悠と榎本

暁エネル

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不動産

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「母ちゃん早く」


俺は珍しく早く目覚め 母ちゃんと駅へと急いでいた


「まだ 待ち合わせ時間じゃないでしょう 母ちゃんはゆっくり行くから」


俺は母ちゃんを待ちきれず駅へと向かった





僕はサボテンの前を通って駅へ





(きっとマスターと幸子さん向こう側で僕に気づいてる だけどこっちからだとぜんぜんわからない)





僕の方からいくら見ても中の様子はわからなかった


僕が駅の方を見ると 榎本が大きく手を振っていた


「榎本おはよう あれおばさんは・・・」


どこを見てもおばさんの姿は居なかった


「母ちゃんもうすぐ来るよ」





(ヤベー超~嬉しい ホントに今日悠と一緒に住む所決めるんだ・・・ 夜はドキドキしてあんま寝れなかった 朝も早く起きたし早く悠とゆっくりしてぇ~)





俺が見ると母ちゃんの姿があった


「悠 母ちゃん来た」


榎本が指をさした方からおばさんが歩いて来た


「悠君 おはよう」


「おはようございます 今日はよろしくお願いします」


僕は頭を下げた


「不動産この辺たくさんあるから 気に入った物件がなかったら 次々行くからね」


「はい」


僕は元気に返事をした





少し歩いて不動産へ自動ドアが開いた


僕達が入ると女の人が立ち上がった


「いらっしゃいませ」


そう言って僕達の方へ


「お部屋を探しているんですが・・・」


「どうぞ お座り下さい」


僕と榎本は座り おばさんは僕達の間に立っていた


「どの様なお部屋をお探しですか」


「この子達が住む部屋を探しているんです」


「それでは それぞれお部屋が2ヶ所あった方がいいですね 少しお待ち下さい」


僕と榎本は座っているだけで どんどんと話が進んでいった


店員さんは何枚かの物件のコピーを僕達に見せてくれた


「この近くですとこの物件ですね あとは少し離れてしまいますが・・・」


榎本はスマホで場所の確認をし 僕とおばさんはコピーしてくれた物件を見ていた







(うわ~スゲー遠い これじゃ~電車に乗るのも大変だ 出来れば長く住みたいし・・・ 悠の家と俺の家があんまり離れていない所)






「どう?」


おばさんは榎本のスマホを覗き込んだ


「ここは近いけどちょっと狭いかも・・・ あとはめっちゃ遠い」


「そうね~母ちゃんもそう思うわ 悠君は?」


「僕も同じです」


「それじゃ~次行こう」


おばさんはそう言って コピーしてくれた用紙を持った


「すいません 検討してみます」


「またのお越しをお待ちしております」


店員さんは立ち上がり頭を下げ 僕達は不動産を出た





「さぁ~次々行こう」


おばさんを先頭に歩いた 


2軒目の不動産へ引戸をガラガラと開けた


「すいません」


「いらっしゃいませ」


奥から出て来たのはおじいさん


「はいはい いらっしゃいませ どんなお部屋を探しですか」


おじいさんは座りメガネをかけた


僕達は3人並んで座った


「この子達2人が住む部屋を探してるんですが・・・」


「シェアハウスでいいのかなぁ~ 部屋が2つあるタイプのね・・・」


「はい お願いします」


おじいさんはファイルを広げた


「え~と ここなんかどうかなぁ~ そんなにここから離れてないし ついこの間引っ越しを終えて ハウスクリーニングが終わった所なんだけど・・・ 行って見て来るかい ここで間取りを見てもわからないだろう ちょっと待ってな」


おじいさんはメガネを置いて奥へ





「ここいいかもしれないわね」


「あぁ~そんなに離れてねえ~しなぁ~ 悠は?」


「そうだね 見てみたい」





「すいませんお待たせしました」


そう言って奥から出て来たのは 若いスーツ姿男の人


「今車持って来ます 少しお待ち下さい」


そう言ってガラガラと引戸を開け出て行った




おじいさんが奥から出て来た


「今車来ますからね ゆっくり見て来るといいよ」




またガラガラと引戸が開いた


「お待たせしました どうぞお乗り下さい」


おばさんは前に乗り 僕と榎本は後ろへと乗り込んだ


榎本は前を向いたまま 僕の手を重ねて来た


僕は榎本の顔をチラリと見た




(嫌だ榎本何してるの・・・)




僕はドキドキしながら車に乗っていた





「これから行く物件は2人で住むにはちょうどいい物件だと思います 2年前に立て替えたばかりなので」


そう言って僕達に説明をしてくれた


「さぁ~着きました」


車はすぐに止まり 榎本の手が僕から離れ僕達は車から降りた





(もう榎本は何を考えているんだ・・・)




僕は榎本の後ろを歩いた




「ここの3階になります」


そう言って僕達はあとをついて行った




建物は5階建てで僕達はエレベーターへ 一番奥の部屋へと案内された


スリッパが用意され僕達は中へ


「さぁ~どうぞ 気になる所は遠慮なく聞いて下さい」


そう言って次々と部屋のドアや窓を開けていった





角部屋で部屋へ入った瞬間とても明るさを感じた


玄関を入るとトイレがあって その隣は洗面所とお風呂場


前のドアを開けると物が置けるスペースになっていた


奥へと進むと台所があり かなり広いスペースになっていて


2つの並んだドアを開けると それぞれの部屋が現れベランダで繋がっていた



「シェアハウスなのですが こちらとこちらの部屋の大きさが違いまして もめる原因にもなりましてやめてしまうお客様もいらっしゃいます」


そう言われ僕は部屋を行ったり来たりしていた





(狭い方でも今の僕の部屋よりも広い 駅は少し遠くなったけど そんなに家と離れていない榎本の家とも・・・)





(ここってめっちゃ良くねぇ~家からも近い 悠の家と俺の家とここ三角形だ)





「悠 ここどう?」


「僕は問題ないよ 収納もあって使いやすくていいみたい 榎本のベッド入る?」


「母ちゃん 俺のベッドここに入るかなぁ~」


「これだけのスペースがあれば十分入るでしょう」


「悠じゃ~ここでいい」


「うん」


僕は榎本に返事をした




「すいません ここでお願いします」


おばさんが代わりに言ってくれた


「ありがとうございます では戻りまして手続きをお願いします」


そう言って窓を閉め 僕達は車へと乗り込んだ


榎本に手を握られない様に 僕は足の間に手を挟んだ





「良かったわね いい所があって」


「ホントスゲーラッキーだったなぁ~」


榎本はそう言って僕を見た 僕は榎本にうなずいた





(もう嫌だ榎本 僕ばかりドキドキしてる・・・)





(あぁ~スゲー幸せだ・・・ これでいつまで悠に居る所へ帰れる悠が待ってる場所へ)





ガラガラと引戸を開けるとおじいさんが座っていた


「お帰りなさい どうでしたか」


榎本を真ん中におじいさんの前へ座った


「とてもいいお部屋でした」


「そうですか 気に入っていただけましたか」


「はい」


「それは良かったですね」


おじいさんがそう言うと さっきのスーツ姿の男性がおじいさんと代わり 手続きをしてくれた


「悠 俺の口座から落ちる様にするから」


「待って榎本」


「悠ワリー そうさせてくれ・・・」


「うんわかった」


榎本は印鑑を押していた


「水道 電気 ガス等は電話をしていただければ 明日から使えます 何か困った事がありましたら 来ていただいてもいいですし 電話でも構いませんので連絡して下さい」


書類をまとめ大きな封筒にひとまとめに入れてくれた


「では こちらが鍵になります オートロックの操作は大丈夫ですか」


「はい」


榎本が返事をした


スーツ姿の男性が立ち上がった


「本日はお越しいただき ありがとうございました」


そう言って深々と頭を下げた


僕達も立ち上がり頭を下げた


「これからお世話になります よろしくお願いいたします」


おばさんの言葉に僕達はまた頭を下げた



榎本がガラガラと引戸を開け不動産を出た





「本当に良かったわねぇ~ いい所が見つかって・・・」


「母ちゃんすぐに引っ越し屋に電話して・・・」


「あぁ~それなんだけど 知り合いにもう頼んであるから 多分今頃エントランスに榎本様って段ボールが来てると思うわ」


「スゲー母ちゃん いつの間に・・・」


「正臣は是が非でも今日中に部屋を探すと思ってね」


「でも 明日から全部使える様になるとはねぇ~」


「悠はどうする 俺帰って荷造りしなくちゃなんだけど・・・ 手伝ってくれたり・・・」


「いいよ バイトも休みだし 明日にならないと水が出ないから掃除も出来ないしねぇ~」


「じゃ~母ちゃんはこのまま買い物してから帰るから 段ボールよろしくね」


「わかった」


「あっおばさん 今日はありがとうございました」


僕は頭を下げた


「いいのよ 正臣の引っ越しが終わったら悠君ママ呼んで引っ越し祝いしようね」


「はい」


僕は元気良く返事をして おばさんは手を振ってくれた






「悠ありがとう 俺のわがまま聞いてくれて・・・」


「そんな事ないよ 僕はまだ引っ越し出来ないし 榎本はすぐに向こうへ行くから だからまだ実感はないんだけど 榎本これからもよろしくお願いします」


僕は榎本に頭を下げた





(何でここで・・・ そういうのは2人きりの時にしてくれよ ここじゃ~抱きしめられねぇ~よ)




俺はそう思いながら悠を見ていた



(つづく)


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