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第二話 女装青年で乱れ咲き
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オキツネサマは立ち上がり、パンパンと手を打ち鳴らした。スタンディングオベーションだ。
「いいね、二人共。とっても、いいよ。いい。すごく、いい…いいね!!」
「「うるせぇ!!」」
イチとジロは声を揃えて叫んだ。二人はフリフリ甘めの色違いのワンピースを着せられている。前回の女装AVを引きずってのこれだった。女装も大概だが今回、以前とは大きく異なる部分がある。
「「なんでわしら、大人なんじゃ!」」
イチとジロは成人男性になっていた。
「成人男性というか20代後半から30代前半…具体的には29歳のイチとジロだよ」
「ごちゃごちゃ言うて結果29歳なんかい。最初からそう言え」
「待て待て待て。29歳の儂らの女装、きついじゃろ。なんで子供の頃の儂らじゃないんじゃ。きついじゃろ、きついって、俺もお前も!」
ジロは顔を覆って崩れ落ちた。まだ、初めてオキツネサマと致した年齢のほうが似合っていただろう。化粧もカツラもなく女の子の服を着ただけの成人男性のキツさといったらなかった。
男の娘プレイをしようというオキツネサマから逃げようとした。しかし、指を打ち鳴らされた途端に女装していた上に姿は大人になっていた。
「おいおい、儂は似合っとるじゃろ」
「お前、鏡見ろ!きっついわ!」
「あ、鏡ね。はい、どうぞ」
オキツネサマが指を鳴らす。イチとジロの前には大きな姿見が現れた。そこにいたのは女性のワンピースを着た剥き身の成人男性だった。
「きっっっっつ!!」
「だから言うたじゃろ。言うて儂もきっついわ。29歳でやる格好じゃねぇんじゃ」
「そんなことないよ?倒錯的でとてもムラムラするよ。この頃のイチとジロは、子供が大きくなり始めて仕事に邁進してた時期だったね。部下も出来てイキリ倒してた頃だね」
「イキリ…おい、やめろ。イキリ倒してたとか。やめろ」
「そうじゃ、妻も子供も部下もいたあの頃の儂…何をやらされとるんじゃ」
ジロは鏡から顔を背けた。見続けるのはしんどすぎる。ジロの言葉に、イチもはっとした。
「妻も子供も…そうじゃ、儂、こんな格好しとる場合じゃないじゃろ…儂には妻と子供が…スエちゃん!許してくれ、こんな儂を、許してくれぇ!」
「儂もじゃ!すまん、ミヨちゃん!これは、違うんじゃ、儂の願望じゃないんじゃ!」
「あ、奥さんね。夢枕に立って聞いてみたら『お好きにどうぞ~』だって。二人共。まだまだこっちには来ないし、なんなら新しい恋始まってるから気にしないでって」
「スエちゃん!」
「ミヨちゃん!」
イチとジロは膝から崩れ落ちた。苦楽を共にしてきた最愛の妻は新しいパートナーとよろしくやっているらしい。まだ現世を立ってそれほど経っていないはずだが。女性達の立ち直りというか切り替えの速さは爆速だ。イチとジロはちょっと立ち直れない。
オキツネサマは二人のそばに歩み寄り、自らの顎を片手でなぞりながら二人を見下ろす。
「いいね~ショタもいいけど、今のほうが断然いいね。油の乗り始めた成人男性…実に性的だね。いいね!」
「ほんっとうるせぇ!なんか、べらべら喋っとるぞ、この男」
「イチ…オキツネサマ、だいぶ興奮しとらんか?これ…」
イチに声をかけて、ジロはじりじりと後退した。先日の比ではない。オキツネサマはあからさまに、イチとジロに欲情している。
オキツネサマはぺろりと自らの唇を舐め上げた。金色の瞳の中心がキュウっと縮む。ギラついたオキツネサマに、イチも気づいて逃げを打った。
「ごめんね。この前とは比べ物にならないくらい興奮してる。あんま手加減できないと思うから、先に謝っとくね。ごめんね?」
「謝りゃいいってもんじゃな…ジロ!?」
「はぇ?」
イチとジロは同時に駆け出した。駆け出したはずだが、オキツネサマに捕まった。捕まったのはジロだ。背後からオキツネサマに抱きしめられている。走っているはずのイチは足を動かしているが、まったく前に進まない。オキツネサマの不思議な力が働いているようだ。
「この前はイチからだったから、今日はジロからね。イチ、見ていいけど自分で気持ち良くなっちゃ駄目だよ」
「見んわ、そんなもん。男と男のまぐわいなんぞ、見てられんわ」
「は?い、いつの間に…あ、ちょ!スカートの中、やめっ!待て、あ、やめ、」
「期待してた?ジロ。ちょっと硬くなってる」
ジロのスカートに入り込んだオキツネサマの右手は、女性用の可愛らしい小さなショーツを押し上げるジロの半立ちのそれを包んだ。軽く擦っただけで出た先走りが潤滑剤となりヌチョヌチョと音を立てている。あまりに卑猥な音に、ジロは首を横にふった。
「音、すごいね」
「ちが、オキツネサマ、の、ローショ…っ、ふぅ、ぅ…」
「俺はまだなにもしてないよ?ジロの、えっちなお汁の音だよ」
「あーっ!だめ、さきっぽ、だめ…っ!んくっ、く、くぅうっ」
布越しに先端を擦られて、ジロは腰を前後に振りながらショーツのなかに放ってしまった。立ったままのジロは足に力が入らず、背後のオキツネサマにくったりと体を預ける。
「ジロ、自分でスカートを捲ってみてご覧。どうなっちゃってるかな?」
「いいね、二人共。とっても、いいよ。いい。すごく、いい…いいね!!」
「「うるせぇ!!」」
イチとジロは声を揃えて叫んだ。二人はフリフリ甘めの色違いのワンピースを着せられている。前回の女装AVを引きずってのこれだった。女装も大概だが今回、以前とは大きく異なる部分がある。
「「なんでわしら、大人なんじゃ!」」
イチとジロは成人男性になっていた。
「成人男性というか20代後半から30代前半…具体的には29歳のイチとジロだよ」
「ごちゃごちゃ言うて結果29歳なんかい。最初からそう言え」
「待て待て待て。29歳の儂らの女装、きついじゃろ。なんで子供の頃の儂らじゃないんじゃ。きついじゃろ、きついって、俺もお前も!」
ジロは顔を覆って崩れ落ちた。まだ、初めてオキツネサマと致した年齢のほうが似合っていただろう。化粧もカツラもなく女の子の服を着ただけの成人男性のキツさといったらなかった。
男の娘プレイをしようというオキツネサマから逃げようとした。しかし、指を打ち鳴らされた途端に女装していた上に姿は大人になっていた。
「おいおい、儂は似合っとるじゃろ」
「お前、鏡見ろ!きっついわ!」
「あ、鏡ね。はい、どうぞ」
オキツネサマが指を鳴らす。イチとジロの前には大きな姿見が現れた。そこにいたのは女性のワンピースを着た剥き身の成人男性だった。
「きっっっっつ!!」
「だから言うたじゃろ。言うて儂もきっついわ。29歳でやる格好じゃねぇんじゃ」
「そんなことないよ?倒錯的でとてもムラムラするよ。この頃のイチとジロは、子供が大きくなり始めて仕事に邁進してた時期だったね。部下も出来てイキリ倒してた頃だね」
「イキリ…おい、やめろ。イキリ倒してたとか。やめろ」
「そうじゃ、妻も子供も部下もいたあの頃の儂…何をやらされとるんじゃ」
ジロは鏡から顔を背けた。見続けるのはしんどすぎる。ジロの言葉に、イチもはっとした。
「妻も子供も…そうじゃ、儂、こんな格好しとる場合じゃないじゃろ…儂には妻と子供が…スエちゃん!許してくれ、こんな儂を、許してくれぇ!」
「儂もじゃ!すまん、ミヨちゃん!これは、違うんじゃ、儂の願望じゃないんじゃ!」
「あ、奥さんね。夢枕に立って聞いてみたら『お好きにどうぞ~』だって。二人共。まだまだこっちには来ないし、なんなら新しい恋始まってるから気にしないでって」
「スエちゃん!」
「ミヨちゃん!」
イチとジロは膝から崩れ落ちた。苦楽を共にしてきた最愛の妻は新しいパートナーとよろしくやっているらしい。まだ現世を立ってそれほど経っていないはずだが。女性達の立ち直りというか切り替えの速さは爆速だ。イチとジロはちょっと立ち直れない。
オキツネサマは二人のそばに歩み寄り、自らの顎を片手でなぞりながら二人を見下ろす。
「いいね~ショタもいいけど、今のほうが断然いいね。油の乗り始めた成人男性…実に性的だね。いいね!」
「ほんっとうるせぇ!なんか、べらべら喋っとるぞ、この男」
「イチ…オキツネサマ、だいぶ興奮しとらんか?これ…」
イチに声をかけて、ジロはじりじりと後退した。先日の比ではない。オキツネサマはあからさまに、イチとジロに欲情している。
オキツネサマはぺろりと自らの唇を舐め上げた。金色の瞳の中心がキュウっと縮む。ギラついたオキツネサマに、イチも気づいて逃げを打った。
「ごめんね。この前とは比べ物にならないくらい興奮してる。あんま手加減できないと思うから、先に謝っとくね。ごめんね?」
「謝りゃいいってもんじゃな…ジロ!?」
「はぇ?」
イチとジロは同時に駆け出した。駆け出したはずだが、オキツネサマに捕まった。捕まったのはジロだ。背後からオキツネサマに抱きしめられている。走っているはずのイチは足を動かしているが、まったく前に進まない。オキツネサマの不思議な力が働いているようだ。
「この前はイチからだったから、今日はジロからね。イチ、見ていいけど自分で気持ち良くなっちゃ駄目だよ」
「見んわ、そんなもん。男と男のまぐわいなんぞ、見てられんわ」
「は?い、いつの間に…あ、ちょ!スカートの中、やめっ!待て、あ、やめ、」
「期待してた?ジロ。ちょっと硬くなってる」
ジロのスカートに入り込んだオキツネサマの右手は、女性用の可愛らしい小さなショーツを押し上げるジロの半立ちのそれを包んだ。軽く擦っただけで出た先走りが潤滑剤となりヌチョヌチョと音を立てている。あまりに卑猥な音に、ジロは首を横にふった。
「音、すごいね」
「ちが、オキツネサマ、の、ローショ…っ、ふぅ、ぅ…」
「俺はまだなにもしてないよ?ジロの、えっちなお汁の音だよ」
「あーっ!だめ、さきっぽ、だめ…っ!んくっ、く、くぅうっ」
布越しに先端を擦られて、ジロは腰を前後に振りながらショーツのなかに放ってしまった。立ったままのジロは足に力が入らず、背後のオキツネサマにくったりと体を預ける。
「ジロ、自分でスカートを捲ってみてご覧。どうなっちゃってるかな?」
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