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第六部 あの二人ってどうなの?編

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これだけの豪邸だともしかしたらドレスコードがあるのではないか。友達の家に来るのに正装をするなんて考えも経験も二人にはなかった。彩葉と楓はくっついて小さな声で話し合う。
間もなく紅葉が姿を表した。今日は男の姿だった。
「お呼び立てしてしまい、申し訳ありません。私の部屋に行きましょう」
「は、はひ…あの、本日はお日柄もよく、」
「あ、いい、お天気ですね!」
「そうですね…?」
紅葉は首を傾げて先を歩く。彩葉と楓はキョロキョロと周りを見ながら歩いた。
「楓、俺を置いていくなよ」
「彩葉さんも、置いてかないで下さいね」
「でも俺が転んだら先に行け。たぶんあの窓から犬が飛び込んでくる。楓、お前は生きろ」
「駄目ですよ彩葉さん!一人にしないで下さい!どこかにきっと緑の葉っぱが…!」
「すみません、うちはあの洋館ではないです」
彩葉と楓がしばらく廊下を歩いた先にある扉を抜けると、広い部屋に通された。壁一面の本棚とソファやテーブルセットなど、広さもすごいが調度品も質の良い高級品だと一目でわかった。
「どうぞ、お好きなところに腰を掛けて下さい」
紅葉に促されて二人はソファに並んで腰かけた。気がつけば二人はどちらからともなくぎゅっと手を繋いでいた。広い室内で彩葉と楓は、小さくなって借りてきたネコになっていた。
「紅葉、ここ、お前の部屋?」
「そうです」
「あの、私服な上に、手土産もないのですが」
「お気にせず。友人をお呼びしたのですから。そのようなものは不要です。どうぞ、ゆっくりくつろいでください」
使用人がお茶を運んできてソファの前のテーブルに並べて去っていく。そのテーブルを挟んでソファの向かいに置かれた椅子に紅葉は座っていた。使用人が去って室内が三人だけになると、彩葉と楓はやっと肩の力を抜いた。それでもまだ手を繋いでいる姿を紅葉はじっと見ていた。紅葉よりも小さい二人が寄り添って座っている。改めて並んでいる姿をみると、二人は似たような背格好をしていた。黙っていれば可愛らしい彩葉と口を開いても可愛い楓に、紅葉はうずうずと心がうずいた。
二人はやっと繋いでいた手を離してテーブルのカップに手を付けた。
「これ何?紅茶?うまくね?」
「ハーブティーですかね?美味しいですね~ほっこりします」
「ちょ、お前、離れろよぉ~」
「だってぇ、おっきい部屋で不安なんですよぉ~」
「これは良い百合」
「は?なんて?」
「ゆり?誰ですか?」
紅葉はうっかり心の声を漏らしてしまった。彩葉と楓はわざと肩を押し付け合って笑い合っていた。今日は聞きたいことがあったが、他の目的も達成させようと改めて決意する。
「すみません、独り言です。実は今日、お聞きしたいことがあってお呼びしました。生理についてなのですが」 
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