蒼い春も、その先も、

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花冷えの心

13-2

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 目の前の問題集が暗号のように見える。
 こんなにも勉強が捗らないのは、足元で遊んでいるモカの所為ではない。
 恐らく、自責の念が思考の邪魔をしているのだ。

 先程の千冬との会話を思い出す。

 あの時何故、あんなにも後ろめたさを感じてしまったのだろう。
 口止めに必死になるばかりで、何一つ穂希について話すことが出来なかった。

 好きなのに、愛しているのに、世間体の為に穂希の存在を隠そうとする自分が本当に情けない。

 駄目だと分かっていながら傷を欲して、興奮してしまう遣る瀬無さも相俟って、自己嫌悪という闇が深くなってゆく。

 周囲が求める“佳澄椿”でいなければならない。
 まともな自分でいなければならない。
 欠落などない自分でいなければ――――。

 気が付けば椿は、机に突っ伏していた。少し顔を傾ければ、こちらを心配そうに見つめるモカと目が合う。

「……ごめん」

 誰に謝っているのかも分からないまま、椿はうわ言のように何度も何度もその言葉を繰り返した。
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