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第二話
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『日向から電話してくるの珍しいねぇ』
受話口から聞こえる母親の声の中に、まな板を叩くリズムの良い音がする。
「料理しながら電話してんの?」
『うん、だってもうすぐお父さん帰ってくるから』
「器用だね」
『で? どうしたの?』
えっと、と口篭る。
「友達……から新玉ねぎ貰ったんだけどさ、お母さんならどうやって使う? なんかいいレシピない? 出来ればシンプルなやつで」
下拵えが済んだのか、ふらついていた音声が安定し、声が聞きやすくなった。調理自体は、相変わらず続いているようだ。
『新玉ね~、サラダとか? あれは甘いから丸ごと蒸しても美味しいよ』
「蒸すの? 味は?」
『味噌とか、コンソメとか、バター醤油とか何でも合うよ。丸ごとスープとかオーブン焼きにしても美味しいよね~』
メモをしながら、日向は頷いた。
母親の力は偉大だ。インターネットよりも遥かに迅速で、バリエーションも豊富でありながら見つけやすい。
情報と言うものは、多ければ多いほど良いというわけではないのだ。
『日向、ちゃんと自炊してるのね。それも、家に居た頃は絶対触らなかった玉ねぎまで使って』
「貰ったからだって。……そろそろお腹空いてきたからご飯作るわ、ありがとね」
これ以上話を深堀されないよう、丁重に礼を言って通話を終了する。
――――新玉ねぎ。春に旬を迎えるはやどり玉ねぎの総称で、普通の玉ねぎには見られない皮の薄さと瑞々しさが特徴。甘みが強く辛みが少ないので、生食に向いている、らしい。
しかし、母親の言っていた生食も丸ごとも、玉ねぎが苦手な日向にとっては、勇気のいる調理法だった。
結果、コンソメスープに丸ごとダイビングさせ、少し柔らかくなってきたところを菜箸で崩してくたくたになるまで煮る。
自らが編み出した包丁要らずの簡単レシピに、思わず鼻歌が零れた。
受話口から聞こえる母親の声の中に、まな板を叩くリズムの良い音がする。
「料理しながら電話してんの?」
『うん、だってもうすぐお父さん帰ってくるから』
「器用だね」
『で? どうしたの?』
えっと、と口篭る。
「友達……から新玉ねぎ貰ったんだけどさ、お母さんならどうやって使う? なんかいいレシピない? 出来ればシンプルなやつで」
下拵えが済んだのか、ふらついていた音声が安定し、声が聞きやすくなった。調理自体は、相変わらず続いているようだ。
『新玉ね~、サラダとか? あれは甘いから丸ごと蒸しても美味しいよ』
「蒸すの? 味は?」
『味噌とか、コンソメとか、バター醤油とか何でも合うよ。丸ごとスープとかオーブン焼きにしても美味しいよね~』
メモをしながら、日向は頷いた。
母親の力は偉大だ。インターネットよりも遥かに迅速で、バリエーションも豊富でありながら見つけやすい。
情報と言うものは、多ければ多いほど良いというわけではないのだ。
『日向、ちゃんと自炊してるのね。それも、家に居た頃は絶対触らなかった玉ねぎまで使って』
「貰ったからだって。……そろそろお腹空いてきたからご飯作るわ、ありがとね」
これ以上話を深堀されないよう、丁重に礼を言って通話を終了する。
――――新玉ねぎ。春に旬を迎えるはやどり玉ねぎの総称で、普通の玉ねぎには見られない皮の薄さと瑞々しさが特徴。甘みが強く辛みが少ないので、生食に向いている、らしい。
しかし、母親の言っていた生食も丸ごとも、玉ねぎが苦手な日向にとっては、勇気のいる調理法だった。
結果、コンソメスープに丸ごとダイビングさせ、少し柔らかくなってきたところを菜箸で崩してくたくたになるまで煮る。
自らが編み出した包丁要らずの簡単レシピに、思わず鼻歌が零れた。
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