兄が【剣聖】、妹は【聖女】になった双子の転生者はのんびり冒険者やってます♪

雪奈 水無月

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第24話 「影の囁きとSランクの到来」

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 翌朝、港町ベルヴァインの空は薄く曇っていた。
 昨夜の戦闘の余韻がまだ身体に残っているのか、蓮は肩を回しながら欠伸をする。
「今日は情報収集だな……。影の眷属ってやつの動き、少しでも掴まないと」
 凛も頷きながら地図を広げる。
「港の市場に情報屋がいるって聞いたよ。あと、酒場の常連客からも話が聞けるかも」

 その隣で、ロゼッタは深くフードを被ったまま、パンをかじっていた。
「……あの影の王って、やっぱりお前にとって相当な因縁なんだな」
 蓮の問いに、ロゼッタは短く答える。
「そうね。あれは私の……鎖だった」
 それ以上は語らないが、その声には冷たい棘が混じっていた。



 港の市場は朝から活気に満ちていた。
 魚屋の主人や酒場の客から情報を集めた三人は、皆口を揃えて“倉庫街”の噂を話すことに気づく。
 夜になると、不自然な人影や黒い霧が漂うらしい。



 日が暮れ、三人は倉庫街の外れに身を潜めた。
「……来る」
 ロゼッタの声とともに、霧のような影が人の形を取る。
「ロゼッタ様……影の王がお呼びです」
 旧友のような口調に、蓮と凛は剣と魔法を構えた。

「断ったはずよ」
「ええ、ですが……従わぬなら仲間を先にいただくと」

 その瞬間、複数の影獣が現れた。
 蓮が剣を振るい、凛が雷撃で応戦する。だが、奥の倉庫からさらに巨大な影獣が現れる。



「こいつは私が引きつける!」
 蓮が飛び込み、ロゼッタが背後から首元へ牙を立てようとした——その時。

 上空から鋭い光の矢が降り注ぎ、影獣の肩を貫いた。
「おっと、遅くなったな! 港町防衛の要請を受けて来たぞ!」
 現れたのは四人組の冒険者——ギルド精鋭、Sランクパーティー《白銀の翼》だった。

 前衛の大剣使いガルドが影獣に突撃し、盾役のミーナが蓮の前に立って衝撃波を防ぐ。
 空から舞い降りた弓使いエリアスが再び矢を放ち、後衛の魔導士セルマが広範囲に聖光を展開する。

「……Sランク、か。面倒なのが来たわね」ロゼッタが呟くが、蓮は「いや助かるだろ」と即ツッコミ。



 戦場は一気に有利になった。
 蓮とガルドが連携して巨大影獣を追い詰め、凛とセルマの魔法が小型影獣を消し飛ばす。
 ロゼッタは気配を消しつつ、影の背後に回り込んで生命力を奪い取り、残りの敵を霧へと変えた。



 戦闘後、ガルドが大剣を肩に担ぎながら笑った。
「お前ら、ただ者じゃねぇな。名前は?」
 蓮が名乗ると、エリアスが興味深そうにロゼッタを見つめる。
「……太陽の下にいる吸血種なんて、初めて見た」
 その言葉にロゼッタはにこりともせず、「気のせいよ」とだけ返す。

 セルマは黒い紋章を見つけ、表情を引き締めた。
「これは……影の王の刻印。ギルド本部に報告が必要ね」
 ミーナが真剣な顔で三人に向き直る。
「これから港は警戒態勢に入る。あんたたちも気をつけな」

 Sランクたちはそのまま倉庫街の警備に向かい、三人は影の王の影響がこの町に深く根を張っていることを悟った。

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