セリと王子

田中ボサ

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35 悪魔から逃げたい、再び

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  結局じいさんは駆けつけた保険医の先生になだめられ、連れていかれた。

そのまま、何事もなかったように、平和だった。

アーニャ嬢がどうなったのか、じいさんはどこに連れていかれたのか、全く不明だ。



ブルック領はどうなったのだろう。

ウェステリアは手伝ってくれることになったんだろうか?

何にもわからないから、もやもやする。



「どうなったのか本当に知らないんですか?」

「本当に知らないんだよ、保険医の先生にも聞いてみたんだが、体調が落ち着いてからは、どこかから現れた騎士たちと移動していったらしいんだ」

「アーニャ嬢は?」

「反省室にはもういないらしい」

「え!」

「どこに行ったのかはわからないが、学園にはもう来ないそうだ」

なんだよそれ~、全然わからんじゃん。

「じゃあ、ブルック領は?大丈夫なんですか?」

「さあ?」

「さあ?って、クロード様詳しかったじゃないですか、その後の事は知らないんですか?」

「私はアレク殿下からブルック領の災害の話を聞いたことがあっただけだよ」

どうなってんだ??

結局誰に聞いてもはっきりしたことは何もわからなかった・・・。



もやりながら自分の部屋でクッションを相手に愚痴っていたところ、バーンと部屋の扉がいきなり開いた。

「????」

驚いていると父母が飛び込んできた。

あれ?なんか前もこんな場面なかったっけ?



「セラ、王家から手紙が」

「何をしたの?」

「とにかく支度をしなければ!」

「そうだわ、明日は早く起きて王宮に行かなきゃ」

二人がかわるがわる大声で叫ぶ。

う~ん、やはり前と同じだぞ。

ただし、今回はちょっと違う。

呼び出しは明日の午前中。

十分時間があると思うんだけど・・・。

「何言ってるの!間に合わないわよ!!」

風呂に放り込まれ使用人総出で洗われる。

またかよ。

今回はドレスを準備されている。

どっから出したんだ?

「王宮の使者が手紙と一緒に持ってきてくださったのよ」

誰からだ?

「さぁ、もう寝るのよ!」

早いよ、夕飯を食べたら速攻で部屋に放り込まれ、消灯されてしまった・・・。



次の日の朝も早うから準備をされる。

何しに行くのかもわからないのに、なんでこんなにおめかしするんだってば。

その質問には「しらないわよ」だそうで・・・。

王宮からドレスが来たからおめかししないといかん、という理論らしい。



出発、馬車には青い顔をした父母。

「あの、父様、母様今日は何をしに行くんでしょう?」

「わからんのだ」

「手紙になんかかいてあったでしょ?」

「それが、時間と場所が指定してあって、セリーヌの事で話があるので登城するように、とだけ」

「私の話?」

「セリ、貴女本当に何も覚えがないの??」

ない、ないったらない!



王宮につくと、渋いオジサンが待っていた。

見たことのない人、なんだけど、どっかで見た気がする。

連れていかれたのは、王妃様のサロン・・・。

なんでこんな所に?



案内されて、私を真ん中に挟んで父母が両側に座る。

あまりの場違い間に3人でぎゅっと小さくなる。

ああ、これも覚えがある。

10歳で呼ばれた時だ。

だけど、あの時よりは私は王宮に慣れているし、割と平気だ。



「セリ、あの時よりも立派になって・・」

父様が涙声でささやいてくる。

「そうね、きっと良い話だわ」

母様も小声で話してくる。



やがてノックがあり、第2王子殿下と王妃殿下が入室してきた。

前よりは落ち着いてカーテシーができる。



「顔を上げて」

王妃殿下の声に顔を上げる。

相変わらず美しいな。

横にはやはり禍々しい黒いオーラ。

安定だね。



全員が座ってから侍女さんがお茶を配ってくれた。

この人も知らない人なんだけど、なんか見たことある?



一口お茶を飲む。

さて、なんだろね?



「今日来てもらったのは、とても良い話なの」

ほうほう、良い話ですか。

「ちょっと待ってね」

そういって王妃様が合図をすると、扉があき、何と国王陛下が入ってきた!!

ぎゃ~、出た~~。

父様母様白目向いてるばあいじゃないぞ!!

急いで二人の背中をたたき、何とかカーテシーをする。

「顔を上げよ」

ひょえ~、貧乏男爵風情が会うことなんてありえない。

顔を上げると、座るように合図をされた。

なんでなんでなんで、なんで陛下まで???

なんか嫌な予感がしてきた。



「今日来てもらったのは、我が息子の願いでもある」

やはり悪魔か、お前のせいか。

うへぇ、ものすごい悪い顔で笑ってる。



「セリーヌ嬢をアレクセイの婚約者とする、これは議会での了承も得ておる。

つまり、内々での決定事項である」

はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~?

なんつった?今。



あ、やばい、父様が白目をむいて泡を吹いてる。

母様は・・・微動だにしない。

笑顔のまま固まってしまった。



二人の様子に笑いながら国王陛下と王妃殿下は、侍女さんたちと侍従さんたちに二人の介抱を指示した。

「セリーヌ、別室でアレクセイから詳しい話を聞くように」

ここで、まさかの悪魔と二人きり!!!

いやだ、いやだよぅ。

ゲッ、悪魔が笑いながら近づいてくる。

「セリ、おいで」

い~~~や~~~。

悪魔に連れられ私は別室に移動させられた。

父様、母様、助けて~~~。







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