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紅梅みたいに色付いて
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先程来訪したばかりの葉月が、早々と調理に取り掛かる。今日は一段と体が重かったが、穂希も立ち上がり彼女の横に並んだ。
「……この間はごめんね、気を遣わせて」
俯いたまま、葉月が言う。呟きにも似た口調は、怒声よりもずっと深く胸を抉る。
「……いいよ。それより、何か手伝う」
「じゃあ、野菜洗ってもらっていい?」
頷き、腕捲りする。刹那、葉月が包丁を握っている手を止めた。
「……最近また辛いの?」
「え?」
「それ……」
葉月が見つめる先には、昨夜刻んだ切創があった。傷は少し腫れ上がった状態でかさぶたになっている。
「春休みは落ち着いてたのに、学校始まってから酷くなってる。……もしかして、学校で何かあった?」
穂希は葉月の表情を窺おうとした。だが、身長が低い上に俯いている所為で、確かめる事が出来ない。
「何も無いよ。一年生の時より楽しい」
これは虚言でも配慮でもなく、事実だ。しかし葉月は、どこか府に落ちない様子で黙り込むだけだった。
会話を続けるわけでも無く、無言で野菜を洗っていると、やっと葉月が顔を上げた。
「……私を心配させない為に嘘吐いてるなら、やめてほしい。……私だけ幸せなんて嫌だよ……!」
葉月の抱く哀しみを、痛切に感じ取る。それがむしろ、苦しかった。
全て自分が悪いのに実妹にまで気を遣わせているなんて、情けないにも程がある。
息が詰まり、『大丈夫』や『ありがとう』すら声になってはくれない。
沈黙が生み出したぎこちない空気の中に、野菜を切る単調な音だけが響いていた。
「……この間はごめんね、気を遣わせて」
俯いたまま、葉月が言う。呟きにも似た口調は、怒声よりもずっと深く胸を抉る。
「……いいよ。それより、何か手伝う」
「じゃあ、野菜洗ってもらっていい?」
頷き、腕捲りする。刹那、葉月が包丁を握っている手を止めた。
「……最近また辛いの?」
「え?」
「それ……」
葉月が見つめる先には、昨夜刻んだ切創があった。傷は少し腫れ上がった状態でかさぶたになっている。
「春休みは落ち着いてたのに、学校始まってから酷くなってる。……もしかして、学校で何かあった?」
穂希は葉月の表情を窺おうとした。だが、身長が低い上に俯いている所為で、確かめる事が出来ない。
「何も無いよ。一年生の時より楽しい」
これは虚言でも配慮でもなく、事実だ。しかし葉月は、どこか府に落ちない様子で黙り込むだけだった。
会話を続けるわけでも無く、無言で野菜を洗っていると、やっと葉月が顔を上げた。
「……私を心配させない為に嘘吐いてるなら、やめてほしい。……私だけ幸せなんて嫌だよ……!」
葉月の抱く哀しみを、痛切に感じ取る。それがむしろ、苦しかった。
全て自分が悪いのに実妹にまで気を遣わせているなんて、情けないにも程がある。
息が詰まり、『大丈夫』や『ありがとう』すら声になってはくれない。
沈黙が生み出したぎこちない空気の中に、野菜を切る単調な音だけが響いていた。
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