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運動会②
3年生の全員リレーが終わり榎本は退場門へ
僕はおばさんに言われ 榎本が来るのを待っていた
僕のお母さんもサッカー部のお母さん達と一緒に リレーの話で盛り上がっていた
「ゆ~う」
榎本が手を振りみんなをよけながら 僕の名前を呼んでた
(ヤベ~悠の母ちゃん居るの忘れてた・・・)
榎本がちょっと変な顔をしながら僕の所へ
榎本が僕の所へ来ると サッカー部のお母さん達は僕の周りに集まった
「正臣 もう少しで抜けたのにねぇ~」
「正臣 次も出るの?」
「正臣 またデカくなったんじゃない」
「今日も正臣 期待しているからね」
お母さん達は榎本にいろんな言葉をかけていた
(まいったなぁ~ これじゃ~悠と話も出来ねぇ~)
「あぁ~俺 悠と行くから」
「悠 行こう」
俺は悠を早くここから連れ出したかった
「あら 高橋君も出るの」
「頑張ってね」
お母さん達は僕にも声をかけてくてた
「はい いってきます」
「それじゃ~ お母さん行って来るね」
「悠 頑張ってね」
榎本はお母さん達の真ん中を通り 僕も榎本の後をついて行った
(さっきの榎本 ちょっとかわいかったなぁ~)
榎本は競技を見ている 保護者をすり抜けて行く
僕は榎本とはぐれない様について行った
(あぁ~悠と話してぇ~ リレーどうだったか聞きてぇ~ 悠ちゃんと俺の後ろついて来てるか? いっその事手繋ぐか? 誰も見てねぇ~だろう・・・)
榎本が振り返ると僕の手を掴んだ
僕は一瞬の出来事に驚いた
僕は榎本にグイグイと引っ張られていた
(恥ずかしいけど 嬉しい・・・)
「あっ副ちゃん」
「榎本君 高橋君見なかった?」
榎本が急に立ち止まり僕の手を離した
榎本の手が僕の背中にそっと添えられた
「悠ならここ」
藤原君と吉田さんが僕の目の前に現れた
(危なかった・・・ 副ちゃんに見られなくて良かった 副ちゃんに見られていたら今頃どんな顔されてたか・・・)
「良かった 榎本君と一緒で・・・」
吉田さんの笑顔が僕はちょっと怖かった
(吉田さんはもしかして 僕と榎本が手を繋いでいるの見えてたの?)
「行こう もうみんな集まってる」
藤原君の言葉で僕達は入場門へと向かった
「お~い こっちだ」
榊先生が僕達に大きく手を振っていた
そこには 榊先生村上先生1番若い体育の先生が居た
「みんな来たな 今日はありがとうな」
榊先生が僕達を見てそう言った
「いいえ~先生 俺達も嬉しいです」
藤原君の言葉に吉田さんは嬉しそうに笑っていた
「正臣 正臣は向こうだろう・・・」
榊先生が指をさした
「え~まだいいじゃんか~」
(次の次なんだから・・・ それに悠は来たばっかで 今日は悠の顔あんま見てねぇ~し)
榎本がそう言った時
「1500メートル走に出る人 こっちへ集まって下さい」
先生の呼ぶ声が聞こえた
「ほら~正臣 呼ばれてるぞ」
榊先生が榎本の顔を見上げた
榎本は呼ばれた方へと視線を向けた
「しょうがねぇ~行くか じゃ~あとでな悠」
「うん」
榎本は僕の肩に軽く触れ行ってしまった
(悠となんも話出来なかった・・・)
「それじゃ~走る順番決めるぞ」
村上先生がみんなの顔を見渡した
(そうだった まだ走る順番決まってなかったんだ)
僕はドキドキしながら村上先生の話を聞いていた
「第1走者はやっぱり生徒がいいよなぁ~」
村上先生は僕と委員長の顔を交互に見た
「どちらか走ってくれないか」
すると藤原君の手が小さくあがった
「じゃ~俺走ります」
「うんじゃ~ 第1走者は藤原な」
(良かった~藤原君が手をあげてくれて・・・ 僕が1番目とか無理だもん)
「次 先生」
村上先生は体育の先生へ顔を向けた
「じゃ~次は女子1人なんだけどいいかなぁ~ 吉田」
「はい」
吉田さんは 笑顔で返事をした
「じゃ~次榊・・・ 榊の次高橋いいか」
村上先生が僕の顔を見た
「はい」
(僕は榊先生の次・・・)
「高橋の次俺が走るから 最終ランナー藤原か吉田どちらか頼めるか」
村上先生が藤原君と吉田さんを見て言った
藤原君と吉田さんはお互いの顔を見合わせていた
「先生じゃ~俺が走ります」
藤原君が小さく手をあげてそう言った
「よ~し これで走る順番が決まったな おもいっきり走ってやろうぜ あっでも前にも言ったけどくれぐれもケガはしないでくれ 豊田先生に嫌われたくないからなぁ~」
榊先生が言い終わると 待ってましたとばかりに村上先生が言い放った
「榊 それはもう遅い 豊田先生とっくにお前の事嫌いだよ」
「そう言う村上もだろう・・・」
藤原君と吉田さんは声を出して笑い出し
体育の先生は榊先生と村上先生を止めに入っていた
僕もつられて少し笑ってしまった
(相変わらず榊先生と村上先生は仲がいいんだなぁ~)
その頃俺は 悠達の様子を見ていた
(悠達 何話てんだろう・・・ 楽しそうだなぁ~いいなぁ~あっち)
俺はみんなと一緒に 係の先生から注意事項を受けていた
「女子1000メートル走です」
放送が入り 女子の1000メートル走が始まった
(去年 吉田さんが走っていた1000メートル走 凄く速かったなぁ~ 次は僕達が走る番だ どうしようドキドキしてきた 榎本が一緒に走るって言ってたけど絶対に無理だよ僕・・・)
僕は肩にかけてあるハチマキに気がつき 頭に結んでいると吉田さんが声をかけてくれた
「高橋君やってあげる」
吉田さんの手が伸びてきた
「ありがとう 吉田さん」
僕は前髪を浮かせてオデコのハチマキを押さえた
「高橋君の髪の毛サラサラだね 出来たよ高橋君片方だけ長くしたの」
僕は頭に手を伸ばした
(本当だハチマキが長く伸びてる)
「あっひとみ それいいなぁ~俺にもして」
「うんいいよ」
藤原君が後ろを向いた
藤原君と吉田さんのハチマキを 結び合う様子を見ているだけで 僕は何だかとても幸せな気持ちになった
(本当にお似合いの2人だなぁ~)
女子の1000メートル走が終わり いよいよ僕達の出番になりました
「男子1500メートル走です 今年は特別進学クラスから 高橋君藤原君吉田さんさんが先生方と一緒に走ります 午後の部最後の競技ですみなさん応援しましょう」
放送が流れ まさか自分の名前が呼ばれるとは思わず
藤原君と吉田さんと僕は お互いに目を合わせて驚いてた
(あぁ~凄くドキドキしてるどうしよう・・・ とにかくみんなの迷惑にならない様にしなくっちゃ・・・)
僕は深呼吸をして並んでいた
入場門から榎本達 1500メートル走を走る生徒が入場して行った
僕達は先生の後ろから入場して その時係の人にバトンを渡された
「すいません これバトンですお願いします」
慌てた様子の係の人が 本部へ戻って行った
僕の手にはバトンが・・・
よくチアガールが持っている ポンポンが両端についていて 持つところは目立つ色のテープで グルグル巻きになっていた
僕はいきなり渡されたバトンに戸惑っていた
(何これ これがバトン?)
「高橋君 何それ凄いね」
僕の隣に居た藤原君がバトンを見てそう言った
「これがバトンみたい」
吉田さんも藤原君の隣から僕の方へ顔を向けた
「本当だ 何それおもしろい」
僕は入場しながら吉田さんにバトンを渡した
藤原君と吉田さんは楽しそうにバトンを見ていた
僕達はグランドの中央へ 係の人の準備が終わるのを待っていた
(どうしよう・・・ ぜんぜんドキドキが止まらない)
僕はそう思いながら榎本の姿を探していた
1500メートル走を走る生徒が順番にスタートラインに立った
藤原君は カラフルなバトンを持って最後尾に並ぶと 榎本も藤原君の隣へ
2人は楽しそうに 笑いながら話をしていた
僕は座りながら榎本に目を向け ドキドキしている自分を抑えるのに必死だった
(もし僕が第1走者だとしても 榎本とあんなふうに楽しそうにはきっと話せない)
(委員長が第1走者か~ 悠は何番目だ?)
俺は委員長の隣へ
「委員長」
「榎本・・・」
俺は委員長が持っているバトンが目に止まった
「何だ~それ 委員長それ罰ゲーム?」
「チゲ~よ 榎本バトンだバトン」
「それどう見ても罰ゲームだろう・・・」
委員長と俺はバトンを見て笑った
「ところでさぁ~ 悠何番目に走るの?」
「高橋君は 榊先生の次5番目だよ」
「そっか ありがとう」
スタートの音が鳴りゆっくりとみんなが走り始めた
(どうしよう・・・僕まだ心の準備が・・・)
榎本と藤原君は最後尾からゆっくりと外側を通り 集団の真ん中まで来ていた
体育の先生がバトンを受け取る為 スタートラインの外側で待って居ると 生徒達が次々と通過して行った
藤原君は体育の先生にバトンを渡した
榎本は藤原君と別れ先頭集団へ
(榎本 速い)
吉田さんが体育の先生を待っていた
吉田さんはバトンを受け取ると 外側から凄い速さでみんなを追い越し
先頭に居た榎本までも 吉田さんはあっさりと抜いてしまった
見ている人達の歓声が聞こえてきた
(吉田さん 凄い)
団子状態だった生徒達は 段々と崩れ1列になっていった
榊先生がインコースで吉田さんを待っていた
(ちょっと待って次僕じゃん)
榊先生は吉田さんからバトンを受け取ると 保護者と生徒に手を振りながら楽しそうに走っていた
(榊先生の次が悠だって言ってたなぁ~ てか榊先生何やってんだ)
俺は榊先生の背中を叩いて追い抜いた
「正臣待て~」
榊先生は俺を追いかけて来た
(よしいいぞ このまま榊先生とふざけながら悠の所まで行こう)
榎本と榊先生は競う様に僕のところへやって来た
(ちょっと待って僕どうしてらいいの?)
僕は榊先生からバトンを受け取った
「榎本・・・ 先に行って・・・」
僕は走りながら榎本にそう言った
「悠それはできないなぁ~ 俺は悠と走りたいんだ」
(悠とこのままずっと走っててもいいぐらいだ・・・ 悠の顔かわいい)
僕が榎本を見ると 榎本は優しい笑顔を見せていた
榎本は僕の隣で 僕に合わせて走っている
僕は一生懸命走っているのに 次々と生徒達に抜かされていった
(このままじゃ~ 僕のせいで榎本はビリになっちゃう)
村上先生が手をあげていたのが見えた
(もう少しでバトンを渡せる)
(あぁ~もう悠と走るのおしまいかぁ~)
僕が村上先生にバトンを渡したその瞬間 榎本は僕の背中に手を添え顔が近づいた
「悠ありがとう 良く頑張った」
榎本はそう言って凄い速さで駆け出して行った
「おいこら榎本待て~」
そう言いながら村上先生は榎本を追いかけて行った
僕は息を切らしながら膝に手をあてて 榎本を目で追っていた
(榎本は何で あんなに速く走れるの・・・)
僕はゆっくりと歩いて藤原君と吉田さん先生の所へ
「高橋君 お疲れ様」
吉田さんの声に僕はまだ苦しくて 手を上げる事しか出来なかった
ラスト1周のベルが鳴った
榎本は次々と生徒達を追いていた
藤原君は村上先生に手を上げ 榎本を凄い速さで追いかけた
(ヤベ~アンカー委員長かよ それにしても前のヤツにぜんぜん追いつけねぇ~)
榎本は凄い速さで前の人を追いかけるも 先頭は両手を上げてゴールテープを切っていた
榎本は2位でゴールし藤原君は4位でゴールした
榎本は大の字になり 僕はすぐに榎本の傍へ
榎本はとても苦しそうに息をしていた
「榎本・・・ 大丈夫?」
(悠にだらしないとこ見せらんねぇ~な)
俺は起き上がって悠を見た
(悠は何でそんな顔をしてるんだ? 俺を心配してるのかぁ~?)
「榎本はやっぱ速いなぁ~」
そう言いながら委員長と副ちゃんが俺の所へやって来た
「前のヤツ1年生かぁ~?何部だ?」
「さぁ~去年は居なかったから1年生だね 俺榎本に追いつくと思ってたんだけどなぁ~」
委員長がちょっと悔しそうに言った
「いや~ヤバかったよ~ 委員長がタスキかけてたからマジ焦った」
榎本は苦しそうにそう言った
「え~榎本君 ぜんぜん余裕がある様に見えたけど・・・ ねぇ~高橋君」
吉田さんは僕を見て言ってくれたけど 僕は何も答えられなかった
(どうしよう 僕のセイで榎本は・・・)
その時 生徒や保護者から拍手が聞こえ 周回遅れの生徒が頑張って走っていた
パンパンと音が鳴り最後の生徒がゴールした
(つづく)
僕はおばさんに言われ 榎本が来るのを待っていた
僕のお母さんもサッカー部のお母さん達と一緒に リレーの話で盛り上がっていた
「ゆ~う」
榎本が手を振りみんなをよけながら 僕の名前を呼んでた
(ヤベ~悠の母ちゃん居るの忘れてた・・・)
榎本がちょっと変な顔をしながら僕の所へ
榎本が僕の所へ来ると サッカー部のお母さん達は僕の周りに集まった
「正臣 もう少しで抜けたのにねぇ~」
「正臣 次も出るの?」
「正臣 またデカくなったんじゃない」
「今日も正臣 期待しているからね」
お母さん達は榎本にいろんな言葉をかけていた
(まいったなぁ~ これじゃ~悠と話も出来ねぇ~)
「あぁ~俺 悠と行くから」
「悠 行こう」
俺は悠を早くここから連れ出したかった
「あら 高橋君も出るの」
「頑張ってね」
お母さん達は僕にも声をかけてくてた
「はい いってきます」
「それじゃ~ お母さん行って来るね」
「悠 頑張ってね」
榎本はお母さん達の真ん中を通り 僕も榎本の後をついて行った
(さっきの榎本 ちょっとかわいかったなぁ~)
榎本は競技を見ている 保護者をすり抜けて行く
僕は榎本とはぐれない様について行った
(あぁ~悠と話してぇ~ リレーどうだったか聞きてぇ~ 悠ちゃんと俺の後ろついて来てるか? いっその事手繋ぐか? 誰も見てねぇ~だろう・・・)
榎本が振り返ると僕の手を掴んだ
僕は一瞬の出来事に驚いた
僕は榎本にグイグイと引っ張られていた
(恥ずかしいけど 嬉しい・・・)
「あっ副ちゃん」
「榎本君 高橋君見なかった?」
榎本が急に立ち止まり僕の手を離した
榎本の手が僕の背中にそっと添えられた
「悠ならここ」
藤原君と吉田さんが僕の目の前に現れた
(危なかった・・・ 副ちゃんに見られなくて良かった 副ちゃんに見られていたら今頃どんな顔されてたか・・・)
「良かった 榎本君と一緒で・・・」
吉田さんの笑顔が僕はちょっと怖かった
(吉田さんはもしかして 僕と榎本が手を繋いでいるの見えてたの?)
「行こう もうみんな集まってる」
藤原君の言葉で僕達は入場門へと向かった
「お~い こっちだ」
榊先生が僕達に大きく手を振っていた
そこには 榊先生村上先生1番若い体育の先生が居た
「みんな来たな 今日はありがとうな」
榊先生が僕達を見てそう言った
「いいえ~先生 俺達も嬉しいです」
藤原君の言葉に吉田さんは嬉しそうに笑っていた
「正臣 正臣は向こうだろう・・・」
榊先生が指をさした
「え~まだいいじゃんか~」
(次の次なんだから・・・ それに悠は来たばっかで 今日は悠の顔あんま見てねぇ~し)
榎本がそう言った時
「1500メートル走に出る人 こっちへ集まって下さい」
先生の呼ぶ声が聞こえた
「ほら~正臣 呼ばれてるぞ」
榊先生が榎本の顔を見上げた
榎本は呼ばれた方へと視線を向けた
「しょうがねぇ~行くか じゃ~あとでな悠」
「うん」
榎本は僕の肩に軽く触れ行ってしまった
(悠となんも話出来なかった・・・)
「それじゃ~走る順番決めるぞ」
村上先生がみんなの顔を見渡した
(そうだった まだ走る順番決まってなかったんだ)
僕はドキドキしながら村上先生の話を聞いていた
「第1走者はやっぱり生徒がいいよなぁ~」
村上先生は僕と委員長の顔を交互に見た
「どちらか走ってくれないか」
すると藤原君の手が小さくあがった
「じゃ~俺走ります」
「うんじゃ~ 第1走者は藤原な」
(良かった~藤原君が手をあげてくれて・・・ 僕が1番目とか無理だもん)
「次 先生」
村上先生は体育の先生へ顔を向けた
「じゃ~次は女子1人なんだけどいいかなぁ~ 吉田」
「はい」
吉田さんは 笑顔で返事をした
「じゃ~次榊・・・ 榊の次高橋いいか」
村上先生が僕の顔を見た
「はい」
(僕は榊先生の次・・・)
「高橋の次俺が走るから 最終ランナー藤原か吉田どちらか頼めるか」
村上先生が藤原君と吉田さんを見て言った
藤原君と吉田さんはお互いの顔を見合わせていた
「先生じゃ~俺が走ります」
藤原君が小さく手をあげてそう言った
「よ~し これで走る順番が決まったな おもいっきり走ってやろうぜ あっでも前にも言ったけどくれぐれもケガはしないでくれ 豊田先生に嫌われたくないからなぁ~」
榊先生が言い終わると 待ってましたとばかりに村上先生が言い放った
「榊 それはもう遅い 豊田先生とっくにお前の事嫌いだよ」
「そう言う村上もだろう・・・」
藤原君と吉田さんは声を出して笑い出し
体育の先生は榊先生と村上先生を止めに入っていた
僕もつられて少し笑ってしまった
(相変わらず榊先生と村上先生は仲がいいんだなぁ~)
その頃俺は 悠達の様子を見ていた
(悠達 何話てんだろう・・・ 楽しそうだなぁ~いいなぁ~あっち)
俺はみんなと一緒に 係の先生から注意事項を受けていた
「女子1000メートル走です」
放送が入り 女子の1000メートル走が始まった
(去年 吉田さんが走っていた1000メートル走 凄く速かったなぁ~ 次は僕達が走る番だ どうしようドキドキしてきた 榎本が一緒に走るって言ってたけど絶対に無理だよ僕・・・)
僕は肩にかけてあるハチマキに気がつき 頭に結んでいると吉田さんが声をかけてくれた
「高橋君やってあげる」
吉田さんの手が伸びてきた
「ありがとう 吉田さん」
僕は前髪を浮かせてオデコのハチマキを押さえた
「高橋君の髪の毛サラサラだね 出来たよ高橋君片方だけ長くしたの」
僕は頭に手を伸ばした
(本当だハチマキが長く伸びてる)
「あっひとみ それいいなぁ~俺にもして」
「うんいいよ」
藤原君が後ろを向いた
藤原君と吉田さんのハチマキを 結び合う様子を見ているだけで 僕は何だかとても幸せな気持ちになった
(本当にお似合いの2人だなぁ~)
女子の1000メートル走が終わり いよいよ僕達の出番になりました
「男子1500メートル走です 今年は特別進学クラスから 高橋君藤原君吉田さんさんが先生方と一緒に走ります 午後の部最後の競技ですみなさん応援しましょう」
放送が流れ まさか自分の名前が呼ばれるとは思わず
藤原君と吉田さんと僕は お互いに目を合わせて驚いてた
(あぁ~凄くドキドキしてるどうしよう・・・ とにかくみんなの迷惑にならない様にしなくっちゃ・・・)
僕は深呼吸をして並んでいた
入場門から榎本達 1500メートル走を走る生徒が入場して行った
僕達は先生の後ろから入場して その時係の人にバトンを渡された
「すいません これバトンですお願いします」
慌てた様子の係の人が 本部へ戻って行った
僕の手にはバトンが・・・
よくチアガールが持っている ポンポンが両端についていて 持つところは目立つ色のテープで グルグル巻きになっていた
僕はいきなり渡されたバトンに戸惑っていた
(何これ これがバトン?)
「高橋君 何それ凄いね」
僕の隣に居た藤原君がバトンを見てそう言った
「これがバトンみたい」
吉田さんも藤原君の隣から僕の方へ顔を向けた
「本当だ 何それおもしろい」
僕は入場しながら吉田さんにバトンを渡した
藤原君と吉田さんは楽しそうにバトンを見ていた
僕達はグランドの中央へ 係の人の準備が終わるのを待っていた
(どうしよう・・・ ぜんぜんドキドキが止まらない)
僕はそう思いながら榎本の姿を探していた
1500メートル走を走る生徒が順番にスタートラインに立った
藤原君は カラフルなバトンを持って最後尾に並ぶと 榎本も藤原君の隣へ
2人は楽しそうに 笑いながら話をしていた
僕は座りながら榎本に目を向け ドキドキしている自分を抑えるのに必死だった
(もし僕が第1走者だとしても 榎本とあんなふうに楽しそうにはきっと話せない)
(委員長が第1走者か~ 悠は何番目だ?)
俺は委員長の隣へ
「委員長」
「榎本・・・」
俺は委員長が持っているバトンが目に止まった
「何だ~それ 委員長それ罰ゲーム?」
「チゲ~よ 榎本バトンだバトン」
「それどう見ても罰ゲームだろう・・・」
委員長と俺はバトンを見て笑った
「ところでさぁ~ 悠何番目に走るの?」
「高橋君は 榊先生の次5番目だよ」
「そっか ありがとう」
スタートの音が鳴りゆっくりとみんなが走り始めた
(どうしよう・・・僕まだ心の準備が・・・)
榎本と藤原君は最後尾からゆっくりと外側を通り 集団の真ん中まで来ていた
体育の先生がバトンを受け取る為 スタートラインの外側で待って居ると 生徒達が次々と通過して行った
藤原君は体育の先生にバトンを渡した
榎本は藤原君と別れ先頭集団へ
(榎本 速い)
吉田さんが体育の先生を待っていた
吉田さんはバトンを受け取ると 外側から凄い速さでみんなを追い越し
先頭に居た榎本までも 吉田さんはあっさりと抜いてしまった
見ている人達の歓声が聞こえてきた
(吉田さん 凄い)
団子状態だった生徒達は 段々と崩れ1列になっていった
榊先生がインコースで吉田さんを待っていた
(ちょっと待って次僕じゃん)
榊先生は吉田さんからバトンを受け取ると 保護者と生徒に手を振りながら楽しそうに走っていた
(榊先生の次が悠だって言ってたなぁ~ てか榊先生何やってんだ)
俺は榊先生の背中を叩いて追い抜いた
「正臣待て~」
榊先生は俺を追いかけて来た
(よしいいぞ このまま榊先生とふざけながら悠の所まで行こう)
榎本と榊先生は競う様に僕のところへやって来た
(ちょっと待って僕どうしてらいいの?)
僕は榊先生からバトンを受け取った
「榎本・・・ 先に行って・・・」
僕は走りながら榎本にそう言った
「悠それはできないなぁ~ 俺は悠と走りたいんだ」
(悠とこのままずっと走っててもいいぐらいだ・・・ 悠の顔かわいい)
僕が榎本を見ると 榎本は優しい笑顔を見せていた
榎本は僕の隣で 僕に合わせて走っている
僕は一生懸命走っているのに 次々と生徒達に抜かされていった
(このままじゃ~ 僕のせいで榎本はビリになっちゃう)
村上先生が手をあげていたのが見えた
(もう少しでバトンを渡せる)
(あぁ~もう悠と走るのおしまいかぁ~)
僕が村上先生にバトンを渡したその瞬間 榎本は僕の背中に手を添え顔が近づいた
「悠ありがとう 良く頑張った」
榎本はそう言って凄い速さで駆け出して行った
「おいこら榎本待て~」
そう言いながら村上先生は榎本を追いかけて行った
僕は息を切らしながら膝に手をあてて 榎本を目で追っていた
(榎本は何で あんなに速く走れるの・・・)
僕はゆっくりと歩いて藤原君と吉田さん先生の所へ
「高橋君 お疲れ様」
吉田さんの声に僕はまだ苦しくて 手を上げる事しか出来なかった
ラスト1周のベルが鳴った
榎本は次々と生徒達を追いていた
藤原君は村上先生に手を上げ 榎本を凄い速さで追いかけた
(ヤベ~アンカー委員長かよ それにしても前のヤツにぜんぜん追いつけねぇ~)
榎本は凄い速さで前の人を追いかけるも 先頭は両手を上げてゴールテープを切っていた
榎本は2位でゴールし藤原君は4位でゴールした
榎本は大の字になり 僕はすぐに榎本の傍へ
榎本はとても苦しそうに息をしていた
「榎本・・・ 大丈夫?」
(悠にだらしないとこ見せらんねぇ~な)
俺は起き上がって悠を見た
(悠は何でそんな顔をしてるんだ? 俺を心配してるのかぁ~?)
「榎本はやっぱ速いなぁ~」
そう言いながら委員長と副ちゃんが俺の所へやって来た
「前のヤツ1年生かぁ~?何部だ?」
「さぁ~去年は居なかったから1年生だね 俺榎本に追いつくと思ってたんだけどなぁ~」
委員長がちょっと悔しそうに言った
「いや~ヤバかったよ~ 委員長がタスキかけてたからマジ焦った」
榎本は苦しそうにそう言った
「え~榎本君 ぜんぜん余裕がある様に見えたけど・・・ ねぇ~高橋君」
吉田さんは僕を見て言ってくれたけど 僕は何も答えられなかった
(どうしよう 僕のセイで榎本は・・・)
その時 生徒や保護者から拍手が聞こえ 周回遅れの生徒が頑張って走っていた
パンパンと音が鳴り最後の生徒がゴールした
(つづく)
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