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天使降臨
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抱き締められていると青空を思わせるような爽やかな香りがして、思わず浅く吸い込んでしまう。
「大丈夫?」
ーーーー目線を上げると目に入ってきたのは綺麗な首筋だった。
滑らかなその肌はシルクみたいな艶感で見ただけで、すりすりしたくなる。
良い香りの発生源はここかもしれない。
染みひとつ無いそのきめ細かい肌はその辺の女性よりも余程綺麗で…
でもそれとは対照的に盛り上がった喉仏が男性であることを示していた。
何だかゾクゾクして、自分の首の後ろに鳥肌が立つ。
「ハゲ…むぐっ!」
心が落ち着かなくて、思わず反芻していた文章を口走ってしまった私は急いで口を手で防いだ。
何でよりによって ハゲ が出てきたかなー!
「ハゲ…?」
更に目線を上げ、綺麗なブルーの瞳と目が合った瞬間、頭の中で教会の鐘の音が響き渡った
天使様
この世に降り立った天使様がそこにはいらっしゃった。
すっと通った鼻筋に、ピンクの唇は朝露に濡れた花びらのよう。
ブロンドの髪は光輝き、素晴らしいキューティクルは天使の輪を作っていて、『あぁ、ほんとに天使っていたんだ』と思った。
ぼんやりその人の顔を見ていたら、後ろに引っ張られて別の腕に抱き留められた。
「レオン、すまない。妹を助けてくれてありがとう。」
抱き留めてくれたのはお兄様だった。
お兄様はまだぼんやりしている私を隣に立たせ、天使様に話しかけている。
天使様はレオン様と仰るのね!
ぼんやりしててもそこだけ聞き逃さなかった。
優秀だな私の耳!
「妹?あぁ!君がユリウスの妹君か。」
兄に背中をつつかれ、ハッとした私は天使様もといルーク様にご挨拶をした。
「私はユリウス・リネンブルグの妹、アリス・リネンブルグと申します。私の不注意でぶつかってしまい、大変申し訳ございませんでした!肩は大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だよ。それよりアリス譲は怪我はない?」
ぐふぅっ!
笑顔が神々しい!
あんな暴言を気にも留めずに笑顔を向けてくださるなんて!心根まで天使様なのですね!!!
「…お気遣い頂きありがとうございます。私は頑丈ですので大丈夫でございます!」
「頑丈…。プッ。」
ん?天使様笑った?と思って天使様を見ると何故か後ろを向いてしまわれた。
どうしたのかと思っていたら、天使様の後ろのご友人が笑い出した。
何だ!良かった~!
天使様に笑われたかと思ったわ!
それにしても後ろの方は天使様程ではないけれど、これまたすこぶる整ったお顔立ちをしている。
涼しげな目元と綺麗に伸ばされた髪は美しい深紅の色で髪は後ろに纏められていている。
クールな印象はお兄様と同じだけど、この方はクール&ワイルドって感じかしら?
笑顔が少し野性味があって、きっとこの笑顔を見たご令嬢はドキドキしてしまうに違いない。
お兄様はクール&ビューティーで彫刻みたいな美しさがあるから、触れたら壊れそうな儚さがあって遠くから見ていたい感じだけれど、この方は何だかオーラがすごくて別の意味で遠くから見ていたい感じだわ。
イケメンはイケメンを呼ぶのねぇ~なんて感心してたら、ワイルドさんが(←勝手にあだ名つけた)笑いを噛み殺しながら、お兄様に話しかけた。
「くくくっ。公爵令嬢が頑丈とは…。中々面白い妹さんですね。ユリウス」
「そうかい?アリスは少しお転婆だからな。少しぶつかった位ではびくともしないさ!(ドヤ顔)なぁ?アリス。 」
「そうですわね!流石に馬車とぶつかったら怪我をすると思いますが、人間なら問題ありません!(ドヤ顔)」
「馬車…プッ。」
私がご安心ください!と言わんばかりに天使様を見つめると、また天使様が後ろを向いてしまわれた。
あれ?嫌われてないよね?
「いや、そう言うことが言いたいわけでは無いんだが…。そんな得意気な顔されても…くくっ、兄妹揃って面白いな。」
ワイルドさんは笑い上戸らしい。
見た目によらずフレンドリーな方なのですね!
「コホン、失礼しました。私はリンゼイ・ウォルトン。以後お見知りおきを、頑丈なお嬢さん。」
「…?こちらこそ宜しくお願い致します。リンゼイ・ウォルトン様。」
ウォルトン家と言えば我が家に次ぐ力を持つ公爵家じゃないの!
噂ではとても優秀でいらっしゃって、いずれは王子さまの側近として働くんだとか。
もちろん、お兄様もですけれどね!
でも何だかからかわれている様な気が…
先程からこの方、笑顔は柔らかいんですけど、全然思考が読み取れませんわ。
うちの執事のアランみたい。
ワイルドさんの透視を早々に諦めた私は天使様ウォッチングを始めることにした。
はうぅ~!
ワイルドさんと違って笑顔が可愛えぇのぅ!
ずっと見ていたい
そうして、私は付け焼き刃で覚えた挨拶をすっかり忘れてしまうのであった。
「大丈夫?」
ーーーー目線を上げると目に入ってきたのは綺麗な首筋だった。
滑らかなその肌はシルクみたいな艶感で見ただけで、すりすりしたくなる。
良い香りの発生源はここかもしれない。
染みひとつ無いそのきめ細かい肌はその辺の女性よりも余程綺麗で…
でもそれとは対照的に盛り上がった喉仏が男性であることを示していた。
何だかゾクゾクして、自分の首の後ろに鳥肌が立つ。
「ハゲ…むぐっ!」
心が落ち着かなくて、思わず反芻していた文章を口走ってしまった私は急いで口を手で防いだ。
何でよりによって ハゲ が出てきたかなー!
「ハゲ…?」
更に目線を上げ、綺麗なブルーの瞳と目が合った瞬間、頭の中で教会の鐘の音が響き渡った
天使様
この世に降り立った天使様がそこにはいらっしゃった。
すっと通った鼻筋に、ピンクの唇は朝露に濡れた花びらのよう。
ブロンドの髪は光輝き、素晴らしいキューティクルは天使の輪を作っていて、『あぁ、ほんとに天使っていたんだ』と思った。
ぼんやりその人の顔を見ていたら、後ろに引っ張られて別の腕に抱き留められた。
「レオン、すまない。妹を助けてくれてありがとう。」
抱き留めてくれたのはお兄様だった。
お兄様はまだぼんやりしている私を隣に立たせ、天使様に話しかけている。
天使様はレオン様と仰るのね!
ぼんやりしててもそこだけ聞き逃さなかった。
優秀だな私の耳!
「妹?あぁ!君がユリウスの妹君か。」
兄に背中をつつかれ、ハッとした私は天使様もといルーク様にご挨拶をした。
「私はユリウス・リネンブルグの妹、アリス・リネンブルグと申します。私の不注意でぶつかってしまい、大変申し訳ございませんでした!肩は大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だよ。それよりアリス譲は怪我はない?」
ぐふぅっ!
笑顔が神々しい!
あんな暴言を気にも留めずに笑顔を向けてくださるなんて!心根まで天使様なのですね!!!
「…お気遣い頂きありがとうございます。私は頑丈ですので大丈夫でございます!」
「頑丈…。プッ。」
ん?天使様笑った?と思って天使様を見ると何故か後ろを向いてしまわれた。
どうしたのかと思っていたら、天使様の後ろのご友人が笑い出した。
何だ!良かった~!
天使様に笑われたかと思ったわ!
それにしても後ろの方は天使様程ではないけれど、これまたすこぶる整ったお顔立ちをしている。
涼しげな目元と綺麗に伸ばされた髪は美しい深紅の色で髪は後ろに纏められていている。
クールな印象はお兄様と同じだけど、この方はクール&ワイルドって感じかしら?
笑顔が少し野性味があって、きっとこの笑顔を見たご令嬢はドキドキしてしまうに違いない。
お兄様はクール&ビューティーで彫刻みたいな美しさがあるから、触れたら壊れそうな儚さがあって遠くから見ていたい感じだけれど、この方は何だかオーラがすごくて別の意味で遠くから見ていたい感じだわ。
イケメンはイケメンを呼ぶのねぇ~なんて感心してたら、ワイルドさんが(←勝手にあだ名つけた)笑いを噛み殺しながら、お兄様に話しかけた。
「くくくっ。公爵令嬢が頑丈とは…。中々面白い妹さんですね。ユリウス」
「そうかい?アリスは少しお転婆だからな。少しぶつかった位ではびくともしないさ!(ドヤ顔)なぁ?アリス。 」
「そうですわね!流石に馬車とぶつかったら怪我をすると思いますが、人間なら問題ありません!(ドヤ顔)」
「馬車…プッ。」
私がご安心ください!と言わんばかりに天使様を見つめると、また天使様が後ろを向いてしまわれた。
あれ?嫌われてないよね?
「いや、そう言うことが言いたいわけでは無いんだが…。そんな得意気な顔されても…くくっ、兄妹揃って面白いな。」
ワイルドさんは笑い上戸らしい。
見た目によらずフレンドリーな方なのですね!
「コホン、失礼しました。私はリンゼイ・ウォルトン。以後お見知りおきを、頑丈なお嬢さん。」
「…?こちらこそ宜しくお願い致します。リンゼイ・ウォルトン様。」
ウォルトン家と言えば我が家に次ぐ力を持つ公爵家じゃないの!
噂ではとても優秀でいらっしゃって、いずれは王子さまの側近として働くんだとか。
もちろん、お兄様もですけれどね!
でも何だかからかわれている様な気が…
先程からこの方、笑顔は柔らかいんですけど、全然思考が読み取れませんわ。
うちの執事のアランみたい。
ワイルドさんの透視を早々に諦めた私は天使様ウォッチングを始めることにした。
はうぅ~!
ワイルドさんと違って笑顔が可愛えぇのぅ!
ずっと見ていたい
そうして、私は付け焼き刃で覚えた挨拶をすっかり忘れてしまうのであった。
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