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第五部 アンチ・ミステリーに読者への挑戦状は付くか否か?
読者への挑戦状(再掲)
しおりを挟む読者への挑戦状(再掲)
「了? 尾崎諒馬は密室の謎解きを放置してアンチ・ミステリーで終わらせる? それでは確かにミステリー作家失格ですが……」首猛夫が不満げにそう言う。
「ふーむ。確かに終わってしまった……」尾崎凌駕も消化不良と言った顔をしている。「どうします?」
黒服「我々は用済みのようですね、やはり」
青服「それではお暇させていただきます」
黒服も青服もWeb会議システムから退場する。
「いや」首猛夫が憮然として「謎解きの放棄はあり得ない! ここで再度、読者への挑戦状を――」
「つまり、密室の謎を解け? そう読者に挑戦する?」
「ええ、これが仮にアンチ・ミステリーでも、最後、読者への挑戦状は付きます。私が付けます。まだ密室の謎が残っています」
読者への挑戦状(再掲)
1 首猛夫はいかにして殺しの任務を遂行したか?
2 密室の謎はまだ解けていない。
如何にして密室は構成されたか?
神の視点を持つ殺し屋、首猛夫
「やはりそうですね。現場にいた殺し屋が読者に挑戦するのは理にかなっている。挑戦するのはエラリー・クイーン、つまり作者であり探偵であるエラリー・クイーンではなく、実際に現場で仕事を遂行した、殺し屋、首猛夫。理に適っています。しかし……。私も少し付け足します」尾崎凌駕が笑った。
3 ブリキの花嫁が離れに持ち込んだ首が――
ベッドで殺した「良美ちゃん」の首ではなく、
クーラー・ボックスで持ち込んだ「良美」の首だったのはなぜか?
アンチ・ミステリーに於ける
迷探偵 尾崎凌駕
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