた


「こんなかわいいお嬢さんを 男の子と一緒に綱引きしてケガでもしたら大変よ~ 母ちゃん達と一緒に綱引きやりましょう」


吉田さんは榎本のお母さんの言葉に驚いていた


「うんその方がいいね ひとみ そうさせてもらいなよ」


藤原君は吉田さんの顔を見てそう言った


「じゃ~決まりね ひとみちゃんは母ちゃん達に任せて 正臣は悠君とイケメンの彼を ケガさせない様にちゃんと見てなさいよ」


「母ちゃんそれは任せろ」


その時放送が流れた


「午後の部最初の競技は 3年生男子と保護者と先生方による綱引きです 3年生男子は入場門へ保護者と先生方は退場門へお願いします」


「じゃ~ね正臣」


「あぁ~」


お母さん達は吉田さんと一緒に退場門へ


僕は振り返り お母さん達を見た




(僕の見間違いじゃなければ・・・ 僕のお母さんと吉田さんが並んでいた様な・・・)





「悠行こう」


「うん」


僕と藤原君は榎本のクラスへ入れてもらう事になった


「悠緊張してる?」


榎本がそう言って僕の顔を覗き込んだ


僕は榎本に首を振った





(優しいこの榎本の顔をずっと見ていたいなぁ~)





(悠の隣に上手く来れて良かった~)





放送が流れ僕達は入場した






(1500メートル走の時は凄くドキドキしたのに 榎本が隣に居るからなのかなぁ~今は落ち着いている)






「榎本」


「ううん」


「綱引きの練習とかしたの?」


「いいや~ぶっつけ本番だよ だから並ぶ順番とかも適当だし 得点関係ねぇ~からなぁ~」


縄を挟んで榎本と並んだ





(なんだろう急にドキドキしてきた 榎本が隣に居るから?こんなに近くに榎本が・・・)






「悠 俺の間に手を入れて」






(えっどういう事?)





榎本と一緒に縄を持つと 榎本の腕が僕の腕と交差した


音が鳴り綱引きが始まった


僕の肩と榎本の肩がぶつかり 僕と榎本は互いに目を合わせてしまった





(榎本が近すぎる)





(ヤベ~悠がかわいい)





ゆっくりと後ろへと下がりパンパンと音が鳴り 僕と榎本は離れた


「悠 大丈夫?」


僕はうなずいた





(榎本に気を取れてて ぜんぜん綱引きに集中出来なかった まだドキドキしてる)





「今度は悠が俺の前」


「うん」


僕は少し榎本の前に出た





(どうしよう・・・ 榎本と触れたところが熱い)






始まりの音が鳴り僕は縄を持ち パンという音で綱を引っ張った





(何で?なんかさみしい・・・ 僕1人みたいだ 榎本は僕のすぐ後ろに居るのに・・・)





さっきとは違って引っ張っても どんどん引きずられていった





(なんだよこれ 悠が俺のすぐ前に居るのに凄く遠く感じる)





パンパンと音が鳴り


僕は自分の手を見ていた


「悠どうした?」


榎本が僕の顔を覗き込んだ


「あっ榎本」


「向こう多分人増やしたなぁ~」


「うん 凄く引っ張られたよね 僕手が赤くなっちゃった」


僕は榎本に手のひらを見せた


「悠 やっぱ俺悠が隣がいい」


「うん僕も・・・」




音が鳴り3回戦が始まった


僕と榎本はまたさっきの様に 腕を交差させ綱を引き始めた


するとどこからか 大塚君の大きな声が聞こえた


「せ~の」


大塚君の大きな声に合わせて みんなも声を出した


僕と榎本は顔を見合わせ笑った


ゆっくりと縄が後ろへ 


パンパンと音が鳴り 綱引きは3年生の勝利で終わった




「凄かったね 大塚君どの辺に居たんだろ?」


「隆の声かなり後ろの方からだろう・・・」


「僕感動しちゃったよ みんなの声も凄かった」


「あぁ~そうだな」





(出来れば俺が悠を感動させたかったけどなぁ~)





保護者と先生方が退場門へ


保護者は記念品を受け取る為並んでいた


僕達3年生はゆっくりと退場門へ


「じゃ~俺一旦席戻るよ 悠は最後まで居るんだろう?」


「うん多分 お母さんに聞いてみるよ」


「じゃ~俺競技が終わったら 悠の所へ行くから待ってて」


「うん わかった」


僕はさっきお母さん達が居た所へと急いでいた



(つづく)


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