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第一章〜商店街は妖怪騒ぎの巻〜
その⑤
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道中は決して優しいものではなかったが、厳しくもなかった。
恐れ知らずの雑魚共が木々の隙間から、岩陰からと、どんどんちょっかいをかけてくる。
そのたびにむすびちゃんはお祓い棒で祓っていった。
「はいはい、成仏成仏ぅ~」
近づくにつれ、若干手ごたえを感じるようになってきたと共に、かすかに知能を宿したお化けが増えてきた。
「ここから先は…うわーーっ!」
「うるさい」
「お前なんて一秒で…どんぎゃーーっ!」
「黙って」
「よくも友人A、Bを…許せんっ!返り討ちにしてくれるわーーっ!」
「邪魔」
「ぐっ!だが俺がやられても友人DとEが…」
「長いわ!」
むすびちゃんはほぼ消えかかっているお化けを踏み潰した。
知能があるといっても、まだ低能な馬鹿ばっかしかいない。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことだろう。
むすびちゃんは最初からお化けなんていなかったかのように、順調に進んでいった。
石畳の道を抜け、竹藪の中をずんずん進む。
澄んでいて、冷たい空気。
それでいてどこか温かさを感じる。
光が竹の合間から漏れ出ていて、少し薄暗い。
「小さかった頃はここ、少し怖かったっけな」
でも、すぐに平気になった。
決して温かくはない、それでも安心する手に引かれ、何度もここを訪れて。
竹の葉がざわざわと鳴く。
その音と、昔の声が重なって聞こえる。
「…ここちょっと怖いよ。この前怒られちゃったし、あんまりオババのとこ行きたくない」
「何も怖いことねえよ。しょうがねえだろ、俺らは子供だ。大人がいないと、二人じゃ何もできない」
「でもぉ…」
「俺が一生をかけてお前を守ってやるよ。だから…心配すんな」
その時は誰よりも頼もしく見えたその背中。
大きくなるにつれ疎遠になり、そして一年間、ずっと会っていない。
突然、家を出て行って。私を置いて。
「お兄ちゃん…」
気が付くとオババの家に着いていた。
「懐かしいなあ」
一人で住むには広すぎる、神秘的で、力強さのある家。
最後に来たのは半年前だっただろうか。
近づくと、元気な子供たちの声がする。
保護された町の子供が無事なことに安堵し、むすびちゃんはインターホンを押した。
十秒もしないうちに扉が開き、ひょっこりと女の子が顔を覗かせた。
「おーむすびか。久しぶりじゃのう。お主が来ることは分かっておったぞ。まあ入れ入れ」
「…お邪魔します」
久しぶりと言われても、この子に会った覚えがない。
白髪のおかっぱ頭で、年は幼稚園生くらいだろうか?
服装は子供らしくない古風な感じで、オババが着ていたものとよく似ている。
町の子供かオババの親戚の子かな?などと考えている間に、女の子は客間に通してくれた。
しかし、いつまで経ってもオババは見あたらないし、女の子は立ち去る気配がない。
「何から話せばいいもんかのう。とりあえず茶でも入れるか」
「あの!私オババに会いにきたの。オババって今どこにいるのかな?」
「何を言っておるのじゃ?」
「あのね、私はここの家に住んでいるお婆ちゃんに会いにきたんだけど…」
「お主、まだ気づいておらんのか」
「?」
「わしがそのオババじゃよ」
「???」
「あみだちゃんと呼んでくれると嬉しいぞい」
「?????」
全く意味が分からなかった。
道中は決して優しいものではなかったが、厳しくもなかった。
恐れ知らずの雑魚共が木々の隙間から、岩陰からと、どんどんちょっかいをかけてくる。
そのたびにむすびちゃんはお祓い棒で祓っていった。
「はいはい、成仏成仏ぅ~」
近づくにつれ、若干手ごたえを感じるようになってきたと共に、かすかに知能を宿したお化けが増えてきた。
「ここから先は…うわーーっ!」
「うるさい」
「お前なんて一秒で…どんぎゃーーっ!」
「黙って」
「よくも友人A、Bを…許せんっ!返り討ちにしてくれるわーーっ!」
「邪魔」
「ぐっ!だが俺がやられても友人DとEが…」
「長いわ!」
むすびちゃんはほぼ消えかかっているお化けを踏み潰した。
知能があるといっても、まだ低能な馬鹿ばっかしかいない。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことだろう。
むすびちゃんは最初からお化けなんていなかったかのように、順調に進んでいった。
石畳の道を抜け、竹藪の中をずんずん進む。
澄んでいて、冷たい空気。
それでいてどこか温かさを感じる。
光が竹の合間から漏れ出ていて、少し薄暗い。
「小さかった頃はここ、少し怖かったっけな」
でも、すぐに平気になった。
決して温かくはない、それでも安心する手に引かれ、何度もここを訪れて。
竹の葉がざわざわと鳴く。
その音と、昔の声が重なって聞こえる。
「…ここちょっと怖いよ。この前怒られちゃったし、あんまりオババのとこ行きたくない」
「何も怖いことねえよ。しょうがねえだろ、俺らは子供だ。大人がいないと、二人じゃ何もできない」
「でもぉ…」
「俺が一生をかけてお前を守ってやるよ。だから…心配すんな」
その時は誰よりも頼もしく見えたその背中。
大きくなるにつれ疎遠になり、そして一年間、ずっと会っていない。
突然、家を出て行って。私を置いて。
「お兄ちゃん…」
気が付くとオババの家に着いていた。
「懐かしいなあ」
一人で住むには広すぎる、神秘的で、力強さのある家。
最後に来たのは半年前だっただろうか。
近づくと、元気な子供たちの声がする。
保護された町の子供が無事なことに安堵し、むすびちゃんはインターホンを押した。
十秒もしないうちに扉が開き、ひょっこりと女の子が顔を覗かせた。
「おーむすびか。久しぶりじゃのう。お主が来ることは分かっておったぞ。まあ入れ入れ」
「…お邪魔します」
久しぶりと言われても、この子に会った覚えがない。
白髪のおかっぱ頭で、年は幼稚園生くらいだろうか?
服装は子供らしくない古風な感じで、オババが着ていたものとよく似ている。
町の子供かオババの親戚の子かな?などと考えている間に、女の子は客間に通してくれた。
しかし、いつまで経ってもオババは見あたらないし、女の子は立ち去る気配がない。
「何から話せばいいもんかのう。とりあえず茶でも入れるか」
「あの!私オババに会いにきたの。オババって今どこにいるのかな?」
「何を言っておるのじゃ?」
「あのね、私はここの家に住んでいるお婆ちゃんに会いにきたんだけど…」
「お主、まだ気づいておらんのか」
「?」
「わしがそのオババじゃよ」
「???」
「あみだちゃんと呼んでくれると嬉しいぞい」
「?????」
全く意味が分からなかった。
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