悠と榎本

暁エネル

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運動会①

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僕とお母さんはご飯を食べ終わり 明日の運動会の話をしていた


するとお母さんのスマホが鳴った 


それは榎本のお母さんからの プログラムの写真が送られて来た音だった


「悠ちょっと見て 榎本君のお母さんから・・・」


僕はお母さんのスマホを覗き込んだ





(やっぱり1500メートル走は 午前部の1番最後だ)





「悠」


「ううん何? お母さん」


お母さんはスマホを自分の方へ向けた


「お母さんね この3年生の全員リレーが見たいんだけど・・・」


お母さんは指をさしながら また僕の方へスマホを向けた





(3年生の全員リレーは 1500メートル走の2つ前だ ちょうどいいかもしれない)






「うんいいよ でも何時頃に行けばいいんだろう?」


「そうね~榎本君のお母さんに連絡してみるわね」


お母さんはそう言ってスマホを操作し始めた





今日はいよいよ運動会 僕はいつもの様に起きた


「あっ悠 おはよう」


「お母さん おはよう」


お母さんは台所から振り返った


「悠 おにぎり2つだけでいいの?お弁当にしょうか?」


「うん大丈夫 1500メートル走だけみたいなものだから・・・」


「そう お母さん初めて見るから凄く楽しみ」


お母さんは嬉しそうにそう言って笑った




「ねぇ~お母さん」


「ううん何?」


「お母さんはお昼ご飯どうするの?」






(僕は榎本達と教室で食べるんだけど・・・)





「うんお母さんね 榎本君のお母さんに誘われてるの みなさんと一緒にどこかへ食べに行くみたい お母さんそういうのも初めてだからそれも楽しみ」





(そうなんだ お母さんは榎本のお母さん達と食べに行くんだ ちょっと安心した)







時間になり僕は体操着に着替えて お母さんと外へ出た


「いい天気ねぇ~ 運動会日和ね」


「うんそうだね」


凄くキレイな青空に僕は深呼吸をした





(運動会はもう始まっている みんなは榎本は頑張っているかなぁ~)





校門まで来ると受付に 3人の係の保護者の人が座っていた


その3人の係の人は 僕を見て驚いた様子だった




「あの~すいません 僕特別進学クラスの・・・」


「あぁ~聞いていますよ」


3人の係の人は笑顔になり 急に慌ただしくなった


「どこへ置いたっけ ハチマキ・・・」


「ちょっと待ってね」


「さっきここにあったけど あったあったここに」


「これがハチマキとプログラムです」


僕は白いハチマキとプログラムを受け取った


「頑張って来て下さいね」


「はい ありがとうございます」


3人の係の人は笑顔でそう言ってくれた


お母さんも頭を下げていた


「お母さん行こう」




グランドを囲む様にたくさんの人達が集まっていた


「凄い人ねぇ~声援も」


「うんそうだね」





(こんなに近くに居るのに お母さんの声が聞こえないくらいだ 競技中は凄いなぁ~)





「悠 ちょっと待って 榎本君のお母さんにどこに居るのか聞いてみるから」


「うん」


お母さんは榎本のお母さんに電話をかけた


「悠 体育館の方に居るみたい」


「うん わかった」


僕とお母さんは体育館の方へ




榎本のお母さんがこっちを向いて手を振っていた


サッカー部のお母さん達もこっちを一斉に向いた


「高橋君のお母さん?」


「はい いつも悠がお世話になっております」


お母さんはみんなに頭を下げた


「高橋君は お母さん似なのね」


「お母さんも凄くキレイで美人さんだ」


「高橋君は 頭が良くてうらやましい~」


いろんな人からそんな言葉が飛び交っていた




俺は悠がいつ来るのか 気が気ではなかった





(悠はもう来てんのかなぁ~? 来てたとしたら母ちゃんと一緒に居るはずだよなぁ~)





俺はそう思いながら 母ちゃん達が居る方を見ていた




(まだ来てねぇ~のかなぁ~)






「次は3年生による全員リレーです」


放送が入った


「あっいよいよみんな出て来るよ」


大塚君のお母さんがみんなにそう言った


お母さん方はさっきの様に一列に並んだ


僕とお母さんも榎本のお母さんの隣に並んで 3年生が入場門から入場して来るのを待っていた




「悠・・・ 悠も去年は走ったのよね」


「うん遅かったけどね」


「お母さん 榎本君しかわからないから 悠教えてくれる」


「うん わかったいいよ」




3年生がグランドの中央へ


俺は入場しながら 母ちゃん達の方を見ていた


母ちゃんが俺に手を振り 隣を指さしていた





(悠居た見つけたもう来てた やっぱ母ちゃん達と一緒に居た)





俺は母ちゃんに親指を立てた




「榎本君大きいわねぇ~」


「うん 学年でも1番背が高いんじゃないかなぁ~」





(今僕榎本と目が合った様な?)





いよいよ3年生の全員リレーが始まる


第1走者がそれぞれ出て来て スタートラインについた


「悠 女の子も一緒に走るの? ちょっと不利なんじゃない」


「そんな事ないんだよ 女子も速い人は居るし クラスの作戦もそれぞれあるんだよ」


「そうなの」


お母さんは3年生の方へと視線を向けた





(悠とさっき目が合ったよなぁ~ 俺がゴールテープ切るとこ悠に見せてぇ~)





(あっリーダーだ)





「お母さん 一番内側の青いハチマキの女子 速いから見てて」


「わかったわ」


「第1走者はレーンの中を走るんだ だけど第2走者めからは インコースの取り合いになるから」


その時パンと音が鳴り 第1走者は一斉にスタートした





(やっぱりリーダーは速い 去年も確かリーダーが第1走者だったような・・・)





コーナーでリーダーがみんなと並び 直線でリーダーがトップになった


「悠の言った通り あの女の子速かったわねぇ~」


僕はお母さんにうなずいた


「あっお母さん 今立ち上がった緑のハチマキの男子」


「うん」


「サッカー部で榎本のお母さんの隣に居る人が お母さんだよ」





(大塚君も走るの速いよね)





お母さんは視線をそのままにうなずいた


大塚君が手をあげて バトンを受け取った





(お母さん達の応援が凄い みんな自分の子供の様に応援してる)






大塚君は凄い速さで前の人を追っていた





(大塚君はやっぱり速い)





最後のコーナーで大塚君が前の人を抜くと


お母さん達は一気に盛り上がり 僕もお母さん達と一緒に喜んでいた


「悠 おもしろいわね 抜いたり抜かれたり」


「うん 見てる側はいいけど 僕は走るの遅いから凄く嫌だったよ」





(あっ小島君と中村君は一緒に走るんだ)





「お母さん 今立ち上がったあの2人もサッカー部の人だよ」


「あら~ 一緒に走るのねお母さんここに居るのよね~」


「うん多分」





(小島君と中村君のお母さんは どの人かはわからないけど サッカー部の最後の試合に 来ていたのかもしれない サッカー部のお母さん達はとにかく仲が良いい お弁当も一緒に食べたけど 自分の子供とか関係なく世話をしたり 怒ったりしていたからなぁ~)






先にバトンを受け取ったのは中村君 その後を追いかける小島君


2人の距離は離されることも 縮まることもなく バトンは次の人へと繋がれた


お母さん達が楽しそうに笑っていた





(あっ須藤さん 須藤さんの次榎本だ)






「いよいよ榎本君が走るわね アンカーなの?タスキかけてるわね」


お母さんは小さな声でそう言った




榎本が立ち上がった






(今榎本こっちを見た?僕の見間違い?)






(悠が俺を見てる カッコいいとこ見せやる)






須藤さんは3番目でバトンを受け取ると 凄い速さで前の人を追いかけ


直線で前の人を追い抜き 榎本にバトンが渡された


お母さん達の応援が凄すぎて 僕は榎本を応援する事も出来ず 目で追う事しか出来なかった


榎本はバトンを受け取ると コーナーを回り


直線で前の人に追いつき そのままコーナーを回り 最後の直線は凄い戦いになって


僕の目には同時にテープが切られた様に見えた





(どっちだろう・・・)






パンパンと音が鳴った


榎本は膝に手をあてて 顔を僕の方へ向けていた





(俺何位だ・・・ 悠ちゃんと見てた? もう少しで抜かせたのに・・・)






係の人や先生が集まっている


「悠 こんな事あるのね~ お母さんどっちが先にゴールしたのかわからなかったわ」


「うん僕も」





(榎本 凄く頑張ったね)





榎本は係の生徒に連れられて みんなの所へ並んだ


話がついたのか 先生が本部に駆け寄って行った


「ただいまの3年生全員リレーの結果を ご説明させていただきます 話し合いの結果同着とします」


クラスのみんな立ち上がり喜んでいた


係の支持でみんなが整列し 退場門へと向かって行った



お母さん達はリレーの話で盛り上がっていた




「1500メートル走の選手の方は 入場門へ集まって下さい」


放送が入った





(僕行かなくちゃ)





「じゃ~お母さん 僕行って来るね」


「悠 頑張ってね」


「あぁ~悠君ちょっと待って」


榎本のお母さんがそう言いながら 僕とお母さんの方を向いた


「悠君ここに居て 正臣が迎えに来るから さっき悠君の方見てたからすぐに来るでしょう 正臣に悠君引き留めといてって言われててね 正臣ね悠君と走るの楽しみにしてるのよ・・・」


おばさんは嬉しそうにそう言って笑った






(おばさんも 榎本が僕の方を見てたの気づいてたんだ)






僕は恥ずかしくなり退場門へと視線を向けていた



(つづく)


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