【草】の錬金術師は辺境の地で【薬屋】をしながらスローライフを楽しみたい!

雪奈 水無月

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五章:ルーン砂漠大陸編

第50話 砂漠の世界樹

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第50話 砂漠の世界樹
 石扉が重々しく開き、
冷たい風がネムたちの頬を撫でた。

外の灼熱とは対照的に、
遺跡の中はひんやりとしている。

「……空気が違うね」

ネムが呟くと、
マーツは壁に刻まれた紋様を指でなぞった。

「この紋様……
 世界樹の根に刻まれていたものと似ています」

フェルは耳を立て、
奥から流れる魔力の気配を探る。

「主殿……
 この遺跡は“砂漠の世界樹”に関わる場所だ。
 魔力の流れが……まるで呼吸のように脈動している」

ネムは胸が高鳴るのを感じた。

(サンドリリウム……
 世界樹のポルカと似た魔力……
 そしてこの遺跡……)



遺跡の奥へ進むと、
巨大な石柱が立ち並ぶ広間に出た。

天井には砂漠の太陽を模した紋様。
床には古代文字が円を描くように刻まれている。

マーツが文字を読み上げる。

「“砂の命は大樹より分かたれしもの。
 大樹の影は世界を巡り、
 その欠片は大地に根付く”……」

ネムは息を呑んだ。

「……世界樹の“分身”……?」

フェルは静かに頷いた。

「主殿。
 世界樹は一つではない。
 大陸ごとに“命の源”が存在する。
 サンドリリウムは……
 この砂漠の大樹の欠片なのだ」

ネムは震える声で呟いた。

「じゃあ……
 この遺跡は……砂漠の世界樹の根元……?」

マーツがさらに文字を読み進める。

「“大樹の根を蝕むもの現れし時、
 命は枯れ、砂は死を運ぶ”……」

ネムの背筋に冷たいものが走った。

(魔力症……
 村を苦しめた異常魔力……
 全部……“大樹が蝕まれている”から……?)

フェルが低く唸った。

「主殿……
 奥から強い魔力が来る。
 これは……自然のものではない」



広間の奥へ進むと、
巨大な根のようなものが壁から突き出していた。

しかし――
その根は黒く染まり、
瘴気のようなものが滲み出ている。

ネムは息を呑んだ。

「これ……
 世界樹の根……?」

マーツは震える声で言う。

「魔力が……腐ってる……
 こんな状態……初めて見ました……」

フェルは牙を剥き、
根の奥を睨みつけた。

「主殿……来るぞ」

闇の中から、
黒い霧が渦を巻きながら姿を現した。

それは人の形をしているが、
輪郭は揺らぎ、
目だけが赤く光っている。

「……また……影……?」

ネムは震える声で呟いた。

影は低く、重い声で告げた。

「大樹の力……返せ……
 封印は……開かれねばならぬ……」

マーツが息を呑む。

「ネムさん……
 この声……世界樹の時と同じ……!」

フェルは前に出る。

「主殿、こやつは……
 “封印の門”の使者だ」

ネムは拳を握った。

(また……封印の門……
 どうして……世界樹を狙うの……?)

影は続けた。

「大樹の力は……門を開く鍵……
 欠片を集め……
 世界を……繋げる……」

ネムは叫んだ。

「そんなの……させない!!
 この大陸の命を……奪わせない!!」

影が動いた。

ズガァァァァァン!!

黒い衝撃波が広間を揺らし、
砂が舞い上がる。

フェルが前に飛び出し、
爪で衝撃を受け止めた。

「主殿、下がれ!!」

ネムは素材袋を握りしめた。

(この影を倒さないと……
 砂漠の世界樹が……死んじゃう……!)

マーツが魔力を構える。

「ネムさん……行きましょう!!」

ネムは頷いた。

「うん……!
 絶対に……守る!!」

こうして、
砂漠の世界樹を巡る戦いが始まった。
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