俺の知らなかった世界

暁エネル

文字の大きさ
66 / 112

球技大会②

しおりを挟む
1組と4組の試合は接戦で


見ているこっちも熱くなってしまう様な


どちらも必死にボールを追いかける展開になっていた


試合が終わると体育館に居た生徒達皆から 


次々と拍手がおこり大きな拍手となっていた



(俺もああいう試合がしたい そしたら龍は俺の事を少しは褒めてくれるのか・・・)



男子バレーボールは勝ち抜いた3クラスが戦う三つ巴になった


俺達6組はコートに立っていた


すると俺達の隣で試合に勝ち進んで来た5組がコートに立った


5組とはいつも体育の授業で戦っているヤツらだった



(結構厄介なヤツらが揃ってるんだよなぁ~)



俺はメンバーを見てそう思っていた


そして試合は始まった



(さぁ~真彦はどう出る? 今回は前の試合見たいには行かねぇ~んじゃねぇ~の?)



(俺がおもいっきり打ってるのになぜか拾われる めんどくせーヤツらだなぁ~)



俺はなるべく人を避け居ないところへと打ち込んでいた


それでもなかなか点差が開かなかった



(マジか・・・ 龍の見て居る前で負けたくねぇ~ 何とかしねぇ~と・・・)



俺のチームも息を切らし


必死にボールを繋いでくれていた



(さすがバレーボール部だなぁ~尊敬する・・・)



あと1点がなかなかとれなかった


それでも最後に俺が打ったボールが決めてとなり


長い試合は終わった



(やっと終わった・・・ 長かったなぁ~ 龍は見ててくれたよなぁ~)



勝った俺達はコートを出て


代わりに元気な4組がコートに入って来た



(5組はもうヘロヘロで試合にならねぇ~だろう・・・ 次俺達と試合をするのはあの元気な4組だなぁ~)



案の定5組は試合にならず


一方的な試合になり 


俺達はまたコートに立っていた



(いよいよ決勝だなぁ~ 少し休んだから大丈夫元気だ試合には問題ねぇ~)



俺は振り返って龍を探した



(良し・・・ 龍は俺を見てる・・・)



(何で今真彦は俺を見た?)



俺達は勢いのある4組に苦戦をしていた



(ヤベ~すぐに追いつかれる・・・ 5組のヤツらと大差がねぇ~ これじゃ~また試合が長くなる・・・)



体育館中の生徒が声を出しているのではないかと思うくらい


俺達の試合は盛り上がっていた



(真彦も良く身体が動くよなぁ~)



俺は真彦の身体能力に関心をしていた


ボールを追いかける事に必死になり


気がついてみると長いホイッスルの音が響いていた



(真彦は良くやったよ・・・)



(あと1点だったのになぁ~)



俺達6組は4組に負けた


けれどもたくさんの拍手を貰う事が出来た



(龍の見て居る前で勝ちたかったなぁ~)



俺は汗をふきながらそう思っていた





男子バレーボールが終わり


体育館では引き続き女子バレーボールが始まった


俺は龍を探しながら校庭に出て来た



(龍はどこだ? まだ体育館に居るとか?)



俺は校庭の水道で顔を洗っていた


「真彦」


龍の声に俺は顔もふかずに振り向いた


「龍」


龍がクスっと笑った


俺は慌てて顔をタオルでふいていた


「真彦の試合見てた 頑張ったなぁ~」


「負けちゃったけどなぁ~」


「いやいい試合だったよ」



(やったー龍に褒められた・・・)



俺は嬉しくなって顔を隠す様にタオルを顔に当てていた



(ヤベ~顔がニヤける・・・ 龍は俺の試合を見てどう思った?どう感じた? 聞きてぇ~聞きてぇ~けど俺の顔が・・・)



校庭では女子がサッカーの試合をしていた


俺は龍に気づかれない様に身体を校庭の方に向けていた



(何か話をしねぇ~と龍に怪しまれる・・・)



「あっ 龍のクラスもスゲーいい試合だったなぁ~」



(良かった言葉が出た)



「俺は正直あんなにいい試合をするとは思わなかったけどなぁ~」


「そうなのか?」


俺はそう言いながら龍に視線を向けた



(龍のクラスの雰囲気がまったくわからねぇ~んだけど・・・)



「女子バレーボールが終わったら 龍は体育館で男子のバスケットボールが始まるんだろう 俺も龍の試合見たいんだけど・・・」


「どうだろうな 真彦だってこの女子サッカーが終わったら 男子のサッカーに出るんだろう・・・」


「あぁ~出る」


「真彦はタフだなぁ~」


そう言いながら龍は笑った





校庭での女子サッカーが終わり


男子がぞろぞろと校庭に集まって来た


「何組からだろう?」


校庭にクラスの代表が集まった


「1組と6組 2組と4組 3組と5組の試合となりました 1組と6組は準備して下さい」


先生の大きな声が響いて来た


「龍 俺龍のクラスと試合だって・・・」


「あぁ~聞こえた」


「じゃ~龍 俺行って来る」


俺はそう言って龍から離れた



(マジか・・・ 龍のクラスとだ・・・)



俺達はゼッケンを付けて整列した


「時間短縮の為20分間とします 20分で勝負がつかない場合はPKとなります」



(マジか短い これは速攻で点を取った方の勝ちだな・・・)



試合が始まり俺はボールが来るのを待っていた


パスがうまく繋がらずボールは行ったり来たりを繰り返し


1人の生徒が倒れ込んでいた


みんながその生徒に集まった


「何?どうした?」


見れば1組の生徒が足を押さえていた


「接触事故だ」


「誰か交代して・・・」


みんなが1組の集まって居る方へと視線を向けていた




俺はとりあえず1組の方へと歩いていた



(誰かケガしたのか・・・)



「ケガしたって・・・」


「出られるヤツ」


「どうする?」


みんなが騒いでいた


「あっ藤堂君」


みんなの視線が俺に向けられた


「藤堂君出てくれる?」


「別に構わねぇ~けど・・・」


「藤堂君なら足も速いし・・・」



(真彦と同じチームで試合をした事はあるけど敵同士は初めてだ・・・ おもしろくなりそうだ・・・)



俺は言われた通りにゼッケンを付けた





(おいおいマジかよ・・・)



龍がゼッケンを付けて走って来た


「試合を再開します」



(マジで龍と戦うんだ これは怖いけどおもしろい・・・)



試合が始まりボールが左右にふられ


いきなり龍の所にボールが飛んで来て


俺は迷わず龍の前へと走り込んだ


「龍 龍が出る事になってたの?」


「いや 偶然だ・・・」


「何だよそれ・・・」


「真彦 縮め・・・」


「無茶言うなよ・・・」



(龍は右か左か?)



俺は龍の動きを伺っていた



(真彦をぬくのは厄介だなぁ~ ここはうまく真彦を利用して・・・)



俺は真彦の動きを見ながらボールを動かした


俺は龍との距離を詰めて行った



(龍はどっちだ右か左か・・・)



俺は龍に手が届く距離まで来ていた



(今だ・・・)



龍はあろう事か俺の股の間にボールを蹴った


俺は驚きそのまま龍の肩に両手を乗せていた



(待ってマジか・・・)



みんなが俺と龍をおいて走って行った


俺は動く事が出来なかった


「真彦 大丈夫か?」


「大丈夫じゃねぇ~よ 何だよあれ あんなのってアリかよ・・・」


俺はやっと龍の肩から両手を離した


「真彦はぬけねぇ~って思ったからなぁ~」



(龍が笑ってる 悔しいはずなのに嬉しい・・・)



「真彦を利用させてもらった・・・」


「俺を利用?」


「右か左に来ると思っただろう・・・ だからうまくいった・・・」


「龍 もう一回・・・」


「もう時間がねぇ~よ」


そう言いながら龍は走って行った



(ヤベ~楽しい俺龍の肩にまた手を乗せてたしかも両手・・・)



俺はドキドキしながら龍を追いかけた





試合は決まらずPKとなった


1組と6組から5人ずつ前に出た


俺は龍の隣でその5人を見ていた


「なぁ~龍」


「ううん?」


「もし龍だったらどっちに蹴る?」


「そうだなぁ~ 何も考えずに蹴るだろうなぁ~」


「えっマジで・・・」


「真彦がさっき俺の前に来た時も 真彦はぬけねぇ~って思ってどうするかって思った時 自然と身体が動いた 変にあそこで考えてたら真彦にボール持って行かれてただろうなぁ~」


「一瞬何が起きたのかわかなかった 俺が気がついてたらボールがなかった」



(ボールがなくて俺は龍の肩に両手を乗せてた・・・)



「真彦の顔おもしろかった・・・」


龍はまたクスっと笑った




1組と6組のPK対決は6組が勝っていた


「真彦 俺は体育館に居ってる」


「あぁ~ 龍終わったら見に行くから・・・」


「来なくていいぞ」


そう言って龍は体育館の方へと走って行った



(龍は俺が肩に両手を乗せても多分何とも思わない 俺がドキドキしている事なんて知らない いつか龍にもわかるんだろうか・・・ でも今は龍がどんな試合をするのか 何が何でも龍のバスケの試合を見てやる・・・)



俺はそう思いながら龍の後ろ姿を見ていた


(つづく)



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

煌めくルビーに魅せられて

相沢蒼依
BL
バイト帰りにすれ違った人物に、いきなり襲われて―― バイトを掛け持ちして大学に通う片桐瑞稀。夜遅くの帰宅途中に、意外な人物に出会ったのがはじまりだった。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

ショコラとレモネード

鈴川真白
BL
幼なじみの拗らせラブ クールな幼なじみ × 不器用な鈍感男子

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

処理中です...