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五章:ルーン砂漠大陸編
第50話 砂漠の世界樹
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第50話 砂漠の世界樹
石扉が重々しく開き、
冷たい風がネムたちの頬を撫でた。
外の灼熱とは対照的に、
遺跡の中はひんやりとしている。
「……空気が違うね」
ネムが呟くと、
マーツは壁に刻まれた紋様を指でなぞった。
「この紋様……
世界樹の根に刻まれていたものと似ています」
フェルは耳を立て、
奥から流れる魔力の気配を探る。
「主殿……
この遺跡は“砂漠の世界樹”に関わる場所だ。
魔力の流れが……まるで呼吸のように脈動している」
ネムは胸が高鳴るのを感じた。
(サンドリリウム……
世界樹のポルカと似た魔力……
そしてこの遺跡……)
◆
遺跡の奥へ進むと、
巨大な石柱が立ち並ぶ広間に出た。
天井には砂漠の太陽を模した紋様。
床には古代文字が円を描くように刻まれている。
マーツが文字を読み上げる。
「“砂の命は大樹より分かたれしもの。
大樹の影は世界を巡り、
その欠片は大地に根付く”……」
ネムは息を呑んだ。
「……世界樹の“分身”……?」
フェルは静かに頷いた。
「主殿。
世界樹は一つではない。
大陸ごとに“命の源”が存在する。
サンドリリウムは……
この砂漠の大樹の欠片なのだ」
ネムは震える声で呟いた。
「じゃあ……
この遺跡は……砂漠の世界樹の根元……?」
マーツがさらに文字を読み進める。
「“大樹の根を蝕むもの現れし時、
命は枯れ、砂は死を運ぶ”……」
ネムの背筋に冷たいものが走った。
(魔力症……
村を苦しめた異常魔力……
全部……“大樹が蝕まれている”から……?)
フェルが低く唸った。
「主殿……
奥から強い魔力が来る。
これは……自然のものではない」
◆
広間の奥へ進むと、
巨大な根のようなものが壁から突き出していた。
しかし――
その根は黒く染まり、
瘴気のようなものが滲み出ている。
ネムは息を呑んだ。
「これ……
世界樹の根……?」
マーツは震える声で言う。
「魔力が……腐ってる……
こんな状態……初めて見ました……」
フェルは牙を剥き、
根の奥を睨みつけた。
「主殿……来るぞ」
闇の中から、
黒い霧が渦を巻きながら姿を現した。
それは人の形をしているが、
輪郭は揺らぎ、
目だけが赤く光っている。
「……また……影……?」
ネムは震える声で呟いた。
影は低く、重い声で告げた。
「大樹の力……返せ……
封印は……開かれねばならぬ……」
マーツが息を呑む。
「ネムさん……
この声……世界樹の時と同じ……!」
フェルは前に出る。
「主殿、こやつは……
“封印の門”の使者だ」
ネムは拳を握った。
(また……封印の門……
どうして……世界樹を狙うの……?)
影は続けた。
「大樹の力は……門を開く鍵……
欠片を集め……
世界を……繋げる……」
ネムは叫んだ。
「そんなの……させない!!
この大陸の命を……奪わせない!!」
影が動いた。
ズガァァァァァン!!
黒い衝撃波が広間を揺らし、
砂が舞い上がる。
フェルが前に飛び出し、
爪で衝撃を受け止めた。
「主殿、下がれ!!」
ネムは素材袋を握りしめた。
(この影を倒さないと……
砂漠の世界樹が……死んじゃう……!)
マーツが魔力を構える。
「ネムさん……行きましょう!!」
ネムは頷いた。
「うん……!
絶対に……守る!!」
こうして、
砂漠の世界樹を巡る戦いが始まった。
石扉が重々しく開き、
冷たい風がネムたちの頬を撫でた。
外の灼熱とは対照的に、
遺跡の中はひんやりとしている。
「……空気が違うね」
ネムが呟くと、
マーツは壁に刻まれた紋様を指でなぞった。
「この紋様……
世界樹の根に刻まれていたものと似ています」
フェルは耳を立て、
奥から流れる魔力の気配を探る。
「主殿……
この遺跡は“砂漠の世界樹”に関わる場所だ。
魔力の流れが……まるで呼吸のように脈動している」
ネムは胸が高鳴るのを感じた。
(サンドリリウム……
世界樹のポルカと似た魔力……
そしてこの遺跡……)
◆
遺跡の奥へ進むと、
巨大な石柱が立ち並ぶ広間に出た。
天井には砂漠の太陽を模した紋様。
床には古代文字が円を描くように刻まれている。
マーツが文字を読み上げる。
「“砂の命は大樹より分かたれしもの。
大樹の影は世界を巡り、
その欠片は大地に根付く”……」
ネムは息を呑んだ。
「……世界樹の“分身”……?」
フェルは静かに頷いた。
「主殿。
世界樹は一つではない。
大陸ごとに“命の源”が存在する。
サンドリリウムは……
この砂漠の大樹の欠片なのだ」
ネムは震える声で呟いた。
「じゃあ……
この遺跡は……砂漠の世界樹の根元……?」
マーツがさらに文字を読み進める。
「“大樹の根を蝕むもの現れし時、
命は枯れ、砂は死を運ぶ”……」
ネムの背筋に冷たいものが走った。
(魔力症……
村を苦しめた異常魔力……
全部……“大樹が蝕まれている”から……?)
フェルが低く唸った。
「主殿……
奥から強い魔力が来る。
これは……自然のものではない」
◆
広間の奥へ進むと、
巨大な根のようなものが壁から突き出していた。
しかし――
その根は黒く染まり、
瘴気のようなものが滲み出ている。
ネムは息を呑んだ。
「これ……
世界樹の根……?」
マーツは震える声で言う。
「魔力が……腐ってる……
こんな状態……初めて見ました……」
フェルは牙を剥き、
根の奥を睨みつけた。
「主殿……来るぞ」
闇の中から、
黒い霧が渦を巻きながら姿を現した。
それは人の形をしているが、
輪郭は揺らぎ、
目だけが赤く光っている。
「……また……影……?」
ネムは震える声で呟いた。
影は低く、重い声で告げた。
「大樹の力……返せ……
封印は……開かれねばならぬ……」
マーツが息を呑む。
「ネムさん……
この声……世界樹の時と同じ……!」
フェルは前に出る。
「主殿、こやつは……
“封印の門”の使者だ」
ネムは拳を握った。
(また……封印の門……
どうして……世界樹を狙うの……?)
影は続けた。
「大樹の力は……門を開く鍵……
欠片を集め……
世界を……繋げる……」
ネムは叫んだ。
「そんなの……させない!!
この大陸の命を……奪わせない!!」
影が動いた。
ズガァァァァァン!!
黒い衝撃波が広間を揺らし、
砂が舞い上がる。
フェルが前に飛び出し、
爪で衝撃を受け止めた。
「主殿、下がれ!!」
ネムは素材袋を握りしめた。
(この影を倒さないと……
砂漠の世界樹が……死んじゃう……!)
マーツが魔力を構える。
「ネムさん……行きましょう!!」
ネムは頷いた。
「うん……!
絶対に……守る!!」
こうして、
砂漠の世界樹を巡る戦いが始まった。
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