処刑

くろねずみ

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そして処刑は敢行された

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焦燥

これから命を奪うのだという現実から受けるプレッシャー。

落ち着け。
女は自分に言い聞かせる。相手はこちらに気付いていない。相手はこちらの殺意に気付いていない。
勝負は一瞬で決まる。

躊躇なく鈍器を振り抜く決意。

やはり同様している。
アレを用意していた。女は最終兵器を持ち出した。これであいつの動きを封じてからだ。
運動能力は相手が上。
女はそのことを思い出した。

スプレー入りの毒ガス。殺傷性はともかく、これであいつに隙ができる。
そうしたら思い切り鈍器で殴りつける。

女は読んでいた推理小説の一場面を思い出す。冷静に考えて確実にとどめをさすつもりならこれだ。
刃物を使うのはむしろ防衛目的ではないだろうか。

完全に油断している相手の急所を狙うのは素人には無理だ。
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