悠と榎本

暁エネル

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イギリスへ

目覚まし時計の音が鳴り 僕は榎本の腕で目を覚ました




(あれ僕・・・ そうか昨日榎本と・・・)





「悠 おはよう サボテンって何時から」


「榎本おはよう 6時半から」


「じゃ~ちょうどいいな」


榎本はそう言って僕にキスをした


榎本の舌が僕の舌を絡めて 僕は榎本を抱きしめた




「悠 急いで洋服着てくれ 飛行機乗り遅れちまう」


「うん」


僕が起き上がると 身体中の所々が赤くなっていた


僕は恥ずかしくなり 榎本を見ない様に洋服を着た





(昨日の事あまり覚えていない 榎本がいつもより凄かったのは確かだ)





「悠 夜コンビニ行って来た 冷蔵庫がねぇ~からお茶しかねぇ~けど」


「ありがとう お腹すいてないから大丈夫」


そう言って榎本からペットボトルを受け取った




「榎本 またラインするね」


「あぁ~俺も・・・」


僕は榎本に近づいた


「悠 酒はやっぱ俺と一緒に居る時な」


「えっ昨日僕何かした?変だった・・・」


「何もしてねぇ~し変じゃなかったけど 約束してくれ俺と一緒に居る時に」


「わかったよ お酒は飲まないよ」




(僕何か榎本にしたのかなぁ~)





(あんな積極的な悠もスゲーいいけど トロンとした悠の顔を誰にも見られたくねぇ~)





「ここを出る前に悠から俺 キスしてほしい」


「えっ僕」


「早く」


僕は榎本のくちびるを軽く重ねた


すると榎本は僕を抱きしめ 僕の舌を絡ませた


榎本の舌が僕の舌をこれでもかと絡ませてきた


僕は力が抜けそうになり 榎本はゆっくりと僕から離れた


僕は息を切らしながら 榎本の話を聞いていた


「悠 なるべく早く帰る 悠が俺の事を忘れない様に」


「僕が忘れる訳ないでしょう でも僕も早く帰って来てほしい」


僕がそう言い終えると 榎本はまたくちびるを重ねた





(忘れない榎本の優しいキスも・・・ 榎本のニオイも忘れない)





「榎本 忘れ物ない大丈夫」


「あぁ~ すぐに取りに帰って来られる距離じゃねぇ~からなぁ~」


「そうだね 遠いね」


「次 俺が帰って来る時はみんな揃ってるんだな」


「うん 僕がちゃんと配置を考えて置いておくよ あっでも榎本にラインするからね」


「あぁ~待ってる そうだ悠ガスコンロは立会いだから」


「うん 大丈夫」


僕と榎本は目を合わせ 自然と抱き合いキスしてた





(これが榎本の最後のキス・・・)





(悠がスゲー絡めてくる・・・ あぁ~悠と好きなだけ一緒に居て 好きなだけ悠の事を抱けたら・・・ そう出来る様に俺は頑張るしかねぇ~)




「悠 行こう」


榎本のくちびるが離れ 僕は名残惜しい気持ちを抑え 榎本にうなずいた


僕と榎本は新居を出た




「悠 もう道覚えた?」


「うん大丈夫だよ 榎本ってこの辺詳しいの?」


「もう少し向こうに行くと河川敷でサッカークラブがある 悠と花火見に来た時ここ通ったよ」


「えっそうなの ぜんぜんわからなかった」


「暗かったしなぁ~ でも悠の浴衣姿良かったなぁ~」


「嫌だ榎本恥ずかしいよ」


僕は下を向いた



「あっそうだ榎本 サボテンへ行く前に家に寄ってもいい」


「あぁ~いいよ」


「僕 榎本見送ったらそのまま大学へ行くから・・・」





(洋服も着替えたいし・・・)





「榎本 すぐ戻って来るから・・・」


僕はそう言ってマンションのエレベーターに乗り込んだ




俺は悠のマンションの下で悠を待った





(悠のマンションに来るのも これが最後だなぁ~)





俺はそう思いながら 悠のマンションをながめていた





僕は静かに玄関のドアを開けた


するとお母さんが部屋から顔を出した


「悠 お帰り」


「お母さんただいま 榎本これからイギリスへ向かうんだ 僕空港まで行って来る そのまま大学行くからお母さんはまだ寝てていいよ」


「早いのね 榎本君は今どこに居るの」


「下で待ってもらってる」


「そうじゃ~榎本君によろしく言って」


「うんわかった」


僕は洋服を着替え大学の支度をして家を出た





「榎本お待たせ」


僕はそう言って 榎本の後ろ姿に声をかけた


榎本は振り返りこう言った



「こう見ると悠が大学生なんだなぁ~って思うよ」


「えっ僕何か変?」





(大学へいつも着ている洋服だけど)





「いや スゲーいいよ 悠らしい・・・」





(あぁ~悠と大学へ一緒に行くのもありだなぁ~)





僕と榎本はサボテンへと向かった



ドアを開けるとカランカランと鳴り マスターと幸子さんの笑顔があった


「あら榎本君 悠君も・・・」


マスターと幸子さんは忙しそうに動いていた


「すいません 忙しい時間に俺これからイギリスへ戻ります」


「気を付けてね」


「マスターと幸子さんお休みありがとうございました」


「悠君 あとでたっぷり聞かせてよ」


「はい」


「マスターと幸子さん これからも悠の事よろしくお願いします」


俺はマスターと幸子さんに頭を下げた


「榎本君また帰って来るんでしょう その時はゆっくり話を聞かせてよ」


「はい それじゃ~行って来ます」


「また元気な顔見せてね」


俺はまた頭を下げたサボテンを出た




「なぁ~悠 悠も朝サボテン入った事あるんだよなぁ~」


「うん 夏休みにね」


「あんなに忙しいの?」


「あっうん モーニングを食べて会社に行く人が多いからね」


「俺スゲ~怖かったんだけど」


「常連客ばかりだから お客さんはわかってるんだよ だから僕が初めて朝入った時も お客さんの方からいろいろ言ってきてくれて助かったよ」


「悠はスゲーな」


「そんな事ないよ それより榎本飛行機の時間大丈夫」


「あぁ~大丈夫だ」
  

榎本はそう言って改札口を通った




しばらく榎本との沈黙が続いた





(どうしよう・・・ どんどん空港へ近づく 榎本が遠くへ行っちゃう)






(母ちゃんちゃんと来てくれっかなぁ~ こんな悠置いてイギリスなんかに行けねぇ~よ)






「悠 何かあったらラインして 何もなくてもしてほしいけどなぁ~」


「うんわかった」


「悠 出来るだけおばさんの所に居ていいからなぁ~ あぁ~でももし引っ越しするなら母ちゃんに言ってみな 引っ越し業者に知り合いが居るからムリも聞いてくれるよ」


「うんわかった」


榎本が話かけてくれるのに 僕は榎本に同じ言葉を言う事しか出来なかった


空港に近づくにつれ 僕の目から涙が溢れてきた


僕は下を向きハンカチで目を押さえていた


榎本が僕の手を引っ張り もう片方の手にはキャリーケースと 電車を降り乗り換えた






(僕は榎本のお荷物になる事しか出来ない・・・)





僕はそう思いながら榎本に手を引っ張られていた





空港に着き榎本は搭乗手続きを終わらせ 僕の所へとやって来た


「悠 ちょっと時間がある 悠は大学大丈夫」


榎本は下を向いている僕を覗き込んだ


榎本と目が合い 僕は榎本と目を合わせたまま上を向いた


「良かった・・・ 悠がず~っと下を向いたままだったら どうしようかって思ってた」


榎本の笑顔にまた僕の目から涙が溢れていた


「榎本ごめん」


「あっもう悠下を向くのなし」


榎本にそう言われ僕は 下を向きかけて止まった




「悠 笑って」





(そう言われても笑えるものじゃない)





「悠 離れていても一緒だろう・・・」


僕は榎本にうなづいた




「あぁ~居た 探しちゃったわよ」


僕の後ろからおばさんの声が聞こえた


「母ちゃんおせ~よ 来ないのかと思って心配しただろう」


「あら 母ちゃんの心配?」


「そんな訳ねぇ~だろう・・・」





(誰が母ちゃんの心配なんかすんだよ)





おばさんは榎本と並んで僕を見た


「母ちゃん何やってんだよ」


榎本の大きな声と 僕はおばさんに抱きしめられていた





(ふざけんなよ 離れろ)





「正臣が悠君泣かせたんでしょう 悔しかったらさっさと悠君の所へ帰って来なさいよ」


そう言っておばさんは僕から離れた





(びっくりした・・・ いきなりおばさんに抱きしめられた)




「悠 帰って来たら覚えておけよ」





(えっ何で榎本が怒ってるの?)





「ほらとっとと行きな 悠君は母ちゃんに任せて・・・」


「あぁ~行って来る」


榎本が僕に視線を合わせた


「悠さっきも言ったけどラインする なるべく早く帰る だからあの部屋で俺を待っててくれ」


僕の目にまた涙が溢れ一気に流れ落ち 榎本の大きな手が僕の頭に乗っていた


「母ちゃん悠を頼む」


「しょうがないわね本当に・・・」


「悠 行って来る」


榎本はそう言って行ってしまった


僕は榎本に何の言葉も言えず ただ榎本の事を見ている事しか出来なかった





「行っちゃったわね 悠君は本当に正臣に事が好きなのねぇ~」



僕はおばさんにそう言われても 恥ずかしさは少しもなく


僕は涙をふき おばさんと一緒に歩き出した



(つづく)

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