婚約破棄は傍迷惑です。〜自由になりたい坊ちゃん王子と巻き込まれた修道女〜

旅立ち

一方教会前では

「なぜシスターは出ていったんだ。俺たちを見捨てたのか？」
「子供達を連れていくと言っていたが、この馬車じゃあ全員乗せられないぞ」など騒ぎ出した。
「とにかくどうしても移動できない方々以外は、自分が登録された開拓団が向かう方角の門へ移動して下さい」と留守を頼まれた騎士がいうと
「ここからどうやって移動するんだ？必要なものなんて簡単には俺たちは手に入れられないぞ」とリーダー格の一人がいうと皆”そうだ、そうだ”と言い始めた。
「必要な荷物は門のところで開拓団に参加する旨を伝えれば必要最低限のものが与えられる。それに3歳以上の小さい子供が参加する開拓団には移動のために馬車を仕立てることになっている。ここは小さい子供達がいるので自前で作ったらしい。本当に無理だというのなら門のところにいる受付に頼めば第二陣での移動が可能になる。こちらは第一陣とは違い女性や子供が主体となり、1日の移動距離が短くなっている」と別の騎士が答えた。
「おい、ロイ。そこまで話して良いのか？」と最初に話した騎士が聞くと
「大丈夫だ。スティア。これは前々から決まっていたことで文字が読めないものや聞き逃している奴の為に改めて説明するよう団長から指示が出ている」とロイが答えたので
「そういう事だから移動を始めてくれ。なお、第一陣は明日の朝出発だ。第二陣は2日後の予定だ。現地到着予定は第一陣が1～2ヶ月後、第二陣は3～4ヶ月後。無理な行程は組まれないので安心してくれ」そう言って本当に無理そうな人達以外を教会の前から移動させていった。


「ところでそこにいる大きな狼は？」残っていた人の中から馬車に繋がれているレオン様を見て怖々と聞いて来た。
「先ほどマイカ殿に聞いたのだが、彼女の従魔らしい。彼女以外のものの命令は聞かないのでマイカ殿が帰ってくるまで待っていてくれとのことだ」そうスティアが答えると
「本当に大丈夫なのか？」と声が上がって来たので困っていたら
「大丈夫です。彼は攻撃されなければ襲いません」トムたちがそう言ってそばから離れようとしないのを見てスラム街の住人たちも変に恐れて攻撃して怪我や亡くなるより、仲良くした方が益があると思ったのかそれ以上は言わなかった。