俺の知らなかった世界

暁エネル

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成人の日

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俺は家庭教師のバイトを終えて寮へと戻って来た



(明日 龍の所へ行ければ良かったんだけどなぁ~ サークルに顔を出さねぇ~とならねぇ~ 龍の所へ行くのはあさってになっちゃうんだよなぁ~ 実家へ戻ってからだと龍と会う時間が少なくなる だったら先に龍と会うのもありだよなぁ~ 成人の日も龍と2人きりになるのは難しいだろうし・・・)



俺はそう思いながら眠りについた





俺は部屋でくつろいでいた


「若 スーツをお持ちいたしやした」


「あぁ~入れ・・・」


「失礼いたしやす」


そう言って世話係が俺の部屋とやって来た


「若 成人の日の当日 あっしが車を出しやす・・・」


「そうか そしたら真彦を迎えに一緒に乗せてやってくれ・・・」


「へい かしこまりやした」


そう言って世話係は部屋を出た行った





俺は成人の日の前の日


日曜日に龍と会う約束をして


今スーツを持って電車に乗っていた



(もう少し早く出る予定だったのになぁ~ 先輩に捕まるし入学式に着たスーツを忘れそうになるし もうバタバタだよ これから龍と会うって言うのにカッコ悪いよなぁ~俺・・・)



俺は駅で龍と待ち合わせをしていた


久しぶりに駅へと着いた


俺は実家に戻る前に龍と会いたかった


駅に龍の姿があって俺は思わず抱きしめたくなっていた



(あぁ~龍に触りてぇ~けど絶対に怒られるヤツ・・・)



俺は龍に嫌われると思い


その場は我慢した


「真彦・・・」


「龍・・・ ごめん待たせた」


「いやそんなに待ってねぇ~よ」


「どっか入ろう」


「そこでいいんじゃないか?」


龍が指さしたのは


俺が以前バイトをしていたファーストフード店だった


「じゃ~そこ・・・」



(ホントは龍とゆっくりベッドで話をしたいところなんだけどなぁ~)



俺と龍はファーストフード店へ


注文をし席に座った


「真彦 明日世話係が車を出す だから真彦は家で待ってろ迎えに行く」


「えっいいの?」


「俺が頼んだ訳じゃねぇ~ 世話係がそうしたいんだろう・・・」


龍はそう言って飲み物を飲んだ


「ねぇ~今龍の家はどんな感じなの?」



(この前は聞けなかった 俺にそんな余裕はなかった 今日だって本当は龍を抱きしめたい でも今回は時間がねぇ~龍とのんびりする時間が・・・)



「俺の家は・・・ 確実にオヤジの取り巻きは少なくなった 正月もオヤジの部屋に入りきらなかったのが 今はスゲー少なく 確実にオヤジの力は弱まってる だが相変わらず相沢のオヤジとは仲がいい・・・」



「龍 龍は何か手伝ってるの?」


「あぁ~少しずつなぁ~」



(ここでは言いずらいのか・・・)



「忍は中学生だ」


「忍と俺ぜんぜん会ってねぇ~なぁ~ 会いたいなぁ~」


「忍は俺と渚とは違って表に出さねぇ~からなぁ~ 学校でイジメとかはねぇ~みてぇ~なんだけどなぁ~ いまいち何が好きで何に興味があるのかわからねぇ~ 自分の話もしねぇ~しなぁ~ 勉強は出来るみたいで良く勉強机に座ってる」


「反抗期的なもんかなぁ~」


「反抗している態度じゃ~ねぇ~んだ・・・ 何かあったら言えって言ってあるんだけどなぁ~ 大丈夫って帰って来るんだ 大丈夫って言われたら何も言えねぇ~だろう・・・」


「へ~ 龍はちゃんとお兄ちゃんしてるんだ・・・」


「からかうな・・・」


「からかってねぇ~よ 龍がうらやましいだけ・・・」


「そうかよ」


久しぶりに龍のそんな顔を俺は見た


俺はふと龍に手が伸びそうになりそれを引っ込めた


「真彦 疲れてんだろう そろそろ出るぞ・・・」


龍はそう言って立ち上がった


「龍・・・ じゃ~俺明日待ってる」


「あぁ~迎えに行く」


そう言って俺と龍は別れた





俺は久しぶりに実家に戻って来た


「真彦の好物作ったからいっぱい食べてよ・・・」


母さんは嬉しそうにそう言った


「大学生活はどうなんだ・・・」


「うん楽しいよ 教授とも仲良くなったし友達も出来た 受けたい講義が重なって困った時に先輩に聞いたり 先輩に教科書貰ったりした・・・」


「話を聞いてるだけで楽しそうね」


「あっ明日龍が迎えに来るんだ 世話係さんが車で来てくれるって・・・」


「そうなの?」


「うん 世話係さんと会うのも俺久しぶりだから楽しみなんだ・・・」


「藤堂君は元気なのかしら・・・」


「龍は元気だよ ここ来る前に龍と会ってた」


「そうだったの・・・」


俺は久しぶりに実家へと帰って来て


ゆっくりと風呂に入ってベッドに横になった



(明日は成人の日でみんなが集まる・・・ それは嬉しいんだけどなぁ~ 二次会とかにも行くんだよなぁ~ 龍とは抜け出せねぇ~よなぁ~)



俺は少し残念な気持ちになりながら目を閉じていた





俺は目を覚ましダイニングテーブルへ


「おはよう・・・」


渚が俺の後ろからやって来た


「成人式行くんだ・・・」


「普通に行くだろう・・・」


そう言いながら俺と渚は座った


「おはようございやす若 お嬢」


「忍は?」


「まだおみえではありやせん あとでみて参りやす お先に召し上がって下さいやし・・・」


俺と渚の前に朝ご飯が用意された


俺と渚が食べていると


ゆっくりと忍が姿を見せた


「忍さん おはようございやす 今はご用意いたしやす・・・」


世話係は忙しそうに動いていた


「兄さん 成人おめでとう・・・」


「あぁ~ 真彦が忍に会いたがっていたぞ・・・」


「真さんは元気?」


「あぁ~元気で大学生してる」



(忍はいつも通りだ もう少し子供らしくてもいいぐらいなんだが・・・ 忍は静か過ぎる・・・)



俺はスーツに着換え世話係が来るのを待っていた





俺は龍が来るのを待っていた



(今日は龍にキスさえ出来ねぇ~よなぁ~ あぁ~龍が隣に居るのに龍に触れないって もはや拷問に近いものがあるよなぁ~)



俺は勉強机の椅子に座り


そんな事を思っていた


やがて龍が俺を迎えに来た


龍は紺色のスーツにコートを羽織って俺の前に現れた


「真彦 行こう」


「あっ うん」


俺と龍は車に乗り込んだ


「お久しぶりです」


俺は世話係さんにそう言った


「真彦さんも立派になられて・・・」


「今日はすみません よろしくお願いします」


「いえ あっしがお送りしたかっただけなんで・・・」


俺は少し明るい青色のスーツを着ていた



(龍がどんな色のスーツを着て来るのか楽しみだったけど 龍は肌が白いからその色はスゲー似合う 俺だけが見たかった他のヤツに見せたくねぇ~よ・・・ 龍を好きになるヤツが出てこねぇ~ともかぎらねぇ~)



俺は龍の傍を離れないとそう思った


「龍が選んだのか? そのスーツ?」


「色は俺が選んだ じゃねぇ~ととんでもねぇ~色のスーツを着る事になるからなぁ~」


会場に着くと振り袖姿に目をひいた


「若 真彦さん いってらっしゃいやし・・・」


「ありがとうございました」


俺と龍は車を降りた


「やっぱり振り袖に目が行くなぁ~」


「そうだなぁ~ 着物はいいよなぁ~」


「龍も袴を着れば良かったのになぁ~」


「バカ言え・・・」


そう言いながら会場へ


式典が始まり 見た事もない人達の話が続いた


やっと俺達は解放され移動した


中学校で部屋が別れ俺と龍も部屋へと入った


俺の友達が俺を呼び手を振っていた


「真彦 行かなくていいのか?」


「いいよ あとでで・・・」



(龍を1人にする方がキケンなんだよ・・・)



俺と龍はテーブルにあったお菓子をつまんでいた



(今日はいくらなんでも何もしてこねぇ~よなぁ~真彦は・・・)



「真彦 俺トイレに行って来る」


「じゃ~俺も・・・」


「真彦は友達の所へ行って来い すぐに戻る」


「そう・・・」


俺は真彦を置いてトイレへ



(今日は真彦と2人になるのはキケンだと 俺自信が警告してるんだよ・・・)



俺はそう思いながらトイレから出ると


見覚えのある顔と鉢合わせになった


「藤堂君だよねぇ~ 久しぶり元気・・・」


「振り袖姿だと一瞬わからねぇ~なぁ~」


「振り袖マジックって言うらしいよ 藤堂君もスーツ似合うね」


「そうか・・・」





俺は友達と話ながら龍が出て行った方を見ていた



(龍遅くねぇ~か? もう何分経ってる?)



俺は不安になり部屋を出た


出るとすぐに龍を見つけた


龍は振り袖姿の女と話をしていた



(おいおいこれだよ・・・ 龍から目を離すとすぐこれだよ・・・)



俺はすぐに龍の隣へ


「じゃ~ね藤堂君」


そう言って女は龍から離れた


「龍 誰?」


「3年生の時に同じクラスだったヤツ 俺も初めはわからなかった・・・」


「何話してたの?」


「たいした話はしてねぇ~よ」


「龍 二次会あるんだってどうする? 俺は電車の時間があるから最後まで居られねぇ~けど・・・」


「そしたら俺も真彦と一緒に帰る」


「良かった もうそろそろ移動するらしい 場所がわからねぇ~からみんなと一緒に行かねぇ~と・・・」


「わかった行こう」


俺と龍はみんなの流れに紛れて進んだ



(龍が二次会に行くとは思わなかったなぁ~)



俺はそう思いながら二次会の会場へ


俺は龍の隣をキープした


二次会はみんなで飲み食いするだけの


ただの集まり会となっていた


途中友達に声をかけられたけれど


俺は龍の隣を離れなかった


俺と同じく途中で帰る人が居て


俺と龍もみんなに見送られた


「龍 楽しめたか?」


「真彦はもっと友達としゃべりたかったんじゃねぇ~の?」


「俺は龍と2人きりになりたかったけど 今日は絶対にムリなのわかってたし それなら龍のなるべく近くにって思ってた・・・ 龍とまたいつ会えるかわからねぇ~」


「いいよ真彦待ってから・・・ 電車に乗る時間だろう・・・」


「実家で着替えてから帰るよ」


「そうか・・・」


「龍・・・」


「ううん?」


「俺 頑張るから待ってて・・・」


「あぁ~待ってる・・・」


龍にそう言われ俺は振り向く事なく龍と別れた



(真彦にしてはあっさりと帰ったなぁ~ 俺は真彦に何かされる事を期待してたのか?)



俺はそう思いながら真彦の後ろ姿を見ていた



(あぁ~龍がすぐ近くに居たのに龍に触れないとか フラストレーション溜まりまくりだろう俺・・・ 次会ったら龍をめちゃくちゃにしそうだ・・・)



俺は荷物を持って電車に乗った


(つづく)


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