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【最終章.いざなみさまごっこ】
【二十七.決戦】
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熾神月子が私たちを見た。
「そこにいるのは『私』と茜ね。……ずっとそこに居てくれたのね」
うん、そうだよ。私は答える。
『決着を付けに来たんだね』
熾神月子は、茜の問いに答える。
「そんなにかっこいいもんじゃないわ。……ただ、決めたの。この子とのケリをつけてから死ぬって」
「あら、これは心外」
ぼぼぼっ、と熾神月子の三メートル眼前に火柱が上がり、それは見る間にヒトの形になっていく。地獄の色を映し出した真紅のドレス。信者たちから吸い上げた巨万の富で出来た金のシニヨン。伊佐波・スカーレット・美影がこの世に再び顕現した。
「わたしが欲しいのはあの子。その車ですやすやと眠っている、朝陽ちゃんただひとり。死にたがりのおきがみつきこちゃん。貴女は」
にい、と口角を上げ、不敵に笑う。
「そこで灰になってなさい!」
ごおおっ! 笑うのと右手から火炎放射が出るのは同時だった。一方の熾神月子はなんの準備も出来ていなかったらしい。無防備に手で顔を覆って目を瞑っていた。美影の炎を遮ったのは、茜から出た炎だった。
『お姉ちゃん! 苦痛から目をそらしちゃダメ! 五十六回目のいざなみさまごっこに、今夜こそ決着を!』
「あら茜ちゃん。だめよお、ふたりの邪魔しちゃあ」
にやりと不敵に笑う。
「次は、ないわよ?」
「だああぁぁあ!」
次に飛びかかったのは熾神月子。両の手には炎を真っ赤にたぎらせて。百六十ある熾神月子とせいぜい百二十センチの美影。飛び道具では分が悪くても、肉弾戦なら熾神月子の方が上。──しかし。
「あら」
熾神月子が薙ぎ払った場所にいたはずの美影は、瞬間的に一メートル後ろに下がっていた。近接戦闘をしてくると読まれていたのだ。……ぼんっ。
「がはぁっ」
胴体中央で火球が炸裂して、お腹に二度の熱傷を負った。
「まだまだぁ!」
「あらあら」
ぼんっぼんっ、ぼんっ!
「ワンパターンねえ、つまらないわぁ」
腹部に二箇所、背中に三箇所、腕に一箇所、脚に二箇所。あっという間に身体中に火傷を負わされた。
ぐっ。ものの一分で、熾神月子は膝をついた。
「あんまりつまんないんだもの。あくびが出ちゃう。だからぁ、こういうのはどうかしら?」
言い終わると同時に左手から火炎放射を出した。それは朝陽ちゃんの乗ってる車を標的にしていた。
『だめぇっ!』
そう叫んで飛び出したのは茜だった。妹は車と火炎放射の間に火の壁を作って、熾神月子の娘を守った。
「ふふ。茜ちゃん。全盛期の貴女ならともかく。肉体を失った今、どこまで耐えられるかしら?」
『くぅっ』
炎の壁はみるみる痩せていく。
「大サービスよ、おきがみつきこちゃん。このまんま、戦ってあげる。さあ、来てみなさいな」
◇
「そこにいるのは『私』と茜ね。……ずっとそこに居てくれたのね」
うん、そうだよ。私は答える。
『決着を付けに来たんだね』
熾神月子は、茜の問いに答える。
「そんなにかっこいいもんじゃないわ。……ただ、決めたの。この子とのケリをつけてから死ぬって」
「あら、これは心外」
ぼぼぼっ、と熾神月子の三メートル眼前に火柱が上がり、それは見る間にヒトの形になっていく。地獄の色を映し出した真紅のドレス。信者たちから吸い上げた巨万の富で出来た金のシニヨン。伊佐波・スカーレット・美影がこの世に再び顕現した。
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にい、と口角を上げ、不敵に笑う。
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ごおおっ! 笑うのと右手から火炎放射が出るのは同時だった。一方の熾神月子はなんの準備も出来ていなかったらしい。無防備に手で顔を覆って目を瞑っていた。美影の炎を遮ったのは、茜から出た炎だった。
『お姉ちゃん! 苦痛から目をそらしちゃダメ! 五十六回目のいざなみさまごっこに、今夜こそ決着を!』
「あら茜ちゃん。だめよお、ふたりの邪魔しちゃあ」
にやりと不敵に笑う。
「次は、ないわよ?」
「だああぁぁあ!」
次に飛びかかったのは熾神月子。両の手には炎を真っ赤にたぎらせて。百六十ある熾神月子とせいぜい百二十センチの美影。飛び道具では分が悪くても、肉弾戦なら熾神月子の方が上。──しかし。
「あら」
熾神月子が薙ぎ払った場所にいたはずの美影は、瞬間的に一メートル後ろに下がっていた。近接戦闘をしてくると読まれていたのだ。……ぼんっ。
「がはぁっ」
胴体中央で火球が炸裂して、お腹に二度の熱傷を負った。
「まだまだぁ!」
「あらあら」
ぼんっぼんっ、ぼんっ!
「ワンパターンねえ、つまらないわぁ」
腹部に二箇所、背中に三箇所、腕に一箇所、脚に二箇所。あっという間に身体中に火傷を負わされた。
ぐっ。ものの一分で、熾神月子は膝をついた。
「あんまりつまんないんだもの。あくびが出ちゃう。だからぁ、こういうのはどうかしら?」
言い終わると同時に左手から火炎放射を出した。それは朝陽ちゃんの乗ってる車を標的にしていた。
『だめぇっ!』
そう叫んで飛び出したのは茜だった。妹は車と火炎放射の間に火の壁を作って、熾神月子の娘を守った。
「ふふ。茜ちゃん。全盛期の貴女ならともかく。肉体を失った今、どこまで耐えられるかしら?」
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