僕は魔王の寵愛を受けて復讐する

神尾瀬 紫

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ーーーある教師の災難

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 その高校の裏にパトカーが停まっていた。
 朝から警察官が出入りしている。
 その校舎内、職員室に警察官が立っていた。
 彼は制服の帽子を取り頭を下げた。
「昨日の夜遅く、通報がありました。この学校の生徒の一人、喜多川優豪君が帰って来ないと。なので色々と聞きたいのですがよろしいですか。」
 室内にざわめきが起こる。
「喜多川くんのクラスの担任の先生は・・・」
 見回されて一人の青年にみんなの視線が集まる。
 三十前に見える若い教師は口元を歪めた。
「はい。俺です。ニ年一組の担任の高西です。」
 めんどくさい。
 はっきり顔に現れていた。
 それはそこにいる全員の内心だったかもしれない。
 
 何か問題が起こったとかめんどくさい。
 何か事件に巻き込まれたとかめんどくさい。
 クラス担任なんて教室外ではほぼ関係ない他人だめんどくさい。
 人となりとか何考えてるかなんてわからないめんどくさい。
 下校した後何してるかとか知るわけがないめんどくさい。
 俺に面倒かけるなよホント下校時刻までに仕事が終わらなくて毎日残業に仕事持ち帰りで休みだって1週間分の授業のまとめとか色々あってうちのクラスだけじゃなくて教科の仕事もあるしむしろ授業の準備とか予習とか採点とかもうマジで一日二十四時間じゃ足りないんだから担任なんてホント貧乏くじだし勘弁してほしいんだけどもうマジで迷惑かけんなよクソ。
 優豪の教室での様子とか、いつもと変わった様子がなかったかとか、いじめはないかとか、そんなことは知ったこっちゃないという態度で『わからない』と返事をする。
「では仲が良かった生徒とかはどうですか?友達とか。」
 自然と警察官の口から出た言葉に、当たり前の言葉にもかかわらず、一瞬ポカンとした。
 友達?喜多川の友達?
 彼の陰気な顔を思い出す。
 いつも俯いているような、オドオドしたような態度はいつも高西を苛つかせた。
 ああいう陰キャは学生時代から嫌いだった。
 俺だって色々ムカつく事とかあってそれを我慢してみんなに合わさて生きてんのに、その辛気臭い顔はなんだよ。
 だから小学校でも中学でも高校でもそういう奴はひたすらいびり倒してやった。自分ばっかりかわいそうですっていう顔が更に苛つかせた。媚びるようなヘラヘラ笑いもムカついた。
 やっぱりまた奴らは俺の邪魔をする。俺が気持ちよく楽しく生きる目の前にあの根暗な顔を晒す。
 
 喜多川が見つかったら見つかったでまた色々めんどくさいんだろうな。
 俺に迷惑をかけるな。
 もう二度と目の前に顔を出すな。そのまま行方不明の方が清々する。
 そんなことを心の中で考えながら『知らないですね。』と頭を掻いた。
 
 
 
 
 
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