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第五話
しおりを挟む「あら、そうだったの。誤解なら誤解と、早く言ってくれればよかったのに。」
「あれ、おかしいな。僕ははじめからそう言っていたと思うんだけど。」
「相手に伝わらなければ、言っていないと同じなのよ。」
「お前の言っていることは、聞く気のないやつと会話しているときにも適応されるのか?」
「されるわけないじゃない、馬鹿じゃないの?」
「特大ブーメランが今お前の顔面に突き刺さったよ!」
あの後、四人が必死にこの女を止めていなければ、僕はマジでここで戦う羽目になっていただろう。
「お前じゃないわ、ルナと呼びなさい。」
「・・・なんで僕がお前の命令に従わなくちゃならないんだ。」
「ルナ様でもいいわよ。」
「断ってるのにさらに要求レベルを上げてきたっ!?」
「私、人間はあきらめない生物だと思っているから。」
「ポジティブなサディストじゃねえか!」
「ひどい言いがかりだわ。」
なんだ、こいつは。なぜ初対面の僕にこんなぐいぐいえぐり取るように、言葉を紡いでくるんだ。
「・・・アルフくん、この、ルナっていつもこんな感じなのか。」
隣に座っているアルフ君に聞いてみる。
「ええっと、そんなことないんですけど・・・。本当はもっと、冷静で、とても優しい人なんですけど、ガイさんには、なぜか厳しいような気がしますね。」
「アルフ君、ここまでのやり取りを見てもし君が本当に『気がする』程度だと思っているなら、ちょっと一回休んだほうがいい。」
「・・・すいません、なぜか厳しいですね。」
というか本当に、なぜこんな扱いを僕は受けているんだろう。彼女に害をなした覚えがチリほどもないぞ。
「・・・何をこそこそと話しているのかしら。」
「お前が謎に僕に厳しい話だよ。僕、何かしたかお前に。」
「・・・いえ、されてないわね。なんでかしら?」
「僕が聞きたい。」
「なぜかあなた、こう、口撃しやすいのよ。つまりあなたが悪いわ。」
「斬新な責任転嫁だっ!」
堂々としすぎてて、もはや新しさを感じる。
「その、ルナ先輩。その辺で・・・。」
「あら、レイちゃん。だめよ、こういうタイプは手加減するとすぐに思い上がるから。」
「お前は僕の何を知ってるというんだ!?」
「はは、なんかルナ先輩も、ガイさんも、印象変わっちゃいましたっす・・・。」
初対面からこれじゃ、僕はこいつへの印象を変えようがないけどな。
「・・・で、結局あなたはここに何しに来たのかしら。四人についてくる理由なんて、それこそ外道なことする気だった以外に考えられないわ。」
「僕はお前のその発想が意外だよ!」
突っ込みをした後、彼らの安全確保のため、そして僕がこのあたりの話を聞くため、ここにいることを話した。
「・・・ふうん?じゃあ、あなたたちは部屋に戻りなさい。ガイにこのあたりの説明をするのは私に任せてちょうだい。」
「へ?なんで急に・・・?」
「キョウカちゃん、いいから行きなさい。」
「は、はーい・・・?」
どういう風の吹き回しだ?さっきまで僕にあれだけ口撃しておいて、説明する?絶命させるの間違いじゃないのか?
「あら、失礼ね。」
「心のうちを読むな。」
「ほんとに失礼なことを考えてたなんて・・・。失望したわ。」
「僕に期待してもいないくせに勝手に失望しないでくれ。」
「じゃ、じゃあ、僕たちはもう行きますね!」
「また会いましょう、ガイさん!」
「な、なんでなの・・・?」
「考えちゃだめよ、キョウカちゃん。ルナさんに逆らっちゃいけないから・・・。」
四人はせっせと建物の奥に消えていった。ああ、なるほど。ルナ、お前は裏で怖いタイプのやつか。いるいる、そういうやつ。
「さて、じゃあ。行きましょうか。」
「え?どこにだよ。」
「この辺のこと教えるなら、現地を見たほうが早いわよ。ほら、きびきび動きなさい。」
「わ、わかったよ。」
まあ確かにルナの言う通りではある。ここは言われたとおりにしておくか。
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