死神と呼ばれた男

第四話

「・・・？」

なんだろう、僕は確か学生寮とやらに連れてきてもらったはずなんだけど。

目の前の建物の大きさが僕の想像からはるかに逸脱してる気がする。

「どうしたんですか、ガイさん？」

「早く来なさいよ。」

「まて、いやいやいや。ちょっと待て。え、大きくないか？ここは本当に学生寮なのか？」

僕の中の当然の疑問をぶつけたつもりだったのだが、四人は首をかしげるばかり。

「・・・なんか変すか？」

「変だよ！？お前らどんだけ金持ちなのってくらいでかいだろこれ！？」

驚きまくって目玉が飛び出そうだよ！

「ガイさん、大げさですよ。」

マジで言ってるの、この子達！？

「・・・？まあ、とにかく行きましょうか。」

Oh、不思議な顔してるね、レイちゃん。これは常識なんだな、そうなんだな！？

僕の驚きは誰一人にも共感されることなく、この場は進んでいった。


＃＃＃＃＃


「あら、あなたたち帰ってきたのね。お疲れさま。」

「ルナ先輩！お疲れ様です！」

寮の入り口を通ったところで、一人の女性に四人が頭を下げる。お、先輩なんだ。

「ええ・・・？怪我、結構してるわね。どうしたの？」

「ちょっと、トラブルが・・・。」

「そう、ちょっとそのまま動かないで。」

「は、はい。」

ルナ先輩、と呼ばれた女性が怪我をした二人に近寄り、手をかざす。うん？何するんだ？

・・・、ん、え？な、なんだそれ！？

女性が手をかざした場所が見る見るうちに治っていく。し、信じられないな・・・。

「あ、ありがとうございます！助かります！」

「どういたしまして。・・・ところで、あなたは？」

女性の視線が僕に向く。

「えっと、初めまして。凱です。」

名前ぐらいしか紹介するものがないな・・・。

「ガイ、ね。変わった名前ね、で、この子達にどんな仕打ちをして脅したのかしら、ごみ野郎。」

「大きすぎる誤解が生まれてるっ！？」

僕がこの傷つけたって思ってるよ、この人！

「ち、違うんです、ルナさん！ガイさんは私たちを助けてくれた人で・・・！」

「そ、そうっす！悪いひとじゃないっすよ！」

「安心して、みんな。私がこの腐れ外道をほんとに腐らせてやるわ。」

「その優しさを初対面の僕に向ける気はないのかっ！？」

「黙りなさい、というより、覚悟しなさい。」

「お前は僕に何の恨みがあるんだっ！」

「前世から探していたわ。」

「輪廻転生してまでの恨みが僕に！？」

「ちょ、ちょっとおっ！二人とも落ち着きなさいよっ！」

キョウカちゃんが慌てて止める。だが、その後しばらく僕と、この女性、ルナ・・・、さんを付ける必要はないだろう、のやり取りは続いたのだった。