召喚士ギャル、異世界で無双っしょ!

雪奈 水無月

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第一話 ギャル、異世界へ

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光に包まれた次の瞬間、雪代希空(ゆきしろそら)は豪奢な大広間に立っていた。
天井は高く、壁には金の装飾。
周囲には見たこともない服装の貴族たちがずらりと並んでいる。

「……え、どこ? てか、なんでウチ見られてんの……?」

ギャルとはいえ女子高生。
数十の視線に、心臓がバクバクする。


✦ 

玉座の男が立ち上がり、威圧的に声を響かせた。

「我が名はローヴァン=アルデラン。この国の皇帝である」

突然の名乗りにソラは固まる。

「……あ、あの……」

「名乗りもせぬとは、不敬にも程がある!」

「えっ……!?」

怒号にソラは思わず背筋を伸ばした。

「ゆ、雪代希空……です……!」

皇帝は鼻で笑う。

「奇妙な名だ。見た目も軽薄で、どこの下賤の娘かと思ったわ」

(……は? 下賤って何? ウチ普通のJKなんだけど……)

イラッとしたが、ここがどこかも分からない。
ソラは唇を噛んで黙った。


✦ 

ふと横を見ると、見覚えのある制服の少年がいた。
別の高校の生徒らしい。

(……よかった、ウチだけじゃないんだ……)

少しだけ安堵する。


✦ 

大臣らしき男が前に出て説明を始めた。

「お二人は、この世界を救うために召喚された“勇者”でございます。
 魔物の侵攻が激しく、国は滅亡の危機に瀕しているのです」

ソラは呆然とした。

(いやいや……ウチ、ただのJKなんだけど……?)

隣の少年は胸を張っていた。

「勇者か……まあ、俺なら当然だよな!」

(……なんかムカつく)


✦ 

その瞬間、ソラの頭の中に光が走った。

――ステータス画面が勝手に開く。




【名前】ソラ
【レベル】MAX(999)
【HP】1200
【MP】3000
【魔力】3500
【攻撃】1100
【防御】1050
【敏捷】1300
【運】4000
【職業】召喚士(スライム限定)
【スキル】スライムの心/空間収納/言語理解/共有/スライムの加護



「……え、ウチ……レベルMAX!?
 てかステータス高すぎじゃん……!」

魔力とMP、そして運が異常に高い。
これならスキルもスムーズに使える、と直感で分かった。

(でも……スライム限定って何……?)

不安が胸をよぎる。


✦ 

皇帝が命じる。

「では、勇者である証を見せよ。スキルを使ってみせるのだ」

「え、今!? ウチ、スキルとか……」

「命令だ」

ソラは震える手を前に出した。

(……でも、ステータス的には……いける?)

「……召喚……!」


✦ 

光が集まり、地面にぷるんと青い塊が現れた。

――スライム。

大広間に笑いが起きる。

「スライム!?」「最弱じゃないか!」「勇者の力とは程遠い!」

皇帝は鼻で笑った。

「くだらん。勇者どころか使い物にならぬ。
 鑑定士を呼べ!」


✦ 

白髪の老骨、鑑定士グロウが杖を掲げる。

「……ふむ。少年は“勇者”。
 そして娘は……“召喚士”。」

皇帝が眉をひそめる。

「召喚士? しかもスライムとは……不要だな」

ソラの胸がズキッと痛む。

「……ウチ、頑張ろうとしただけなのに……」

耐えきれず、ソラは大広間を飛び出した。


✦ 

城門近くで、落ち着いた声が背中に届く。

「待ちなさい、ソラ殿」

振り返ると、白い外套の男――宰相アイゼンが立っていた。

「……ウチ、なんかした?」

「いや。これは謝罪だ」

彼は布袋と、小さな金属板を差し出した。

「金貨五枚。そしてこれは“メッセージプレート”。
 名前を刻めば、互いに会話ができる魔道具だ」

ソラは目を丸くした。

「え、スマホみたいなやつ!?」

アイゼンは首を傾げる。

「……すまほ、とは何だ?」

「あ、ウチらの世界の……こう、離れてても話せたり、文字送れたりするやつ!」

アイゼンは一瞬考え、やがて頷いた。

「なるほど。君たちの世界の“すまほ”とやらに似ているのなら、その理解で構わない。
 用途としては、ほぼ同じだろう」

ソラは胸がじんわり温かくなるのを感じた。

「……ありがと、アイゼンさん」

「困った時は、これで呼びなさい」

アイゼンは静かに微笑み、去っていった。


✦ 

ソラは城を離れ、ひたすら歩いた。

二、三時間ほど歩くと、視界が開ける。

巨大な城壁。
高くそびえる時計塔。
石畳の大通り。
人々の活気。

「……すご……! めっちゃ都会じゃん……!」

不安よりも、ワクワクが勝っていた。


✦ 

肩の上でぷるぷる揺れるスライムを見て、ソラはふっと笑った。

「……ウチを慰めてくれてんの? 優しいじゃん……」

スライムは「ぷるっ」と鳴く。

「名前……つけよっか。
 青くて、爽やかで、可愛い……」

少し考えて、ぱっと笑顔になる。

「ラムネ!
 今日からアンタはラムネね!」

「ぷるるっ!!」

スライム――ラムネは嬉しそうに跳ねた。

ソラはラムネを抱き上げ、王都の街並みを見つめる。

「よし……ウチとラムネで、この異世界生き抜くから!」

こうして、ソラとラムネの冒険が始まった。
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