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三話
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「……携帯を返してくれ」
あれから2日、衣知の“照れ隠し”は次第に少なくなっていた。未だに抵抗することもあるが、食事も摂ってくれるようになった。
そしてたった今、3日間の同棲生活の中で初めて、衣知から声をかけてきた。
「……そろそろ職場から電話が来てると思うんだよ……」
何を言い出すかと思えば、この恋人関係において、実に瑣末な事案だった。
「安心して衣知、そのことなら心配しなくていい」
「……どういうこと?」
「……意外と鈍感なんだな。衣知のバイト先にならもう退職届を出したよ」
衣知が立ち上がる、――――が、1メートルという鎖の長さでは当然バランスを崩して倒れてしまう。
自由になった手で、衣知が朝陽の胸倉を掴んだ。
「ふざけるな……! う、嘘だよな……?」
威勢は数秒で失われ、へたへたと崩れ落ちる。
「……嘘じゃないよ。そもそも何で嘘を吐く必要があるんだ。そう悲しい顔するなよ、もう関わってこないように何処にでも通用するような悪口をたくさん書いといたから」
「……嘘……朝陽……なんで……」
「なに、嬉しくて泣いてんの?」
「……違う………も、もうお前は友達なんかじゃない……」
「あぁ、友達なんかじゃないさ」
友達なんかじゃない。――――正真正銘の、恋人だ。
やはり衣知は分かっている。自分でそう発言したのだから。声が震え、語尾にかけて小さくなっていくのが、非常に愛らしかった。
あれから2日、衣知の“照れ隠し”は次第に少なくなっていた。未だに抵抗することもあるが、食事も摂ってくれるようになった。
そしてたった今、3日間の同棲生活の中で初めて、衣知から声をかけてきた。
「……そろそろ職場から電話が来てると思うんだよ……」
何を言い出すかと思えば、この恋人関係において、実に瑣末な事案だった。
「安心して衣知、そのことなら心配しなくていい」
「……どういうこと?」
「……意外と鈍感なんだな。衣知のバイト先にならもう退職届を出したよ」
衣知が立ち上がる、――――が、1メートルという鎖の長さでは当然バランスを崩して倒れてしまう。
自由になった手で、衣知が朝陽の胸倉を掴んだ。
「ふざけるな……! う、嘘だよな……?」
威勢は数秒で失われ、へたへたと崩れ落ちる。
「……嘘じゃないよ。そもそも何で嘘を吐く必要があるんだ。そう悲しい顔するなよ、もう関わってこないように何処にでも通用するような悪口をたくさん書いといたから」
「……嘘……朝陽……なんで……」
「なに、嬉しくて泣いてんの?」
「……違う………も、もうお前は友達なんかじゃない……」
「あぁ、友達なんかじゃないさ」
友達なんかじゃない。――――正真正銘の、恋人だ。
やはり衣知は分かっている。自分でそう発言したのだから。声が震え、語尾にかけて小さくなっていくのが、非常に愛らしかった。
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