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2 逃げきれず
しおりを挟む思えばこの悪魔に出会った時から私の人生はおかしくなったと思う。
10歳のころ王宮に貴族の子供たちが集められた。
男爵から公爵まで10歳になる男女だ。
貴族の子供として認めてもらうためのパーティだ。
いずれ学院に通うことになる子供たちが顔見知りを作る、という意味合いも持っていた。
何故かそこに2歳上のはずの第2王子がやってきた。
後で聞けば側近候補を各学年で見極めていたらしい。
王子の登場に男女問わず盛り上がっている。
どんな素敵な王子だろうと背伸びして見たとき、王子と目があった。
ぞわわ~っと悪寒が走った。
やばい、こいつはかなりやばい奴だ。
絶対近付いてはいけない。
王子の周りには黒い羽根が舞っているようにみえた。
そのオーラは真っ黒だ。
冷汗が止まらない。
そろり、そろりと後ろに下がり、距離をとる。
無事に逃げられた、庭園の人気のない場所まで気配を殺して移動してきたのだ。
周囲には誰もいない。
ほっと一息ついたところに、背後に気配を感じた。
そ~っっと振り返るとなんと悪魔が!
「ひぃぃ~~」
思わず叫んでしまう。
「お前・・・」
「お許しください、おゆるしください」
「なんでそんなに怯えてるんだ?」
「ひぃいい、おたすけ~」
「おい」
どす黒いオーラが見える。
完全に怯え切っていた私は王子の護衛に連れていかれ、王宮の医務室で休ませてもらった。
そのまま自宅に送ってもらえた。
時間より早く戻って来たことで母は驚いたようだったが、送ってくれた御者さんが体調を崩したようだと伝えてくれたため、王子に怯えた、という話をしなくて済んだ。
朝、昨日の事もあり、今日1日のんびり過ごそうとベットの中でゴロゴロを満喫していると、バーンと部屋の扉がいきなり開いた。
「????」
驚きのあまり声も出ないでいると父母が飛び込んできた。
「セラ、王家から手紙が」
「あなた昨日第2王子殿下に会ったの??」
「そんな事より、早く支度を」
「そうだわ、早く起きて、急いで王宮に行かなきゃ」
二人がかわるがわる大声で叫ぶ。
何が何だか?と、わけのわからないままにベットから引き出され、風呂に放り込まれ使用人総出で洗われる。お出かけ用にと大事に来ているワンピースを着せられ、馬車に乗せられた。
馬車には青い顔をした父母。
お茶会に出るかのような装いだ。
「あの、父様、母様今日は何をしに行くんでしょう?」
その後父から聞かされた話に私は白目をむいて固まってしまった。
何と、第2王子から側近候補としてご指名を受けてしまったのだ。
まだ10歳の為、顔合わせと説明を兼ねて両親とともに呼び出されたらしい。
なんでだよ。
あんな怖いオーラに関わり合いになりたくないっつーんだよ。
「それっておことわり「できるわけないだろう!」」
「昨日王宮で何をしたの?第2王子殿下にお目にかかったの?」
「会ったというか、見たっていうか、・・・でも本当に何も喋ってないし、なんで呼ばれたのかな?
あれ?私名乗ってないのにどうして手紙が?」
「セリ、あなた昨日王宮の馬車で帰宅したのよ?
どこのだれかわからないのに送ってこられないでしょう」
全く持って母の言う通りだが、名乗ってないのに何故だ?
謎だ。
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