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序章
突然の立ち退き2
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「すいません。どなたか居られませんか」
みんなで晩ご飯を食べ、採取依頼で明日も出かける子供たちが何やら仕掛けを作っていると、教会の方から声が掛かった。
「ハイ。どなたでしょう?」私が孤児院との境の扉をかけて出ていくと3人の大人が立っていた。
「ギルマス、いつも子供達がお世話になっています。今日はこちらの方たちの案内で?」そう先頭に立ってこちらに来たガントに声をかけた。
「それはついでというか…まあ子供達にも話さなければならないのだが、大人達で話そうと思ってな」そう言ったので
「教会でお話ししましょう。もう誰も信者の方は来られないでしょうから」と教会のドアに鍵をかけた。
「緊急の時はどうするんだ?」と獣人らしき方が言われたので
「緊急の時は、裏の孤児院に回るようになっていますから。でこちらの方々が今私たちがあづかっている魔獣の子供たちの親ですか?」
「ああ。わたしはドラゴンで名はカルム。水属性だ」と水色の瞳を持った銀髪の麗人が言った。
「俺はフェンリルで名はレオン。見ての通り獣人になれる」
「はじめまして。こちらの教会と裏にある孤児院を預かりますシスター・ジョエルと申します。お預かりしているお子様たちをお返しするということで宜しかったでしょうか?」と尋ねると
「そのことでちょっと俺の話を聞いてくれ。先頃学園のパーティーで第3王子が婚約破棄を突きつけて廃嫡騒ぎのうえ開拓団に参加するっていう話は子供たちから聞いているよな」
「ええ。それぞれ関わり合ったものをバラバラの開拓団に入れて1週間後に出発とか」
「実はそれに伴ってこの辺りの再開発を国がすると言ってたちのきするように言ってきたんだ」
「まさか小さな子供たちに開拓団に参加するようにというのではないですよね」
「さすがに、5歳未満はギリギリ王都の一角に孤児院を新たに作るのでそこに集めるよう言われているが、それでももう満員だという噂だ」
「まさか王都にある全ての孤児院を閉鎖したわけではないでしょうね」
「そのまさかだ。さすがに赤ん坊は連れて行かれないので、優先的に入れたのだがここは対象外だと言われてしまった。すまん」確かにうちは3歳が最年少だからといって連れていくとなると…
「どちらにしてもスラム街を一掃したい国と、新たに土地を開拓して領地を広げたい貴族の思惑に婚約破棄をした者達が乗っかったわけだ」
「まあ仕方がないですね。で私たちはどの開拓団に参加すればいいのですか?」
「北の草原地帯への開拓団だ。他は定員になったので締め切られている」
「これからだとかなりキツくなりますね」
「そうなるな。ただ、そこに俺とこちらの方々がついていくとなるとかなり違うはずだ」
「まさかギルマスがこの開拓団に参加するんですか?」
「ああ。そして今回子供達とこちらの方々のお子様との相性を確認するために預けてみたら」
「懐いた。というわけですね。でもテイムスキルは誰も持っていなかったはず」
「それについては、わたしから説明しよう」とカルム様が言った。
「実は、人の言うテイムとは強制的に主従関係を構築できるスキルのことで、本来はお互いを受け入れることができれば我らの加護がつくものなのだ」
「ではこの度薬草採取にいった子供達にはその加護が?」
「それについては改めて鑑定をしなければならないが、シスター・ジョエル。あなたにカルム様との絆をもってもらい加護を受けて貰えないだろうか」とガントに言われた
「レオン様ではいけないのですか?」と聞くと
「私と絆を結び加護をもらった。この先開拓団で必要となる力を底上げをさせてもらうのにちょうど良かった」
「俺も子供のそばにいられるしな」そう言ってレオン様は笑った。
「わかりました。カルム様よろしくお願いします」そういうとカルム様から何か温かい物が流れてきてそれを私からカルム様にお返しすること数秒。気がつくとそれまで使えなかった水属性の魔法ができるようになっていた。
みんなで晩ご飯を食べ、採取依頼で明日も出かける子供たちが何やら仕掛けを作っていると、教会の方から声が掛かった。
「ハイ。どなたでしょう?」私が孤児院との境の扉をかけて出ていくと3人の大人が立っていた。
「ギルマス、いつも子供達がお世話になっています。今日はこちらの方たちの案内で?」そう先頭に立ってこちらに来たガントに声をかけた。
「それはついでというか…まあ子供達にも話さなければならないのだが、大人達で話そうと思ってな」そう言ったので
「教会でお話ししましょう。もう誰も信者の方は来られないでしょうから」と教会のドアに鍵をかけた。
「緊急の時はどうするんだ?」と獣人らしき方が言われたので
「緊急の時は、裏の孤児院に回るようになっていますから。でこちらの方々が今私たちがあづかっている魔獣の子供たちの親ですか?」
「ああ。わたしはドラゴンで名はカルム。水属性だ」と水色の瞳を持った銀髪の麗人が言った。
「俺はフェンリルで名はレオン。見ての通り獣人になれる」
「はじめまして。こちらの教会と裏にある孤児院を預かりますシスター・ジョエルと申します。お預かりしているお子様たちをお返しするということで宜しかったでしょうか?」と尋ねると
「そのことでちょっと俺の話を聞いてくれ。先頃学園のパーティーで第3王子が婚約破棄を突きつけて廃嫡騒ぎのうえ開拓団に参加するっていう話は子供たちから聞いているよな」
「ええ。それぞれ関わり合ったものをバラバラの開拓団に入れて1週間後に出発とか」
「実はそれに伴ってこの辺りの再開発を国がすると言ってたちのきするように言ってきたんだ」
「まさか小さな子供たちに開拓団に参加するようにというのではないですよね」
「さすがに、5歳未満はギリギリ王都の一角に孤児院を新たに作るのでそこに集めるよう言われているが、それでももう満員だという噂だ」
「まさか王都にある全ての孤児院を閉鎖したわけではないでしょうね」
「そのまさかだ。さすがに赤ん坊は連れて行かれないので、優先的に入れたのだがここは対象外だと言われてしまった。すまん」確かにうちは3歳が最年少だからといって連れていくとなると…
「どちらにしてもスラム街を一掃したい国と、新たに土地を開拓して領地を広げたい貴族の思惑に婚約破棄をした者達が乗っかったわけだ」
「まあ仕方がないですね。で私たちはどの開拓団に参加すればいいのですか?」
「北の草原地帯への開拓団だ。他は定員になったので締め切られている」
「これからだとかなりキツくなりますね」
「そうなるな。ただ、そこに俺とこちらの方々がついていくとなるとかなり違うはずだ」
「まさかギルマスがこの開拓団に参加するんですか?」
「ああ。そして今回子供達とこちらの方々のお子様との相性を確認するために預けてみたら」
「懐いた。というわけですね。でもテイムスキルは誰も持っていなかったはず」
「それについては、わたしから説明しよう」とカルム様が言った。
「実は、人の言うテイムとは強制的に主従関係を構築できるスキルのことで、本来はお互いを受け入れることができれば我らの加護がつくものなのだ」
「ではこの度薬草採取にいった子供達にはその加護が?」
「それについては改めて鑑定をしなければならないが、シスター・ジョエル。あなたにカルム様との絆をもってもらい加護を受けて貰えないだろうか」とガントに言われた
「レオン様ではいけないのですか?」と聞くと
「私と絆を結び加護をもらった。この先開拓団で必要となる力を底上げをさせてもらうのにちょうど良かった」
「俺も子供のそばにいられるしな」そう言ってレオン様は笑った。
「わかりました。カルム様よろしくお願いします」そういうとカルム様から何か温かい物が流れてきてそれを私からカルム様にお返しすること数秒。気がつくとそれまで使えなかった水属性の魔法ができるようになっていた。
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