蒼い春も、その先も、

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不治の病と春めく唇

7-2

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 約束通りすぐに穂希の自宅に向かい、呼び鈴を鳴らす。やはり、反応がない。
 六日目の訪問は、これまでの五日間よりも心が焦っていた。恐らく、葉月の意味深な言葉を聞いてしまったからだ。

 椿は周囲に人がいないかを確認し、もう一度呼び鈴を鳴らした。軽く、戸も叩く。

「穂希君? 僕……椿だけど、出てくれないかな?」
「……椿? 待って、今出る」

 声は、かなり悄然としていた。
 不安になる一方で、約一週間ぶりに聞く穂希の肉声にホッと胸を撫で下ろす。だが、それも一瞬のことだった。
 視界に入ってきた穂希の姿に、全身の筋肉が凍りつく。

 普段から血の気の乏しい顔は以前にも増して蒼褪めていて、首元には明らかに不自然な赤みがあった。

 頭が混乱し、沈黙する。
 自分を疑うが、それが何に対しての疑念なのかを椿は理解することが出来ない。
 しかし、混濁する中でもこれだけははっきりと分かる。

 恐ろしいくらいの心痛を感じているのに、胸の鼓動は奇妙に高鳴っているということだ。

 自身が生んだ矛盾に戸惑った果てに、椿はどうしようもなくなって俯いてしまった。
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