俺の知らなかった世界

暁エネル

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俺と龍①

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俺はいつもの様に龍の家で受験勉強をしていた


俺は何気ない疑問を龍に言ってみた


「龍」


「ううん?」


「久下沼って偏差値そんなに高くないだろう」


「あぁ~そうだなぁ~ 最後の砦みたいな感じで偏差値は底辺だなぁ~」


「じゃ~さぁ~ 俺と龍どっちがトップで合格出来るかやろうぜ・・・」


龍はシャーペンを置いた


「あのなぁ~真彦 中間テストや期末テストみたいに テストの点数が自分に帰って来る訳じゃねぇ~んだ だから・・・」


「そうかもしれねぇ~けどさぁ~ ただ目標もなく受験勉強するってのはさぁ~」


「それもそうだなぁ~ 真彦の言う事にも一理あるなぁ~」


「だろう・・・」


「でもどうやって勝負するんだ? テストはただ偏差値を見る目安みたいなもんだしなぁ~」


俺と龍は考え込んでしまっていた



(何かいい方法はないのか? 龍と毎日受験勉強するのは楽しい 楽しいんだけどもっと俺と龍がやっきになれる事があれば・・・)



俺も龍もその日は何も思い浮かばず


俺は龍の家を出て家へと向かっていた



(何かなぁ~ 俺と龍ってずっとこのままなのかなぁ~ 龍はいつか俺の気持ちに気づいて 俺は龍の事を抱きしめたりする時が来るんだろうか?)



寒い夜空にそんな事を思う俺だった




中学の授業で習った苦手な所を重点的に


今日俺と龍は勉強する事になった


「なぁ~前にも聞いた事があるかもだけどさぁ~ 龍って苦手な科目とかねぇ~の? 俺まったく龍に勝てる気がしねぇ~んだけど・・・」


龍はシャーペンを置いて俺の方を向いた


「真彦は何も俺に勝たなくてもいいんじゃねぇ~の 久下沼高校に入れれば まぁ~真彦も俺も久下沼にぶっつけ本番でも合格はするだろうけどなぁ~」


そう言って龍はまたシャーペンを持った



(今日はいつもの龍だ でも時々龍は俺の知らない龍になる 龍は何か俺に言えない事でもあるのか? まぁ~この家の事なのかもしれねぇ~けど? それでも俺は少しでも龍の力に いや俺が龍の力になりたいんだ でもそれがどうしたらいいのかわからねぇ~)



俺まで落ち込む事はねぇ~と


気分を変え最近会っていない


渚と忍の話を俺は龍にしていた


「ねぇ~龍 俺この頃渚と忍に会ってないんだけど・・・」


「仮にも受験生だからなぁ~俺達は・・・」


「それでも俺は忍と遊びたいと思ってるんだけど・・・」


「そうだなぁ~」


「じゃないと俺忍に忘れられそうじゃん」


「そんな事はねぇ~だろう・・・」


龍は少し笑ってそう言った




その日の夜


世話係が俺の部屋へとやって来た


「若 少しお時間いいですか?」


「あぁ~大丈夫だ」


「失礼しやす」


そう言って世話係が俺の部屋へ


「若すいやせん」


「どうしたこんな時間に・・・」


いつもなら風呂に入って寝る時間に


世話係が俺の部屋へとやって来た


「へい カシラが若をお呼びで・・・」


「こんな時間にか?」


「へい すいやせん・・・」


「もしかしてオヤジは酔っているのか?」


「へい 少し・・・」


「マジかよ・・・」



(行かねぇ~とあとが面倒だしなぁ~ この時間はあの人ももしかして一緒に居るのか? 嫌な予感がする こういう予感は当たるんだよなぁ~)



「若 どうしやす? あっしが上手い事言っておきやすか?」


「いやいい・・・ オヤジは酔ってるんだろう お前があとでひどい目にあう」


「若 あっしの事は構わず・・・」


「それに来いと言って行かねぇ~のは 反抗してると思われる それは今の俺に不利な条件だからなぁ~」



(今 オヤジのご機嫌を損ねるのは得策ではねぇ~よ 今は何でも言う事を聞いておかねぇ~となぁ~)



「若 すいやせん」


「お前が謝る事はねぇ~」


俺は立ち上がった



(やれやれ何の用事なんだか どうせくだらねぇ~用事だろう・・・)



俺はオヤジの部屋の前へとやって来た


「龍です」


「入れ」


俺はゆっくりとフスマを開けた


「失礼します」



(やっぱり居やがった)



オヤジの隣に寄り添う様に母親が座っていた


俺はオヤジの前に座った


「三者面談があったそうね」


「はい」


(俺はオヤジに呼ばれたんだ あんたと話す気はねぇ~ それに普通はどちらかが俺と一緒に学校へ行くんだからなぁ~)



「昔と違って今の久下沼は落ち着いているのよねぇ~ そこで龍はおとなしくしているつもりではないわよねぇ~」



(酔っぱらいは黙ってろよ・・・)



「例の良く家に来るヤツも一緒らしい」


「あらそうなの・・・」


「舎弟にちょうどいい」


「私も見かけた事があるわぁ~ 入学式だったかしら? いいじゃない舎弟にぴったりね・・・」



(勝手に話を進めてるんじゃねぇ~よ あぁ~イライラする・・・)



俺はただ2人の会話に耐えるしかなかった


「龍 確認なんだが・・・ 相沢のせがれとは会ってねぇ~んだなぁ~」


「はい 会ってません」



(ウソだけど・・・)



「龍は妙な事を考えるなよ・・・」


オヤジの鋭い目が俺に向けられた


俺は黙っていた



(オヤジのやり方は子供を不幸にするんだよ そんな事もわからねぇ~のかよ 親失格だなぁ~)



俺は顔には出さない様にこらえていた


「龍にそんな勇気がある訳がないわよ・・・」


そう言って母親は笑っていた



(今に見てろよ・・・ こんな家ぶっ壊してやるからなぁ~)



俺はにやりと笑いそうになっていた


さんざん言い様に話をされて


俺はようやくオヤジの部屋を出る事が出来た



(クソッ 腹が立つ・・・ 自分達が何をしてるのかわかってんのかよ こんな時間に呼びつけやがって・・・)



俺は風呂に入ったものの


その夜なかなか眠りに着く事は出来なかった



(クソッ やっぱり腹が立つ・・・ 眠れねぇ~よチクショウ・・・ どうしてくれんだよ・・・)



俺は何度も寝返りをし


考えない様にしていても


あの2人の言葉を思い出していた





「若」


世話係の大きな声で俺は目を覚ました


「若 大丈夫ですか具合でも悪いんですか?」


俺は世話係が何を言っているのかわからなかった



(何でお前が居る・・・)



俺はハッと気づいた


「今何時だ?」


「若大丈夫なんですか? 何でしたら学校をお休みしても・・・」


俺は飛び起き学ランに手を伸ばした



(ヤベ~寝過ごした・・・ 俺は確かに目覚まし時計を止めた・・・)



「若」


「朝ご飯いい 俺は学校へ行く・・・」


「若 すいやせん あっしがもう少し早く起こしていれば・・・」


「お前は何も悪くねぇ~」


俺は急いで家を出た



(やっちまった・・・ 遅刻だ それよか真彦・・・)





俺はいつもの様に待ち合わせ場所で龍を待っていた


けれどもその日はいくら待っても龍は姿を現さなかった



(龍が来ねぇ~ こんなの初めてだ・・・)



だんだんと登校する生徒が少なくなり


俺は心細くなっていた



(いっその事龍の家まで行ってみるかぁ~)



そう思った時 龍が凄い勢いで走って来た


「真彦悪い・・・ 遅刻だ急ぐぞ・・・」


そう言って龍はまた走り出した


「どうしたんだよ龍・・・」


「悪いとにかく今は走れ・・・」


学校の昇降口には人影はなく


とにかく俺と龍は急いで階段を駆け上がっていた


「真彦 ホント悪い放課後・・・」


龍はそう言って廊下を走って行った


俺も龍と別れて階段を駆け上がった



(いったいどうしたんだ? こんな事は初めてだ 龍にいったい何があったんだ? いずれにしろ放課後になればハッキリする)



幸い先生はまだ教室には来て居なかった



(良かった・・・ 真彦も大丈夫だろう・・・ それにしてもやっちまった・・・ 真彦に何て言うかなぁ~)



俺は授業中ずっとその事を考えていた


(つづく)

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