俺の知らなかった世界

暁エネル

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お父さんの話

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次の日


俺は教室で龍が登校して来るのを待っていた


本当は学校の門の前で待っていたかったんだけど 


俺にそんな勇気はなかった



(あぁ~ドキドキする 龍は何て言うのかなぁ~? 世話係さんが俺の味方になってくれてるから大丈夫だよね・・・ その前に忍の事も龍から聞きたいなぁ~ 俺も早く忍に会いたいし・・・)



俺はそう思いながら龍が来るのを待っていた


すると教室に来たのは龍の妹の渚だった



(えっ どういう事?)



渚は教室を見渡して俺を見つけていた


「あっ 真彦居た・・・」


そう言って渚はずかずかと教室に入って来て俺の机の前へ


「真彦・・・ 今日龍は学校休むから・・・」


「えっ どうして?」


「朝 お父さんに呼び出されたから 多分家の話・・・」


「それって学校を休まないと出来ない事なの?」


「渚にはわからないけど うちってさぁ~よそとはちょっと違うから・・・ 龍が真彦に言っといてって・・・」


「そう」



(龍は今日学校を休むんだ・・・)



「あっ 忘れるところだった 今日家で待ってるって龍が・・・ 何か龍とあったの?」


「えっ?」



(きっとあの話だ・・・)



「えっ別に何もないよ あっ忍は? 忍とは会えたの?」


「忍 かわいかったよ えっでもどうして知ってるの?」


その時チャイムが鳴って みんなが動き出した


「渚」


「ううん?」


「忍の話・・・」


「あとで 休み時間また来るよ・・・」


そう言って渚は教室を出て行った



(今日龍は学校休みなのかぁ~ 今日はつまらないなぁ~ でも何かホッとしている様な・・・ 渚が休み時間来てくれるって言うし忍の事聞こう・・・)






朝 俺と渚が世話係が用意してくれた朝ご飯を食べていた


俺の世話係が慌てた様子で俺の前へ


「若・・・」


「どうした?」


「カシラがお呼びです」


「朝だぞ 何考えてんだ 俺これから学校・・・」


「はい そうなのですが・・・」


俺はため息をついた



(参ったなぁ~ よりによってこのタイミング・・・)



「わかった 行くよ・・・」


俺は仕方なくそう言った


「若・・・ 学校にはあっしが連絡しておきやすから・・・」


「あぁ~頼む・・・ 渚」


「ううん?」


「真彦に伝言頼む」


「何?」


「家で待ってると伝えてくれ・・・」


「わかったけど 何かあったの? 明日じゃダメなの?」


俺は世話係の顔を見た


「お嬢 そろそろ・・・」


「うん じゃ~渚は支度して学校行くね」


「あぁ~頼んだぞ」


俺はゆっくりと朝ご飯を食べていた


「若 昨日の話なんですが・・・」


「あぁ~ わかってる 真彦が来たらちゃんと話を聞く・・・」


「あっしもお供していいですか?」


「あぁ~頼む・・・ お前が居てくれた方が俺も冷静になれる・・・」


「若・・・」


「とりあえず お父さんの所だなぁ~」


「はい」


「多分 忍の話だろう・・・」


「だと思いやす」


「昨日の事だし お父さんも早く話をしたいんだろう・・・」






俺はお父さんの部屋の前へとゆっくりと座った


「お父さん 龍です」


「入りなさい」


「はい」


俺はフスマを少し開け フスマに手をかけゆっくりとフスマを開けた


俺は立ち上がり部屋へと入って座り また同じ様にゆっくりとフスマを閉めた


お父さんは部屋の奥に座っていた


俺はお父さんの前へと座った


「昨日 病院へ行ったそうだな」


「はい 渚と一緒に行ってきました」


「忍は龍の生まれた時に良く似ている」


「渚も俺に似ていると言ってました」


「そうか・・・」


お父さんは嬉しそうにそう言った


「で・・・ 忍の事は何て聞いている?」


「はい 俺や渚とは少し違うと聞きました」


「あぁ~ そうなんだ・・・」


そう言ってお父さんは腕組みをした


「生まれつきなのか そうではなく忍の性格なのか まだなんせ生まれたばかりだからなぁ~ 病気ではない事だけは確かなんだがなぁ~」


お父さんは腕組みをしたまま黙っていた


「龍」


「はい」


「龍と渚は歳も離れてなく共に育って来た だが忍はずいぶんと歳が離れている その事でこれから龍と渚に負担をかける事があるかもしれん」


「はい大丈夫です 俺と渚で面倒を見ます」


「そうか頼んだぞ 龍はこの藤堂組の跡取りなんだからな 自覚を忘れるな 小学生のうちは大目に見てやる ただし 中学からはわかっているな・・・」


「はい」


お父さんは俺を真っ直ぐに見てそう言った


「それと・・・ 友達とはうまくやっているのか?」


「はい 今日も学校が終わったら来る様に言ってあります」


「世話係から聞いている いつも一緒に居るそうだな 将来龍の役に立ちそうなのか?」


「それはまだ わかりません」


「そうかまぁ~ 相沢のせがれでもいい 中学になったら考えて行動しなさい」


「はい」



(相沢・・・ 何でここで相沢の名前が出てくるんだよ・・・ お父さんの知り合いの息子ってだけだろう・・・ 俺の確か2つ上だったよなぁ~ 今じゃ~6年かぁ~ 妙に真面目で何を考えてるのかわからねぇ~所が気に食わねぇ~んだよなぁ~)



「お父さん 相沢って良くここに来ているんですか?」


「何だ知らないのか・・・ 渚と良く一緒に居る 渚と気が合うみたいだなぁ~ 相沢のせがれは良く出来たせがれだからなぁ~ 龍ともうまくやれるんじゃないのか?」


「そうですね・・・」



(冗談じゃない 俺はどうも相沢と言う男をあまり好きではない・・・ 渚と一緒に居るのかぁ~ だからここしばらくおとなしいのか渚のヤツ・・・ それにしても相沢と一緒に居て楽しいのか渚は・・・)




俺は首をかしげていた


「カシラ そろそろ・・・」


フスマの向こうから声が聞こえた


「もうそんな時間かぁ~」


「はい」


「わかった すぐに行く」


俺はフスマに振り返っていた身体を元に戻してお父さんを見た


「龍」


「はい」


「お前の事は世話係に全て任せてある しっかりと励みなさい」


「はい では俺はここで失礼します」


そう言って俺はお父さんに頭を下げ部屋を出た





「若・・・」


廊下を歩いていると世話係がやって来た


「若 カシラはこれから用事があって出かける様です」


「あぁ~そうみたいだなぁ~」


俺は部屋にたどり着きフスマを開けた


「やはり忍さんの話でしたか?」


「あぁ~」


俺は世話係と部屋に入り座った


「若・・・ 奥方と忍さんが退院して来ても しばらくは忍さんに会えないと思います」


「そうだなぁ~」


「でもあっしはいつも若の傍におりやすよ」


「わかってる大丈夫だ・・・ ところで相沢は渚と良く一緒に居るのか?」


「あっはい お嬢は勉強を見てもらってるらしいです」


「そうなのか?」


「はい 若 相沢さんがどうかなさいましたか?」


「お父さんが言ってたんだ 俺は相沢ともうまくやれるんじゃ~ねぇ~のかって・・・」


「そうですね 相沢さんは頭も良く物静かな印象ですし・・・ きっと若とも・・・」 


「俺は多分ムリだ・・・ 相沢とあの渚が一緒に居るとか 俺は不思議でならねぇ~」


「でも若・・・ お嬢と正反対の性格だからうまくいく事もあるんじゃないですか?」


「そうなのか?」


「ですからきっと若とも・・・ あっ あっしは本当ところはわからないですが お嬢と良く一緒に居る事は事実ですよ」


「あぁ~」


世話係は何か気まずそうな顔を見せていた


「あっそうだ若・・・ お昼ご飯どうしましょう? ここへ持ってきますか?」


「いい お前達と一緒に食べる」


「わかりました ではお呼びしますね」


そう言って世話係は立ち上がり部屋を出て行った




(しかし渚はいつから相沢と一緒に居る様になったんだ?)



俺はそう考えながらランドセルの中身を全部出していた



(つづく)


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