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伝えられない言葉
僕が学校へ行くと 3年生の教室は生徒がまばらで
受験を控えお休みをしている生徒や
受験日の生徒もいて ガランとした教室に 僕は少しさみしさを感じていた
(あと1ヶ月ちょっとでみんなとはお別れなんだよなぁ~ そう思うと3年間はあっという間だったなぁ~)
僕はそう思いながら家に帰った
俺は悠の教室を覗きに行こうか迷っていた
(あぁ~悠の試験日聞いときゃ~良かった でも俺が聞いても何の役にも立たねぇ~し 悠の情報何も俺は知らねぇ~ 聞いてもしょうがねぇ~って思ってた 悠なら大丈夫だって でももし悠がスゲー難関に挑んでいたら 俺が悠に何か出来る事があったんじゃねぇ~のか・・・)
俺はそう思いながら みんなと帰った
クラスのみんなの受験が終わり みんなが教室に戻って来た
静まり返っていた教室にも みんなの笑顔が見える様になっていた
「慎也 部活行くでしょう」
「あぁ~これからは毎日な 後輩に教えたい事もあるしなぁ~」
「高橋君 また明日ね」
「うん また明日」
藤原君と吉田さんは嬉しそうに話ながら 教室を出て行った
部活経験の無い僕には わからない世界
(多分 榎本も部活動に参加する・・・ 僕は榎本を待っているしかない)
榎本と電話でお互いの受験の話はしたものの
榎本と会えない日々が続けていた
(榎本はきっと藤原君や吉田さんと同じ様に部活で忙しいんだ 僕のわがままで榎本の貴重な時間の邪魔をしてはダメだ 榎本に会いたけど 嫌われるのはもっと嫌だ それに高校へ行けば榎本に毎日会えるんだ もう少しの辛抱だ)
(ヤベ~よヤベー受験が終わって俺部活ばっかしてる 悠の笑顔が見てねぇ~のに 1年生が教室まで俺を呼びに来るんだよなぁ~ 今年の1年は何であぁ~も負けず嫌いが多いんだ・・・ 休みの日は隆とサッカークラブだし でも俺悠に会ったら顔を見るだけじゃ~済まねぇ~かもしれねぇ~)
今日は合格発表の日 朝から雪がチラつき
僕は榎本の時間と重ならない様に
家でゆっくりと時間を過ごしていた
(もうそろそろいいかなぁ~)
午前9時から西高校の合格発表が行われていた
僕はお昼近くまで家で過ごしていた
コートを着てマフラーを巻きマスクをして
僕が家を出る頃には 白い雪が積もっていた
(誰も歩いてない白い景色・・・ キレイだなぁ~ 榎本と一緒に見たかったなぁ~)
僕は駅へと向かった 駅のカガミをチラリと見た
(これで誰に会っても僕だとは思わないよね)
ホームも電車に乗っても人はまばらで いつもの風景とは違っていた
(さすがに榎本はもう居ないよね)
僕はそう思いながら電車を下りた
電車を下りても人通りがなく 踏み付けられた雪に滑らない様に 僕は慎重に歩いていた
高校へ着くと校舎の中へ入る様に 案内が書かれてあった
僕はそのまま進み 体育館へと入った
制服を着た女の子とお母さんが体育館に居た
(良かった知らない人だ・・・)
体育館の壁に受験番号がズラリと貼り出されていた
僕は受験票を取り出し確認をした
(良かった 僕の番号があった)
(榎本は何番だったんだろう)
僕は事務所へ行き封筒を貰いそのまま藤山中へ
雪はさらに降り積もり グランドは真っ白でとてもキレイだった
「失礼します」
僕はそう言いながら職員室へ
職員室は暖房がきいていてとても暖かかった
僕はマフラーを取りマスクをはずした
3年生の先生方は 机で作業をし他のクラスの先生方は居なかった
僕は豊田先生の所へ
「豊田先生」
「あっ高橋君ご苦労様です」
僕はカバンから高校の封筒を取り出した
「先生 僕西高校合格しました」
「そうですか おめでとうございます」
先生は面談の時のノートを取り出し 僕の名前に合格と書いた
「それでは高橋君 気を付けて帰って下さい」
「はい 豊田先生ありがとうございました」
僕は豊田先生に頭を下げた
僕が職員室を出ると声をかけられた
「悠」
榊先生が僕の名前を呼んで 手招きをしていた
僕は榊先生の所へ
「悠 遅かったなぁ~心配したよ 西高は?」
「はい 合格しました」
「そうか~ おめでとう 悠なら何の問題もないと思っていたけどなぁ~」
榊先生はそう思いながら笑っていた
「ありがとうございます」
僕は榊先生に頭を下げた
「榊先生榎本は 榎本は西高校合格ですか?」
僕は榎本の事が気になって 思わず口から出てしまった
「悠 正臣も西高合格してたよ ありがとうなぁ~正臣にいろいろアドバイスしてくれたみたいで・・・」
僕は首を振った
(良かった・・・ 榎本も合格してた)
「悠の方が大変だったんじゃないのか? 担任の先生が豊田先生で・・・」
榊先生は小さな声でそう言った
僕はまた榊先生に首を振ると 先生笑っていた
「本当にお前ら仲いいなぁ~ 高校へ行っても正臣の事よろしく頼むなぁ~」
「はい」
僕は榊先生に元気よく答えた
「それでは榊先生失礼します」
「悠 気を付けて帰れよ 雪結構積もってきたからな」
僕は榊先生に頭を下げた
僕はまたマフラーを巻きマスクをして家へ帰った
(良かった・・・ 本当に良かった これで榎本と一緒に高校生活をおくれる)
僕は降りしきる雪の中 嬉しさのあまりマスクの中でにやけてしまった
お母さんが合格祝いをしてくれた
「悠 高校合格おめでとう」
「お母さん ありがとう」
「悠ももう高校生かぁ~ あっという間に大きくなって」
お母さんは嬉しそうにそう言った
僕は久しぶりのケーキが嬉しくて どこから食べようか ケーキとにらめっこをしていた
電話が鳴りお母さんが出た
「悠 榎本君」
(えっ榎本)
僕はフォークを置いて お母さんから受話器を受け取った
「もしもし榎本」
「悠久しぶり元気か?」
「うん」
(本当に久しぶりに榎本の声を聞く)
「今日合格発表だったんだ 悠のおかげで俺 西高受かってたよ ホント悠のおかげだ」
「榎本 僕は何もしてないよ」
榎本の明るい声に僕まで嬉しくなった
「でも悠ごめん 俺部活ばっかやってて 悠にお礼まったく出来てねぇ~」
榎本の声が暗くなっていた
「榎本 お礼なんていいよ 僕は何もしてないし 榎本が頑張った結果だよ」
「違うんだよ悠 悠の言ってくれた言葉が 俺に魔法をかけたみたいに めっちゃ落ち着いて試験が受けられたんだ ホント不思議なくらい集中できた」
(本当に悠のおかげなのに 俺は自分の事ばっかで 俺の身体が2つ欲しいよ そしたら悠といろんな事が出来るのになぁ~)
(榎本に僕が何か言わなくちゃ もっと榎本と話たい でも電話で榎本に一緒の高校だとは言いたくないし どうせ言うなら榎本の目を見てちゃんと言いたい)
「悠もう少し待ってて 俺悠と会って話したい」
「うん 僕も・・・」
「じゃ~な悠 風邪ひくなよ」
「うんありがとう榎本 じゃ~ね」
僕は受話器を置いた
「悠 榎本君にはまだ高校の事話せてないんでしょう」
「うん」
お母さんはそう言いながら 僕に紅茶を入れてくれた
「榎本にちゃんと会って話たいんだ」
「そう・・・ お母さんは榎本君と一緒に 合格祝いが出来ると思っていたんだけど・・・」
「お母さんごめん・・・」
「いいのよ 悠が榎本君に言えるまで 榎本君のお母さんも言わない約束してるから でも早く言えるといいわね」
僕はケーキを食べながらうなずいた
(本当に 榎本にはいつ言えるんだろう・・・)
(つづく)
受験を控えお休みをしている生徒や
受験日の生徒もいて ガランとした教室に 僕は少しさみしさを感じていた
(あと1ヶ月ちょっとでみんなとはお別れなんだよなぁ~ そう思うと3年間はあっという間だったなぁ~)
僕はそう思いながら家に帰った
俺は悠の教室を覗きに行こうか迷っていた
(あぁ~悠の試験日聞いときゃ~良かった でも俺が聞いても何の役にも立たねぇ~し 悠の情報何も俺は知らねぇ~ 聞いてもしょうがねぇ~って思ってた 悠なら大丈夫だって でももし悠がスゲー難関に挑んでいたら 俺が悠に何か出来る事があったんじゃねぇ~のか・・・)
俺はそう思いながら みんなと帰った
クラスのみんなの受験が終わり みんなが教室に戻って来た
静まり返っていた教室にも みんなの笑顔が見える様になっていた
「慎也 部活行くでしょう」
「あぁ~これからは毎日な 後輩に教えたい事もあるしなぁ~」
「高橋君 また明日ね」
「うん また明日」
藤原君と吉田さんは嬉しそうに話ながら 教室を出て行った
部活経験の無い僕には わからない世界
(多分 榎本も部活動に参加する・・・ 僕は榎本を待っているしかない)
榎本と電話でお互いの受験の話はしたものの
榎本と会えない日々が続けていた
(榎本はきっと藤原君や吉田さんと同じ様に部活で忙しいんだ 僕のわがままで榎本の貴重な時間の邪魔をしてはダメだ 榎本に会いたけど 嫌われるのはもっと嫌だ それに高校へ行けば榎本に毎日会えるんだ もう少しの辛抱だ)
(ヤベ~よヤベー受験が終わって俺部活ばっかしてる 悠の笑顔が見てねぇ~のに 1年生が教室まで俺を呼びに来るんだよなぁ~ 今年の1年は何であぁ~も負けず嫌いが多いんだ・・・ 休みの日は隆とサッカークラブだし でも俺悠に会ったら顔を見るだけじゃ~済まねぇ~かもしれねぇ~)
今日は合格発表の日 朝から雪がチラつき
僕は榎本の時間と重ならない様に
家でゆっくりと時間を過ごしていた
(もうそろそろいいかなぁ~)
午前9時から西高校の合格発表が行われていた
僕はお昼近くまで家で過ごしていた
コートを着てマフラーを巻きマスクをして
僕が家を出る頃には 白い雪が積もっていた
(誰も歩いてない白い景色・・・ キレイだなぁ~ 榎本と一緒に見たかったなぁ~)
僕は駅へと向かった 駅のカガミをチラリと見た
(これで誰に会っても僕だとは思わないよね)
ホームも電車に乗っても人はまばらで いつもの風景とは違っていた
(さすがに榎本はもう居ないよね)
僕はそう思いながら電車を下りた
電車を下りても人通りがなく 踏み付けられた雪に滑らない様に 僕は慎重に歩いていた
高校へ着くと校舎の中へ入る様に 案内が書かれてあった
僕はそのまま進み 体育館へと入った
制服を着た女の子とお母さんが体育館に居た
(良かった知らない人だ・・・)
体育館の壁に受験番号がズラリと貼り出されていた
僕は受験票を取り出し確認をした
(良かった 僕の番号があった)
(榎本は何番だったんだろう)
僕は事務所へ行き封筒を貰いそのまま藤山中へ
雪はさらに降り積もり グランドは真っ白でとてもキレイだった
「失礼します」
僕はそう言いながら職員室へ
職員室は暖房がきいていてとても暖かかった
僕はマフラーを取りマスクをはずした
3年生の先生方は 机で作業をし他のクラスの先生方は居なかった
僕は豊田先生の所へ
「豊田先生」
「あっ高橋君ご苦労様です」
僕はカバンから高校の封筒を取り出した
「先生 僕西高校合格しました」
「そうですか おめでとうございます」
先生は面談の時のノートを取り出し 僕の名前に合格と書いた
「それでは高橋君 気を付けて帰って下さい」
「はい 豊田先生ありがとうございました」
僕は豊田先生に頭を下げた
僕が職員室を出ると声をかけられた
「悠」
榊先生が僕の名前を呼んで 手招きをしていた
僕は榊先生の所へ
「悠 遅かったなぁ~心配したよ 西高は?」
「はい 合格しました」
「そうか~ おめでとう 悠なら何の問題もないと思っていたけどなぁ~」
榊先生はそう思いながら笑っていた
「ありがとうございます」
僕は榊先生に頭を下げた
「榊先生榎本は 榎本は西高校合格ですか?」
僕は榎本の事が気になって 思わず口から出てしまった
「悠 正臣も西高合格してたよ ありがとうなぁ~正臣にいろいろアドバイスしてくれたみたいで・・・」
僕は首を振った
(良かった・・・ 榎本も合格してた)
「悠の方が大変だったんじゃないのか? 担任の先生が豊田先生で・・・」
榊先生は小さな声でそう言った
僕はまた榊先生に首を振ると 先生笑っていた
「本当にお前ら仲いいなぁ~ 高校へ行っても正臣の事よろしく頼むなぁ~」
「はい」
僕は榊先生に元気よく答えた
「それでは榊先生失礼します」
「悠 気を付けて帰れよ 雪結構積もってきたからな」
僕は榊先生に頭を下げた
僕はまたマフラーを巻きマスクをして家へ帰った
(良かった・・・ 本当に良かった これで榎本と一緒に高校生活をおくれる)
僕は降りしきる雪の中 嬉しさのあまりマスクの中でにやけてしまった
お母さんが合格祝いをしてくれた
「悠 高校合格おめでとう」
「お母さん ありがとう」
「悠ももう高校生かぁ~ あっという間に大きくなって」
お母さんは嬉しそうにそう言った
僕は久しぶりのケーキが嬉しくて どこから食べようか ケーキとにらめっこをしていた
電話が鳴りお母さんが出た
「悠 榎本君」
(えっ榎本)
僕はフォークを置いて お母さんから受話器を受け取った
「もしもし榎本」
「悠久しぶり元気か?」
「うん」
(本当に久しぶりに榎本の声を聞く)
「今日合格発表だったんだ 悠のおかげで俺 西高受かってたよ ホント悠のおかげだ」
「榎本 僕は何もしてないよ」
榎本の明るい声に僕まで嬉しくなった
「でも悠ごめん 俺部活ばっかやってて 悠にお礼まったく出来てねぇ~」
榎本の声が暗くなっていた
「榎本 お礼なんていいよ 僕は何もしてないし 榎本が頑張った結果だよ」
「違うんだよ悠 悠の言ってくれた言葉が 俺に魔法をかけたみたいに めっちゃ落ち着いて試験が受けられたんだ ホント不思議なくらい集中できた」
(本当に悠のおかげなのに 俺は自分の事ばっかで 俺の身体が2つ欲しいよ そしたら悠といろんな事が出来るのになぁ~)
(榎本に僕が何か言わなくちゃ もっと榎本と話たい でも電話で榎本に一緒の高校だとは言いたくないし どうせ言うなら榎本の目を見てちゃんと言いたい)
「悠もう少し待ってて 俺悠と会って話したい」
「うん 僕も・・・」
「じゃ~な悠 風邪ひくなよ」
「うんありがとう榎本 じゃ~ね」
僕は受話器を置いた
「悠 榎本君にはまだ高校の事話せてないんでしょう」
「うん」
お母さんはそう言いながら 僕に紅茶を入れてくれた
「榎本にちゃんと会って話たいんだ」
「そう・・・ お母さんは榎本君と一緒に 合格祝いが出来ると思っていたんだけど・・・」
「お母さんごめん・・・」
「いいのよ 悠が榎本君に言えるまで 榎本君のお母さんも言わない約束してるから でも早く言えるといいわね」
僕はケーキを食べながらうなずいた
(本当に 榎本にはいつ言えるんだろう・・・)
(つづく)
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