兄が【剣聖】、妹は【聖女】になった双子の転生者はのんびり冒険者やってます♪

雪奈 水無月

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第36話 「刃と紅き眼光」

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「彼女の命が危険に晒されるなら、私の存在に意味はない」
 ロゼッタの冷ややかな声が裏路地に響いた。

 凛を抱える黒衣の男は勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
「はっ、素晴らしい! ならば今すぐ——」

 その瞬間。

 ヒュン、と空気を切り裂く音。
 男の足元に小さな石が飛来し、カン、と甲高い音を立てた。

「なっ!?」

 そのわずかな隙を逃さず、シエラが踏み込む。
「——今よ!」

 剣が閃き、凛と男の腕の隙間を正確に切り裂いた。
 短剣が弾かれ、凛が自由になる。

「凛ッ!」
 蓮が駆け寄り、妹を抱き寄せた。
「無事か!?」

「う、うん……っ。でも——!」



「チィッ、ガキどもが!」
 男は後ろへ跳び退き、影の中から仲間と思しき黒衣の者たちがぞろぞろと姿を現す。
 その数、五人。

「やっぱり一人じゃなかったか……」
 蓮は凛を後ろに下がらせ、剣を抜いた。

 シエラが横に並び、低く吐き捨てる。
「人質が通じなくなれば、力で押すつもりね」

 ロゼッタの瞳が紅く輝き、冷ややかに敵を見据える。
「ならば——私も遠慮はしない」



 最初に動いたのは黒衣の二人。
 刃を閃かせて蓮へと斬りかかる。

「ふっ!」
 蓮は剣を横に払うと、火花と共に相手の刃を弾き飛ばした。
 そのまま踏み込み、柄で一人の腹を突き飛ばす。

 シエラは背後に回り込もうとした敵を素早く察知し、振り返りざまに斬撃を浴びせた。
「甘い!」
 鋭い一閃が敵の腕を切り裂き、呻き声が響く。



 一方でロゼッタは、手を翳しながら小さく詠唱する。
「血よ、形を成し——」

 紅の光が瞬き、彼女の掌から血の刃が生まれる。
 それは夜気を裂き、迫り来る敵の胸を浅く抉った。

「ぐっ……ッ! こいつ……やはり化け物か!」

「呼びたければ呼べばいい。だが——狩るのは私たちだ」
 ロゼッタの声は冷酷で、敵の心を震わせる。



 乱戦の中、黒衣のリーダー格が舌打ちした。
「想定以上だな……っ! だが、ここで仕留める!」

 彼の身体から淡い黒煙が噴き出す。
 次の瞬間、筋肉が膨張し、瞳が紅に染まる。

「……魔族の力?」
 シエラが目を見開いた。

 ロゼッタの表情も険しさを増す。
「……違う。これは……〈禁呪の力〉」

 地鳴りのように、男の咆哮が裏路地を震わせた。

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