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春愁は君だけに
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「今日、来てくれてほんとありがとね」
あれから暫く泣いていた椿は、玄関で恥ずかしそうに視線を逸らした。
「……僕こそ、話聞いてくれてありがとう。なんか、恥ずかしい事いっぱい言っちゃったね。困らせてごめんね」
「椿って謝るの癖なの?」
「え、いや、ごめ……じゃなくて……」
つい、笑ってしまう。椿はさらに頬を紅くして、そそくさと体を翻した。
そんな彼を咄嗟に呼び止めて、無意識に手首を掴む。
だが、これといって用事が無かった為、穂希は顔を合わせたまま黙り込んだ。
椿が帰ってしまうのが寂しい。多分、そうだ。
口にするかを悩んでいると、椿がもう一度向き直った。
そして、音も無い口付けをする。
相変わらず、胸の高揚感は無かった。ただ胸のうちに広がっていく安心感を抱き、穂希は静かに目を閉じて、椿に身を委ねた。
あれから暫く泣いていた椿は、玄関で恥ずかしそうに視線を逸らした。
「……僕こそ、話聞いてくれてありがとう。なんか、恥ずかしい事いっぱい言っちゃったね。困らせてごめんね」
「椿って謝るの癖なの?」
「え、いや、ごめ……じゃなくて……」
つい、笑ってしまう。椿はさらに頬を紅くして、そそくさと体を翻した。
そんな彼を咄嗟に呼び止めて、無意識に手首を掴む。
だが、これといって用事が無かった為、穂希は顔を合わせたまま黙り込んだ。
椿が帰ってしまうのが寂しい。多分、そうだ。
口にするかを悩んでいると、椿がもう一度向き直った。
そして、音も無い口付けをする。
相変わらず、胸の高揚感は無かった。ただ胸のうちに広がっていく安心感を抱き、穂希は静かに目を閉じて、椿に身を委ねた。
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